ウエストサイズ物語
お正月を迎えて、テレビを見ながら食べてばかりでますます体重が気になる方もいるかと思います。
■内臓脂肪の蓄積は病気の原因に・・・・・
隣の家に行くにも車に乗りたがる人がいますが、それほど人は歩かなくなっています。さらに、飽食の時代の影響で消費カロリーよりも摂取カロリーがはるかに多い人もたくさんいます。その結果ウエストは他人に知られたくない数値になり、内臓に脂肪貯金をたくさん貯め込んでいる人も居るでしょう。“肥満”とくに内臓脂肪の蓄積は糖代謝異常、高脂血、高血圧など動脈硬化を来す病気の原因となりますので油断できません。
そこで消費と摂取の収支バランスをとる工夫と努力が必要になってきます。運動は消費量を多くする手段ですが食事療法と平行して実施すべきもので、運動に励めばたくさん食べてもよいというわけではありません。
■運動療法の注意
従来の運動療法は1回20−30分程度の持続した有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング、スイミングなど)をできれば毎日、少なくとも週3−5回ほど、その人に最も適切な運動強度を算出して行うというものです。この20−30分持続する意味は、運動のしはじめは主に糖質をエネルギーとして利用し、時間が経過するにしたがってしだいに脂肪を利用するように変わっていくという説を根拠にしたものです。しかし30分程度の運動では脂肪の消費は期待するほど大きくはならず、むしろ持続運動を強調するあまり、連続運動をする時間がとれない場合には、運動しても意味がないと判断して運動を断念してしまい、結局1日の総運動量が減ってしまうことになります。
■身体活動は工夫できる
1995年アメリカスポーツ医学会とアメリカ疾病対策協会は健康のための身体活動の勧告を発表しました。翌1996年NIHもこの勧告に沿ったかたちの虚血性心疾患予防のための指針を発表しました。従来の運動療法を補うものとの位置づけになっています。この新しい指針は、中等度の身体活動を1日合計30分以上(8−10分のこまぎれでよい)ほぼ毎日行うというもので、運動はいわゆるスポーツではなく家事労働なども含めたものを身体活動と定義しています。時間は従来より長めが望ましいとされています。
この新しい指針なら仕事をしている多忙な人でも実行可能と思われます。休日は子供たちとプールに行ったり、ジョギングをしたりして従来の有酸素運動を実行し、平日は少し遠くまで昼食を食べに行ったり、コピーは自分でとりに行ったり、トイレは別の階のを利用したり、帰りはバス停をひとつかふたつ歩くことにするなど、こまめに身体を動かすチャンスはいくらでも身のまわりにころがっているはずです。
■食事バランスが大切
しかしこの運動だけではなかなか内臓脂肪は減ってくれません。食事療法の併用がどうしても不可欠なのです。太っている人に食生活について聞いてみると、必ずたいして食べていないと答えます。少ない食事で我慢しているのに体重が減らないと、食事療法に挫折してしまう心配があります。最近の知見では三大栄養素すなわち糖質、脂肪、蛋白質のうち、脂肪の割合が多い食事をしていることが肥満解消の妨げになっているようです。糖質と蛋白質は摂取量と消費量はおおむねバランスがとられていますが、脂肪は過剰にとっても消費はふえません。脂肪の消費は摂取量ではなくその人の体脂肪量によって決まるのです。
従って脂肪量の多い食事をしていると、体脂肪は増えて行きます。逆に脂肪割合の少ない食事をしても体脂肪量は変わっていないために、すぐには減量にむすびつきません。しばらくの間、運動のほかに脂肪の少ない食事を続けていると体脂肪が少し減ります。このように体脂肪は右下がりではなく階段状に減少していきます。減少のタイミングは個人差があります。
最近EBM(Evidence
Based Medicine)
がいわれています。科学的根拠に基づいた医療という意味です。たかが減量でも生理学、栄養学その他もろもろの科学的な理屈を理解したうえで実行すれば、成功率も高いと思われます。これらをきっかけに挑戦すれば、立派なオナカも既製服が入らないウエストサイズも理想的なシルエットになること間違いありません。