ビタミンDの栄養状態はがん患者の予後に影響する 日本医師会雑誌 第144巻・第2号/平成27年5月
ビタミンDは紫外線の作用により皮膚で合成され、あるいは食事から吸収され、肝臓で25-hydroxyvitamin D{25(OH)D}、さらに腎臓で活性型の1,25-dihydroxyvitamin Dとなり、主として小腸、骨、腎臓に作用する。ビタミンDの古典的作用はCa, Pの代謝調節であるが、最近、さまざまな組織で1,25-dihydroxyvitamin Dが産生され、免疫調節、細胞増殖抑制、血圧調節、インスリン反応性に影響を及ぼしていることが明らかになった。
ビタミンDの栄養状態は血清25(OH)D濃度で評価され、20ng/ml未満はビタミンD欠乏、20-30ng/mLはビタミンD不足とみなされているが、世界中の多くの人がビタミンD不足の状態で、特にがん患者では1/3以上がビタミンD欠乏の状態にある。ビタミンD欠乏はさまざまながんの発生率を高めることが報告されているが、最近Liらは、がん診断時に血清25(OH)Dを測定済みの1万7,332症例を含む25の研究のメタ解析を行い、十分な検討が可能であった大腸がん、乳がん、リンパ腫では、血清25(OH)D濃度が上位1/4の患者の死亡の確率は、下位1/4の患者と比較して、それぞれ0.55, 0.63, 0.48低かったと報告している1)。ビタミンD不足は発がんした患者の予後を悪化させることになる。
日本人においても、ビタミンD欠乏は、7月には男女共約10%に対して、11月には男性で約30%、女性では約60%と増加し、欠乏を含む不足者は、7月には男性で約60%、女性では約80%、11月には男女共80-90%に見られた2)。
日本人も多くがビタミンD不足状態にあり、発がんの抑制、発がんした場合の予後改善のため、積極的にビタミンDを補充する必要があるかもしれない。{井廻 道夫}
1) Li M, Chen P, Li J, et al: Review: the impacts of circulating 25-hydoroxyvitaminD levels on cancer patient outcomes: a systematic review and meta-analysis. J Clin Endocrinol Metab 2014; 99:2327-2336.
2) Nanri A, Foo LH, Nakamura K, et al: Serum 25-hydroxyvitamin d concentraitons and season-specific correlates in Japanese adults. J Epidemiol 2011;21:346-353.
2015年3月6日
ビタミンDの重要性について
いつものパンがあなたを殺す より パート7
ビタミンDの欠乏が、認知症、アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、抑うつ、慢性疲労のリスクであるとのこと。
ビタミンD欠乏の理由を以下のように記述しています。コレステロールを下げる治療{スタチン}や摂取不足、日光不足ですね。
日本では、慢性腎不全の病名で検査できるようです。{調べたことないですが}
現代人の半分は足りていないと指摘しています。
ただ、予防的ビタミンD内服が有効かどうかは不明です。不適切な食事{スタチンだけでなく、糖質過剰摂取?}も結果的にビタミンDを低下させているのかもしれません。
最終的に、スタチンはビタミンDにも間接的な影響をもたらし得る。
体は太陽からの紫外線にさらされることで、肌の中のコレステロールをもとにビタミンDを生成する。ビタミンDの化学式は、コレステロールの式と簡単には見分けられない。ほぼ同じだからだ。
LDL値を人為的に低く抑えてしまえば、体はコレステロールが枯渇したとき、適量を補給して肌の中の蓄積分を補うことができなくなるだろう。このことがビタミンD不足につながり、それが米国中で広く問題となっているのだ。
37. ビタミンDについて知りたいことは何でも、研究に関する掘り下げた議論も含めて、マイケル・ホリック博士の画期的な著書The Vitamin D Solution: A 3-Step Strategy to Cure Our Most Common Health Problems (New York: Hudson Street Press, 2010) を参照。
38. http://blogs.scientificamerican.com/observations/2010/07/13/vitamin-d-deficiency-linked-to-parkinsons-disease-cognitive-decline/.
39. C. Annweiler, et al., Higher Vitamin D Dietary Intake Is Associated with Lower Risk of Alzheimer's Disease: A 7-year Follow-up,” Journals of Gerontology Series A: Biological Sciences and Medical Sciences 67, no. 11 (November 2012): 1205-11.
40. D. J. Llewellyn, et al., “Vitamin D and Risk of Cognitive Decline in Elderly Persons,” Archives of Internal Medicine 170, no. 13 (July 12, 2012): 1135-41.
下図 ビタミンD濃度と認知症テストの推移
41. S. Simpson Jr., et al., “Higher 25-hydroxyvitamin D Is Associated with Lower Relapse Risk in Multiple Sclerosis,” Annals of Neurology 68, no. 2 (August 2010): 193-203. C. Pierrot-Deseilligny, et al., “Relationship Between 25-OH-D Serum Level and Relapse Rate in Multiple Sclerosis Patients Before and After Vitamin D Supplementation,” Therapeutic Advances in Neurological Disorders 5, no. 4 (July 2012): 187-98 も参照。
42. R. E. Anglin, et al., “Vitamin D Deficiency and Depression in Adults: Systematic Review and Meta-analysis,” British Journal of Psychiatry 202 (February 2013): 100-07.
こちらは、デイビッド・パールマター医師の動画。
Dr David Perlmutter: Grain Brain, Eating Fat Makes You Smart, and Why (Brain) Size Matters
なぜ、科学的根拠があり、明らかに正しい知識が広まらないのか? との問いに・・・。
{私が言いたいのはまさにそれです。知識を売っても儲からない。大金をかけて宣伝する企業はない。}