後悔したくなければ「医者の言いなり」はやめなさい
患者とともに考える、治療を受ける選択 受けない選択 名郷 直樹著
1.勝手に治る病気を治療して有効だと思い込む
2.どうやっても死んでしまう病気に有害なことをして最善の治療をしたと思い込む
3.治療を受ける人は受けない人に比べてもともとよくなりやすいのを治療のせいと思い込む
4.権威やその道の達人のやることはいいことだと思い込む
デビット・サケット(EBM実践の創設者)
第一章 治療はしてもしなくてもいい
・高血圧の薬をたくさんうりたい製薬メーカーの視点も治療に影響する。
・70歳代で上の血圧が160の患者さんについて
薬を飲まない人では10%、飲む人では6%が脳卒中を起こす
薬を飲まない人では90%、薬を飲む人では94%は脳卒中を起こさない
第二章 医者は検査しろとか薬を飲めというけれど・・・
・インフルエンザは迅速検査で診断できたりできなかったり
・インフルエンザは薬を飲まなくても治る
・ワクチン接種をしても、結構インフルエンザにかかる
・初診の9割は、結果的にはすぐに病院に来なくても良かった人
・「病院にいこうかな」その前に
・血圧は自宅で測ったほうがいい(連続して血圧を測ると、数値は徐じょに下がり最後に安定するので、その数値を本来の血圧だと考えればいいのです。)
・かぜには抗生物質が効くのうそ
・点滴するくらいなら食べたほうがいい
・点滴するより経口補水液を
・お母さんができるアレルギー対策には乳酸菌が一番いいかも(妊娠中から授乳期にかけて母親が乳酸菌製剤を服用すると、子供のアトピー性皮膚炎が少なくなるという複数のランダム化比較試験をまとめた研究結果)
・がん検診は受けても受けなくても大差なし
・子宮がん検診は21歳から(このワクチンは、がんの死亡を少なくしたというレベルのエビデンスがあるわけではなく、前がん病変を減らしたというエビデンスがあるのみで、このままワクチンを積極的に進めるかどうかは議論のあるところです。)
第三章 検査は受けても受けなくてもどちらでもいい
・CTは一回撮るだけで年間被ばく許容量をはるかに超える(CTを不要と判断できる診察ルール:意識を失うようなことがない。 嘔吐がない 元気がいい)(一回で1ミリシーベルトを上回る)
・MRIで病人にさせられる(偽陽性が多い)
・6つの質問で、あなたの腰痛がかんでないことがわかる
(@あなたは50歳以上ですか?Aいままでにがんにかかったことはありますか?B説明できない体重の減少がありますか?C一ヶ月以上治療しても症状が改善されませんか?D安静にしていても痛みますか?E一ヶ月以上、痛みが続いていますか?)
・レントゲンを撮ると痛みが長引く
・念のためのアレルギー検査で病人にさせられてしまう。(アメリカのアレルギー・ぜんそく免疫学会は、むやみやたらに血液検査でアレルギーの原因をさがしたりしてはいけないと主張し、「血液検査=アレルギーの原因がわかる」という考え方に警鐘を鳴らしています)
・認知症は早期発見でなくてもいい
・・・・コウノメソッドなどで早く治療できる可能性はどうでしょうか?
・ほとんどの副鼻腔炎は検査が必要ない(事実、細菌性の副鼻腔炎を含め、ほとんどの副鼻腔炎は、かぜと同様そのまま放っておいても2週間もすれば自然に治ってしまいます。
・血糖値は、測りすぎても意味がない
・・・糖質の摂取量と血糖の関係がわかれば、測定しなくても予測できます。
・本当は骨密度は測らなくていい(大腿骨の頚部骨折は60歳代ではほとんど起こらず、70歳を過ぎて急激に増加します。)
・そもそも骨量を頻繁に測っても意味がない(骨量の変化は1年で1-2%程度。検査の誤差も1-2%あるため)
・65歳未満の人は骨密度を気にしなくていい(大腿骨頚部骨折が70歳を過ぎて増えるのは、骨密度そのものよりは、転びやすくなる、とっさに手がつけない、受身をとれなくなることのほうが大きな因子です。)
・健康診断に心電図などいらない(無症状の人に心電図検査はすべきではない)
・・・これには反対の意見も多い気がします。たまたまとった心電図で異常を見つけるケースはあるので。
・手術前の検査についても必要がないものがある。
・冠動脈CTは、心当たりのある人以外うけてはいけない
・・・被ばくの問題もあります。
・定期的なエコー検査なんていらない(無症状の弁膜症というのは進行が非常に遅いため、早期発見の意味がありません。「早期発見・早期治療」という考え方が、日本には広く浸透しています。 しかし、場合によっては早期発見により経済的、身体的、精神的負担を増やすだけという場面は意外に多いのです)
