2013年4月1日
ヒトはおかしな肉食動物
タイトルにあるように「ヒトが本来肉食動物であるということ」を他の哺乳類の草食動物との比較で説明しています。
「ヒトは、草食動物ではないという意味で肉食動物である」
「草食動物とは、消化管内でのバクテリアの嫌気性発酵を、最低限でもエネルギー源獲得の手段として、さらに可能であればアミノ酸の獲得の手段(タンパク質栄養)として利用している動物のこと」
ウシ、ヒツジ・・・反芻胃内発酵(バクテリア蛋白、揮発性脂肪酸)
ウマ、ブタ・・・結腸内発酵(揮発性脂肪酸)
ウサギ、ネズミ・・・糞食(バクテリア蛋白の回収)
ウマ、ウサギ、ネズミ・・・盲腸内発酵(揮発性脂肪酸)
草食動物消化管内での嫌気性発酵は、<嫌気性菌排出物の揮発性脂肪酸がエネルギー源として><De novo合成された菌体のタンパク質がアミノ酸源として>生産され、宿主に利用されている。
それぞれの動物がどのような戦略で必須アミノ酸を得ているのかというのが興味深い点です。
ウシやヒツジ・・・いわば完全な草食動物なので、すべてバクテリアによってつくらせている。
ウマ・・・バクテリアの機能を使い切ってないので、過食して余分なエネルギーを消費しないといけない。
ネズミ・・・過食と余剰エネルギーの放散を行う。要求量を一番下回っている必須アミノ酸(制限アミノ酸)の要求が満たされるまでの摂食が必要になるので、ほぼ確実に過食する必要がある。また、余分なエネルギーを、一晩に6-10kmも走り続けて燃やす必要がある。
考察として、アミノ酸バランスのすぐれたジャガイモの導入がアイルランド人口増加に寄与したことが書かれています。
中学校理科教科書(大日本図書)にかつて記されていた内容。
紀元前5世紀ごろ、南アメリカのアンデスの高地で栽培が始められたジャガイモは、インカ文明を支えていた食物だった。16世紀はじめに、インカ文明はスペインによって滅ぼされるが、このときジャガイモが新たな栽培植物種としてヨーロッパにもたらされる。
やがてヨーロッパ北部では作物として定着し、それまでのコムギに比べて収穫量が多く、はるかに多くの人々を養えたので、著しい人口の増加が起こる。イギリスを中心に進行していた産業革命は、この人口の増加と大いに関係していると考えられている。アイルランドはかつて100万人程度の人口で安定していたのが、わずか、200年足らずで700万人を超える。
しかし、1846年から1847年にかけて、ジャガイモの病気が大流行したために収穫量が激減して、アイルランドでは200万人が餓死し、100万人が北アメリカに移住したといわれている。多数のアイルランド人が移住したことから、北アメリカの中北部でもジャガイモが栽培され始め、新大陸の開拓が進むひとつのきっかけとなった。