私の知り合いのある方は、私と同じ40センチ×50センチの挿し芽箱に、
粗めの鹿沼土を敷き、挿し芽と言うよりは、葉を置いただけと言いたい様な方法で、
ガラス蓋をして軒下の日陰で管理していますが、結構良い成績を上げています。
欲張りな私は、大きな挿し芽箱を用いていますが、病気発生に気付かずに居ると、
発病した箱は、最初の発病から2〜3日で菌が回り、数日で全滅します。
安全を図るなら、5〜6寸浅鉢を用い幾つかに分けた方が、被害が少なくてすみます。
私の挿し芽は、5月末から6月始めに行います。
地域や環境で違いは有りますが、あまり早くやっても、自然管理では大きな差は有りません、
葉を採る株の葉先が光り始めた頃が、最も良いようです。
挿し芽に使用する親葉は、若い元気な株の下葉が、最も発芽率が良いようです。
株の芯に近い若い葉は発芽しません、中段の元気な葉を使用すると、生育の良い元気な
苗が得られますが、下葉に比べ発芽率が劣ります、お勧めは若株の下葉です。
古い大株の下葉でも、胞子が付いていなければ大丈夫です。
※ 下葉とは、 古い葉の意味です。 葉重ねの下側になっているので下葉と言います。
胞子の付いた葉でも、発芽率は落ちますが、発芽皆無と言う訳では有りません。
以前に「菊水殿」「泰平冠」「春日錦」の三種で試して見たところ、胞子の付いた葉先からの
発芽は見られませんでしたが、三種とも葉の分岐部付近から発芽があり、発芽数は少な
かったが、普通の苗が得られました。 全ての品種に該当するかどうかは未確認です。
また、「高砂」や「天鵞絨」等、全葉先に白爪斑を持った葉でも、試してみましたが、
上記三種の胞子葉と同様に、分岐部付近から若干の発芽はありました。
私の挿し芽の手順
1 指し床として通常の植え土(鹿沼土)を、箱の半分(3〜4cm)程入れ散水しておく。
(葉をとっている間に、ほどほどの水分になり、仕事がし易い)
2 水を入れた器に下葉を採って入れる、10分ほど経ってから挿し芽をする。
(葉に水を吸わせて置くと、作業中に葉が縮むことを防げる)
3 挿し葉が斜めに置けるように、箱の端に極小粒の鹿沼土を一列に少量置き、
その土を枕にして葉を一列並べ、葉元に少し土を被せる。
一列目の葉元に掛けた土を枕に、2列目のに葉を並べて、また土を被せる。
このようにして列状にして行きます。
4 並べ終わったなら、たっぷりと散水する。(土と葉が落ち着きます)
このようにして、葉の半分ほどが土の中で、半分ほど地上に出た列にします。
(葉の裏表で結果に差は有りません、置いた時に葉先が浮かない向きが良い)
置き場と管理
私の置き場と管理は前述の通り、蓋はしていません、直射日光の当らない、
明るい日陰におきます。
蓋をする管理では、蒸れに注意を要します、ガラス蓋を使用時には、季節による
太陽位置変化に注意して、差込み直射日光に当てぬよう、特に注意を要します。
(ガラス蓋をしたままで、直射日光の差込を受けた場合は、蒸れで全滅します)
始めの1〜2週間は朝晩散水して、葉の乾燥を防ぎます。
その後は葉も土も落ち着き、乾燥速度が遅くなりますので、葉を乾燥させない頻度で
散水します。
一ヶ月ほど過ぎて、葉先が変化を始める頃に、白い根が葉先から伸びてきます、
葉先があまり浮いている時は、その部分に少し増し土をして、白根の乾燥を防ぐ様に
して上げます。(増し土を入れすぎて、深植え状態にすると、逆効果になります)
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