・・・・・動脈のエコーなどは、ある程度の間隔で定期的にみたい気がします。
第四章 「薬が病気を治す」のウソ
・早めの風邪薬は必要ない
・・・葛根湯などよく効くこともあります
・インフルエンザも放置でいい
・マスクと手洗いはどこまで効果があるか(家族では難しくても、地域レベルでは、マスク着用と手洗い励行は、ワクチンに匹敵する予防効果があるといえるかもしれません。)
・(年に一回の大量投与)ビタミンDを摂り過ぎると骨折しやすくなる(年に一回の大量摂取ではなく、ビタミンDやカルシウムを毎日服用するやりかたは、骨折を10%程度減らすという複数のランダム化比較試験をまとめた研究結果があります。ビタミンDとカルシウムの両方を服用するという方法もありますが、両方飲んでもカルシウムだけのんでも、効果にほとんど差がありません)
・・・・・しっかり食事でカルシウムをとればよいということですね。
・骨粗鬆症の薬を長く飲み続けると骨折が増える(5年以上服用を続けている患者さんのほうが、大腿骨の頚部以外の骨折の危険が多いという結果が出たのです)
・・・・ビスフォスフォネートは3-4年以上は続けないほうがよいということになります。
・骨粗鬆症、控えめな治療のすすめ(だからこそ、がんばって骨を丈夫にする治療を何年、何十年と受けるより、転倒の原因となる降圧薬の飲みすぎ、睡眠薬や抗不安薬を減らしたほうが、骨折のリスクを減らせるのかもしれません。 それにプラスして、3年程度のビスフォスフォネートと長期のカルシウムの内服だけを続ければ、安全で安上がりの治療方法になるのです)
・使ってみたら期待はずれの新薬(ゼチーアが有効でなかったこと)
・・・ゼチーアは使うべきでない薬
・画期的新薬が、がんの死亡を増やした(ゼチーアでがんによる死亡が増加)
・肥満糖尿病の薬を比べてみたら驚きの結果が!(メトホルミンとアクトスの比較。アクトスは効果が少なく、副作用の危険が大きい(心不全) しかも値段が高い)
・血糖値を下げた分だけ合併症リスクが減るわけじゃない。
・・・・糖質制限をした場合はよい結果になるのではないでしょうか。
・厳しい血糖コントロールが招くもの(驚くことに、3つのうちの1つの研究では、厳しい血糖コントロールをしたグループで死亡が2割も増したというのです)
・薬で無理やり血糖値を下げてはいけない
・インスリンなどの薬を増やすと、どんどん太る。
・糖尿病ガイドラインが患者の寿命を縮める(このガイドラインについて・・・意味がわからないとはこのことです)
・・・・本当に訳がわからないガイドラインです。
・糖尿病の新薬の評価はまだ定まっていない(DPP4阻害薬について)
・・・全く同感です。グラクティブやエクアといった薬ですが、将来明らかになる副作用があるかもしれません。人体実験の真っ只中ということになります。
・ビタミンEが前立腺癌を増やす?(健康な人がビタミンEを飲んでも、心筋梗塞死を減らさない。
前立腺癌の発症率が上昇する)
・認知症の薬は本当に必要?
・・・フェルガードなどで予防になる可能性はないのでしょうか?
第五章 安い医療はいい医療
・高血圧に使われる利尿剤は少ないほうが効きがいい
・・・・安いいい薬で、良いと思いますが、使われてないですね。製薬会社が宣伝しないためでしょう。
・「高価な薬ほど効果がある」のうそ(利尿剤とアルファブロッカーの比較。古くからある利尿剤のほうが脳卒中などの合併症のリスクが低い。特に心不全は半数に抑えられる。)
・一番安い血圧の薬が一番いい(少ない量の利尿剤は、高血圧の最初に使う薬としてベストである。
・・特に心不全については、他のどの降圧薬と比べても、利尿薬が10%程度少ないという結果でした。)
(日本の高血圧治療ガイドライン2009より・・・日本も含めて高血圧の大規模臨床試験で利尿薬が他の降圧薬に比し優るとも劣らない成績を示している。利尿薬の使用頻度を増やすべきで、安価であり、医療経済の観点から優れている)
・血圧の治療薬でがんになる?(ARBの使用によって、がんの発症が増えるという研究結果)
・・・新しい薬なので、可能性は否定できないと思います。
コラム(最も売れている降圧薬に論文捏造の疑い・・・Jikei Heart Study, Kyoto Heart Study)
・・・例のノバルティス社のディオバンの論文です。嘘論文で、大もうけしたわけで、ペナルティとして、売り上げを国に寄付するべきだと思います。
・「高血圧の薬は一度飲むとやめられない」なんて誰が言った?
