か行の(き)の品種
貴王殿 (きおうでん)
平成5年度の登録品種です。 檜葉形の大葉で初夏から黄白色の曙斑を現しますが、
秋には茶色の中斑と見るべきか、又は紅葉と見るべきか、画像の様に古葉を
葉先残しに茶色に染め、渋い味わいを見せてくれます。
北関東では登録以前から「松島」の名前で普及していました。
菊水殿 (きくすいでん)
![](img224.jpg)
昭和53年度登録品種です。 稀代の名品「泰平冠」からの変化種です。
葉肉が厚く分岐が少ない葉は葉先を揃え、各葉は僅かに開いた扇状で展開し、
葉姿はその名の如く、菊紋、菊水紋を思わせます。
木曽錦 (きそにしき)
画像は有りません。
木曽錦は昭和36年度に新登録され、昭和48年迄の各銘鑑の比較的高い位置に掲載され
ますが、花車に類似しているとの理由から、昭和49年に花車に統合されたと聞いています。
花車の数株の親葉を挿し芽して小苗を育成すると、多少異なる葉形も見られます、柔らかで
丸みを感じる葉や、硬直感の有る葉などが生まれます、しかしその微妙な違いを
細分化しては切が無く、私は皆は同じに扱います。
その様な理由から、改まって「木曾錦」を入手しなかったので、私の基準との特徴の違いを
把握していませんが、「花車」の葉形を、葉先が円弧状の団扇形に例えると、「木曽錦」は
縦長の小判形で、「東海錦」は葉先の先端が高く菱形の様であった、とも聞き及んでいます。
現在は「花車」系の葉形は色々あり、「大和錦」や一般に「雲上錦」名で流通している細葉を
挿し芽しても花車になるが、気分的にか葉が細めの感じを受けます、葉重ね良く葉先に
丸みがあり、柔らか味を感じる苗を得たい場合は、親葉の厳選を要すると思う昨今です。
黄豊冠 (きほうかん)
![](img225.jpg)
昭和52年度の登録品種です。
細やかな感じの常葉で、葉肌はザラ付を感じる羅紗地で、地色は萌黄色の中型葉です。
君ヶ代 (きみがよ)
![](img226.jpg)
平成19年度登録品種です。 緑の常葉に高砂の様な白爪斑を持ち、白綾の様な砂子
掛かった白曙斑とを併せ現します。 画像の品は登録前に、作出者から頂いた品ですが、
まだ培養経験が浅く 詳細は解りませんが、白綾ほどの大葉では無いようです。
貴美錦 (きみにしき)
![](img227.jpg)
昭和63年度登録品種です。稀代の名品、楊貴妃の変化種といわれています。
その様に意識する為か、幼苗時は何処と無く楊貴妃を偲ばせる葉姿に見えるのですが、
年月を経て株が成熟してくると、楊貴妃よりはむしろ、錦木の様な葉姿に成ってきます。
京更紗 (きょうさらさ)
![](img228.jpg)
天保14年からの古典品種です。
昭和49年に「榧ノ雪」に統合され、現在の扱いは「榧ノ雪」ですが、榧ノ雪は白の刷毛込斑
のみですが、本種は白の他に若干黄色味を帯びた斑を併せ現します。
統合された訳ですから、葉形も勿論似ていますが、同じ管理の両品を比較すると、
京更紗の方が、葉の隙間が若干多く感じる事から、葉姿も若干大味に感じます。
また「榧ノ雪」も「京更紗」も、斑を多く乗せた葉は、葉組みが粗くなる傾向にあるようです。
暁星 (ぎょうせい)
![](img229.jpg)
平成元年度登録品種です。 明星の変化種と思われ、明星より細身で葉も短めで、
明星と同じ様な斑を現しますが、斑は少なめで青み勝ちです。
葉姿と斑の感じの似た品種に、「錦星」が挙げられますが、錦星は明星に遜色ない
斑を現しますが、準固定種の為その多くが先祖返りをします、しかし「暁星」は、
細葉変種には珍しく固定種で、先祖返りをする事は有りません。
玉翠冠 (ぎょくすいかん)
![](img230.jpg)
平成元年度登録品種です。 晃玉龍の変化種と言われています、始め一本で伸びる
細身の葉は、やがて分岐して手葉状になり、乳白色の曙斑を良く現します。
旭翠冠 (きょくすいかん)
![](img231.jpg)
平成14年度登録品種です。 画像の株は未だ若く、葉形が出来上がっていませんが、
