2013年11月21日
成人病の真実
近藤 誠著
近藤先生の「医者に殺されない47の心得」が大ヒットしているようなので、
引き続いて、近藤先生の本について書いてみました。
(私の現在の考え方の説明にもなると思いますので。)
2002年初版の本です。
第1部
第一章 高血圧3700万人のからくり
第二章 コレステロール値は高くていい
第三章 糖尿病のレッテルを貼られた人へ
ここまでの部分は、ある程度糖質制限で対応できると思います。
ですから、糖尿病があるかどうか検診をうけることは意味があると思います。(できれば糖負荷試験)
やはり、糖質制限は巨大なパラダイムシフトです。
第四章 脳卒中予防に脳ドック
脳動脈瘤ほど悩ましいものはないですね。
よく「私なら手術が怖いからしませんけどね」と言いますが・・・・・。
第2部
第五章 医療ミス 医師につける薬はない
抗生剤の間違った使い方の指摘があります。
この点は、感染症科という専門ができて教育方法が変わって改善がみられます。
抗がん剤の使用方法については、腫瘍内科という専門ができています。
しかし、逆に別の問題が出てきています。
近藤先生も近著で「腫瘍内科医にはなるな」と強調しています。
第六章 インフルエンザ脳症は薬害だった
私が仕事を始めた頃は、成人も小児も、かぜ症状にロキソニンやボルタレンの処方が普通だった気がします。
現在はアセトアミノフェンを使う先生が多いようです。
ウイルス感染に解熱鎮痛薬を使う弊害は医師の間では認識されています。
「そもそも、解熱鎮痛薬が必要なのか?」という話ですが、基本的に必要ないと思います。
「明日仕事に行くために」「すぐなおしてくれ」などと患者さんが訴えられることが多いです。
「説明」を自分の仕事にしないといけないですね。
第七章インフルエンザワクチンを疑え
この問題はずっと論争が続いています。
特にこの2年くらいは、有効率がとても低いようです。
私のスタンスとしては「打ちたい人はどうぞ。打ちたくない人は打たなくていいですよ。」という感じです。
第八章 夢の「がん新薬」を採点する
グリベック、タキソール、ハーセプチンについて述べています。
私は仕事がら、慢性骨髄性白血病の治療が、
インターフェロンからグリベックなどの分子標的治療薬に切り替わるのを見ることができました。
おそろしい運命を救った奇跡の薬が「グリベック」です。
効果については、統計も議論もいりません。医学の勝利といえると思います。
タキソール、ハーセプチンについては「抗がん剤だけはやめなさい」にものべられている通り、
統計のごまかしで有効に見せかけられた薬のようです。
第3部
第九章 ポリープはがんにならない
第十章 がんを放置したらどうなる
胆のうポリープ癌化説、早期胃がん、大腸ポリープなどについて述べられています。
この問題は10年以上たっても変化ないようです。
内視鏡検査をしない開業医としては、あまり関係ないのですが、
ある日、進行した癌がみつかった場合、批判される可能性があります。
「検査をしなさいといってくれなかった」「早く見つけてくれればこんなことには」
患者さんも「早期発見、早期治療を」と考えているためと思います。
第十一章 腫瘍マーカーにおびえるな
第十二章 定期健診は人を不幸にする
PSA検診が一時注目をあびましたが、現在は逆に否定的な状況になっています。
定期健診で糖尿病をみつけることは、意味があると思います。