・・・糖質制限で減量すれば不要になる方がおられます。
・劇的な効果の陰にも副作用は必ずある(脳梗塞のt-PA治療について・・・症状が出てから3時間ないにこの治療を開始すれば、ほぼ完全に回復する人が、1.2倍も増える計算になります。ただ、10人治療して回復する人は1人に過ぎないともいえます。また、アルテプラーゼを使わなくても、39%は完全に回復するというのも驚きです。また脳出血は0.6%から6.4%へ増える)
・高い薬と安い薬、花粉症に効くのはどっち?(古い抗ヒスタミン薬でもいいのではという話)
・花粉症には高価な飲み薬より安価な鼻スプレー
・ぜんそくの治療に必要ない飲み薬(テオフィリンや抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬などの飲み薬は不要!?)
・・・喘息の専門の先生は、飲み薬も出される先生が多い気がします。EBMが全てでもないのでしょうか? 海外では吸入ステロイドのみで飲み薬の処方は少ないようです。
・死のリスクをあげる喘息薬(アドエアやシムビコートなどベータ受容体刺激薬を含む薬の危険性について・・・・長時間効き目が持続するベータ受容体刺激薬ひゃ、長期間にわたって使い続けた場合、ぜんそくの発作を悪化させたり、喘息に関連する死亡率を上げてしまうという複数のランダム化比較試験をまとめた研究結果があります。このため、長く続けるべき治療ではありません。
ぜんそくの症状がおさまって安定しているようなら、副腎皮質ホルモンの吸入だけに切り替えた方が安全でしょう。)
・念のための抗生物質が恐ろしい結果を招く(耐性菌の出現)
・・・・かぜに抗生剤、ずっと続くテーマです。
・抗生物質が必要な病気、いらない病気(副鼻腔炎で抗生物質が必要なケースは、・・・・38度以上の熱がある、顔の痛みが激しい、症状が10日以上も長引いて、一向に回復しない)
・中耳炎だからといって抗生物質ばいるとは限らない(大部分は放っておいても自然に治る)
・子供の下痢止めは乳酸菌で十分(下痢止めでなく、乳酸菌を。のんだグループのほうが下痢の持続時間が19.4時間短く、さらに2日目にも下痢が続いている割合が少ない)
・乳酸菌と抗生物質はセットで(下痢が減る。また、ピロリ菌の除菌の副作用を調べた結果、乳酸菌を併用することで思わぬ効果がみられました。1つは、下痢を含めたみぞおちの痛み、吐気、味覚異常などの副作用が6割近くも減少したこと。さらに、ピロリ菌の除去率もアップしたというのですから、すばらしいでしょう)
・・・・・こんなエビデンスがあるのですね。
・乳酸菌にはかぜの予防効果がある。(かぜになる人が半分に、抗生剤を必要な人が3割減少・・・ただしかぜになる前に)
・過敏性腸症候群にも効果がある乳酸菌(イリボーよりもよいデータがあるようです。)
・ステロイドは、怖いけどこわくない{短期間(10日以内程度)の投与であれば、アスピリンなどの解熱鎮痛薬より安全なくらいです}
・肺炎にもステロイドの効果あり
・短期的ならロキソニンよりステロイドのほうが安全
・痛風にもステロイドが効く(扁桃腺炎と同じく、ロキソニンよりも安全なため)
・末期がんにもステロイドが効く(末期がん患者の倦怠感を抑えるために、最も効果が高くて、しかも安いのはステロイドなのです。)
・安くて割のよいアスピリンの効能
・高くて新しいうつの薬が効かない(SNRIはSSRIに比較して劣っている)
第六章 医療を受けないという選択
・腰痛には安静より活動
・心筋梗塞・・・手術で狭いところを広げりゃいいってもんじゃない(心筋梗塞の直接的な原因とならない部分は、いくら細くなっていたとしてもステントを入れる必要はありません)
・傷からの出血、どんな処置をする?(圧迫止血を)
・傷口を消毒すると、治りが遅くなる(水道水で十分)
・・・湿潤療法ですね。
・うがいするなら水がいい
・傷口は縫ったほうが早く治る?(2cm以内では変わらず。ぬらしてもよい)
・・・・これも湿潤療法ですね。
・スリムな人のほうが早死にする
・コレステロールを下げると死亡率が上がる?(ゼチーアで死亡が増加)
・抗うつ薬は自殺を増やす?
・・・糖質制限のほうが安全ですね。
・血液さらさらの薬は糖尿病患者に必要か?(アスピリンを飲んだグループでは心筋梗塞や脳梗塞を6.7%から5.4%にやや減少させるものの、出血の副作用は薬をのんだグループで3.5倍多く、一度も心筋梗塞や脳梗塞を起こしていない糖尿病患者がアスピリンをのんだほうがいいとは結論できないという結果でした。 血管がつまりやすい糖尿病患者でさえ効果がはっきりしないわけですから、転ばぬ先の杖の感覚で、何も症状や病気のない人が、血液をさらさらにしようとしてアスピリンを飲むのは、やめとおくことをおすすめします。)
・・・副作用が比較的少ないプレタールならどうなのでしょうか?
・頭のMRIをむやみに受けるのはもうけ主義病院の思うつぼ(隠れ脳梗塞などみつけてもしかたない)