成株の葉形は半開きの扇の様に葉先を揃え、葉肉が厚めの緑の葉で、秋には紫色の
紅葉も見せます。 青物ながら菊水殿を思わせる葉形なのですが、葉丈は不安定で、
一株の中に葉が極短い芽や長い芽等が生じ、株姿を乱して仕舞う傾向が有るようです。
玉宝 (ぎょくほう)
![](img232.jpg)
昭和59年度登録品種です。 丹頂の変化種と言われ、極短い葉で葉重ねも良く、春から
初夏に掛け白斑を深く乗せ、夏には一旦緑を強めますが、秋には再び白斑を少し戻します。
玉貴扇 (ぎょっきせん)
![](img233.jpg)
平成2年度登録品種です。 葉肉厚めで葉組みが若干粗めの檜葉形で平性、
晩春から黄白色の曙斑を表します。葉姿や斑色は何処と無く錦木に似た感じもあります。
旭光 (きょっこう)
![](img234.jpg)
平成2年度登録品種です。 葉幅の広い一本葉に、曙斑を現します。
金龍に似た葉姿ですが、より葉幅が広い太葉である他、金龍に比して葉先が平らです。
清姫 (きよひめ)
![](img235.jpg)
昭和45年度登録品種です。
蜀光錦の細葉変化種で準固定種のため、挿し芽発芽苗の多くは、先祖の蜀光錦に戻ります。
色彩は蜀光錦に似て、暗緑の地色に葉先から葉元に向かって黄斑を乗せます。
貴代富士 (きよふじ)
![](img236.jpg)
昭和63年度登録品種です。 平性の常葉に白曙斑を現します、斑乗りは良く、深く乗せた
白斑は休眠真際まで冴えますが、私の棚では、このように斑を乗せて休眠に入ると、
翌年蘇生後に葉先から黒くなり始め、多くの葉が傷んでしまいます。
しかし傷みは株の致命傷にはならず、新葉が伸びてカバーしますが、この繰り返しでは
株は大きく成れません。 安全を期すなら、色彩に少し物足りなさを感じても、
中日以下の管理で、斑乗りを程々に押さえた方が良さそうです。
麒麟獅子 (きりんじし)
![](img237.jpg)
万延元年からの古典品種です。
鱗が浮き出て感じるほど葉肌が粗く、立性で縮れを感じる様な葉の青葉ものです。
金華山 (きんかざん)
![](img238.jpg)
天保14年からの古典品種です。曙斑類ですので、我が家では斑乗りが今一ですが、
秋には曙斑を紅に染め、紅葉の王者とも言われる品種です。
金冠 (きんかん)
![](img239.jpg)
昭和41年度の登録品種です。 葉肉の薄目の常葉で、夏には透き通るような感じの、
白みを帯びた黄色になり、秋には黄金色に輝く萌黄葉種です。
金麒麟 (きんきりん)
![](img240.jpg)
昭和5年からの品種です。 玉獅子の変化種と言われ、本種の出現で、昭和初期の
巻柏ブームが到来したと言われる、稀代の名品です。
金銀獅子 (きんぎんじし)
![](img241.jpg)
天保14年からの古典品種です。 葉組みのやや粗い常葉に、春から白曙斑を現します、
また固定の白爪斑も多く持ちます。 この仲間の特徴の一つに、古い葉の葉先が
分岐して細やかに成る特徴が有ります、これが獅子名の由縁かもしれませんね。
錦孔雀 (きんくじゃく)
![](img242.jpg)
「錦孔雀」の名は昭和初期からですが、明治34年の銘鑑に見られる「古今独歩ノ斑」が
その始めと云われています。 珊瑚樹型とも言われる立性の葉は、葉の断面が四角に
感じる、古今独歩と同じ独特の葉で、春から黄白色の曙斑を現します、斑は夏以降に
退化する、いわゆる後眩みの斑で、春の曙斑類に類別される品種です。
金山 (きんざん)
![](img243.jpg)
天保14年に始まり明治の銘鑑までは、「黄金獅子」で掲載されている品種が、本種の
初めと云われ、日本巻柏連合会銘鑑には、第4号と第5号の2連続で掲載後は、
「此れに漏れ」、第13号から再度掲載され、その後は連続で掲載されています、
立ち性の常葉で、やや小型の萌黄種です。
金獅子 (きんじし)
![](img244.jpg)
天保14年の銘鑑より記載有る金獅子は、連合会銘鑑には第3号〔昭和27年〕に掲載され、
その後断続で計8回の記載が有ります。 参考書籍には「「古郷錦」「金獅子」も「九重錦」に
類似しているので昭和49年からは「九重錦」に統合されることになりました。・・中略・・
なお「金獅子」の特徴としていたところは、葉先を抱える・・中略・・いわゆる獅子葉になる
点にありますが、生長するにしたがってこの特徴は失われます。」との記述が見られます。
画像の品は、随分前に先輩から頂た「金獅子」の子孫です、随分挿し芽もしましたが、
我が家では葉先を抱える獅子葉の特徴が全く現れず、九重錦と識別出来ません。
錦秀 (きんしゅう)
![](img245.jpg)
昭和47年度登録品種です。
やや立性の淡緑地の常葉に、初夏に葉先から曙斑を現し、秋に向かって斑を深めます。
錦昇龍 (きんしょうりゅう)
![](img246.jpg)
昭和22年からの品種です。 何と表現したらよいのでしょうか、独特の細やかな常葉と、
細身で葉肉が厚く丸みを感じる龍葉が混在し、緑地に乳白色の淡い曙斑を若干現します。
画像の右の黄色葉は、この個体の変異芽で、通常はこのような黄芽黄葉は持たず、
画像左の芽の色彩です。
錦蜀光 (きんしょっこう)
![](img247.jpg)
万延元年から昭和初期までの各銘鑑に、「金山」で掲載されている品種が、
昭和22年から「錦蜀光」に成ったと言う説が定説のようです。
錦司龍 (きんじりゅう)
![](img248.jpg)
昭和49年度登録品種ですが、昭和59年度から、錦昇龍に統合されました。
統合された程ですから、葉姿は当然錦昇龍に似ていますが、錦昇龍より少し大葉で、
力強さを感じます。
金砂子 (きんすなご)
![](img249.jpg)
天保14年からの品種で、天保14年は「金砂子」、万延元年及び明治の銘鑑では「虎金砂」、
昭和初期から再び「金砂子」になったと言われています。
葉組みがやや粗く、葉肉の厚めの常葉に、砂子斑を表します。
本種は九重錦に比べ、若干葉肉が厚めで斑も少なめですが、自分の愛培品は、その様に
認識していますが、斑乗りも葉も管理で変わる巻柏です、他の棚の品を識別する程明確な
相違ではなく、その違いを見分ける事は、正直言って極めて困難な程度の違いです。
錦 星 (錦星)
![](img250.jpg)
昭和61年度の登録品種です。 明星の細小葉変化種ですが、細葉変化種の多くが
そうであるように、錦星も先祖返りの特性を持つ準固定種です、挿し芽の発芽苗の多くは、
先祖の明星に戻ります。 また、錦星の特徴を持って発芽した苗でも、育成中に先祖の
明星に戻る品が、結構多く出てきます。
銀星冠 (ぎんせいかん)
![](img251.jpg)
昭和55年度登録品種です。 細身で極短い葉で小型の葉姿です。
斑載りは良く晩春以降は全葉に斑を乗せ、その名の如く銀色に輝きます、
極短い葉ですので、当然の如く成長も遅い品種です。
銀世界 (ぎんせかい)
![](img252.jpg)
江戸時代からの古典品種ですが、天保14年「富士乃 」で、その後は明治時代まで
「富士之雪」、昭和初期から現在名の「銀世界」になったと言われています。
葉組やや粗めの檜葉形の大葉ですが、良作では砂子掛かった銀色の曙斑を、葉全体に
深く乗せます。ただ、ちょっと気むずかしい所もあり、あまり強日では秋に銀斑の部分に
茶シミが生じ、弱日では銀斑を良く現してくれません。
銀 盃 (ぎんぱい)
![](img253.jpg)
昭和48年度登録品種です。 葉組みやや粗めの檜葉形の大葉に、砂子掛かって銀色に
感じる白曙斑を晩春から現し始め、銀色斑を結構深く乗せます。
秋の紅葉は淡白で、目立った色彩には成りません。
金宝錦 (きんぽうにしき)
![](img254.jpg)
昭和37年度登録品種です。 細身で葉組みの粗い萌黄葉を下垂させます。
一説では宝獅子の変化種と言われ、準固定種のため、挿し芽発芽苗及び育成中に、
先祖の宝獅子を通り越して、宝山に戻るものが結構多く見られます。
一説では、挿し芽発芽苗の一部は、宝獅子に戻る物も有るとの事ですが、親木にも依る
のでしょうか、私の経験内では、先祖返り品は全て宝山になり、宝獅子に戻った個体は
ありませんでした。
ちなみに「宝獅子」も準固定種で、挿し芽苗や育成苗の多くが、先祖の宝山に戻ります。
金牡丹 (きんぼたん)
![](img255.jpg)
|
昭和12年の「錦牡丹」からの品種と
言われ、昭和18年の東京金龍会
銘鑑から現在名文字の「金牡丹」に
なります。
強日管理をする事で、株が若い
内は細やかな葉を良く詰ませて、
玉の様な株姿に出来ますが、
10年生以上になると葉が伸び始め、
詰んだ葉姿を維持できなくなり,年月を
経る毎に大葉になってしまいます。
上の画像は葉が短く詰んでいる若株で、
右の画像は年数を経た古株です。 |
|
![](img256.jpg) |
|
錦明鳳 (きんめいほう)
![](img257.jpg)
平成7年度登録品種です。檜葉形の葉に黄白色の曙斑を現しますが、我が家では斑載りの
良くない部類で、冴えた斑を現してくれません、また紅葉も目立った色彩には成りません。
金猛虎 (きんもうこ)
![](img258.jpg)
昭和49年度登録品種です。 御所錦の太葉変化種と思われ、葉幅が広く葉組みが粗く、
分岐が少ない葉形で、春には白曙斑を葉先から乗せ始め、管理によっては葉の半分程迄
白に染めます。 夏以降に少し緑を戻すのは、この系統(金銀斑類)の特徴の一つで、
本種もその例に漏れず、夏以降は緑を戻します。
金襴織 (きんらんおり)
![](img259.jpg)
万延元年からの古典品種です。 平性の緑地の常葉で葉先を少し下げ、砂子系の金斑を
深く現します、晩春から伸びる芯の若葉も、金斑を乗せて伸びる為に、夏から秋には、
芯を含めてほぼ全葉を斑で染めます。
金 龍 (きんりゅう)
![](img260.jpg)
手持ちの参考書籍によると、万延元年からの「金毛織」が、昭和5年から「金龍」に成ったと
記されていますが、この説を記した各書籍は、何れも昭和40年代に発刊されたものであり、
明治34年の銘鑑に関わる記述が全く見られません。
つまり明治34年発行の信濃好者中の巻柏銘鑑は、これらの書籍が発刊された後の、
昭和50年代以降になってから、その存在が広く知られるようになったものと思われます。
その明治34年の銘鑑には、「金龍」が別枠で大きく掲載されており、銘鑑下段には小さな
文字で「金毛織」の掲載も同時に見られます。同じ品種が銘鑑に同時に掲載される事は
考え難く、また枠外に大きく誇らしげに掲載された「金龍」の文字は、私の目には新品種で
有る事を物語っているように見えるのです。
個人的には、「金龍」はもしかして、この銘鑑が発行された頃、つまり明治時代になってから
誕生したのではと考えています。ただし これは私の単なる推測で、何の根拠も有りません。
銀龍獅子 (ぎんりゅうじし)
![](img261.jpg)
平成元年度登録品種です。 錦昇龍系品種の変化種なのでしょうか、斑を現さぬ青葉ですが、
一本部分の葉元が長めで、手葉の様な感じの受け葉で、葉を抱えて巻き込んでいます、
あまり大葉には成らない品種です。
葉を巻き込む獅子芸で、いつも葉の裏側を見せており、滑らかな葉の裏側は白味を感じ、
銀色にも感じる事から、「銀龍獅子」と名付けたのではないかと、個人的には思っています。
私が未だ会社勤めをしていた頃、不規則な勤務の為に、代って水遣りをしてくれていた
今は亡き妻が、「あの巻柏はいくら水をやっても開かないよ」 と、困ったように
何度か言っていた事が、懐かしく思い出されます。
金 鈴 (きんれい)
![](img262.jpg)
昭和43年度登録品種です。 やや立ち性でやや細身で、短めの常葉に砂子斑を表します。
九重錦の細葉変化種のようで準固定種です、挿し芽発芽苗や育成中に、
その多くは九重錦に戻ります。
銀 嶺 (ぎんれい)
![](img263.jpg)
平成4年度登録品種です。 雲井鶴の変化種と言われ、斑の感じは親を偲ばせますが、
葉性は親に似ず、結構な大葉物です。
親ページへ戻る
トップ・メニュー
![](img002.gif)
|