妊娠とくすり

油断は大敵

医学・薬学の進歩は世の中に数え切れない程の種類の薬を生み出しました。そして多くの人々の生命を救いました。
しかし一方では副作用のため、一生を台無しにしたり、命を失ったりした人もたくさんいます。
アザラシ肢症という奇形をご存知と思います。肩から肘、肘から手首、足の付根から膝、膝から足首までの発育が種々の程度に悪い状態で生まれ、極端な場合は胴体に直接、手首と足首がついているような奇形のことで、一見アザラシのように見えるものです。この奇形は20年以上前に、当時理想的な睡眠薬として使われていたサリドマイドを、妊娠初期に服薬すると発現することが判明して、大きな社会問題として取りあげられました。現在はもちろん発売禁止となっています。よく効く使いやすい薬として長年使っていたものが、副作用のため、ある日突然「毒物」になってしまうことがあるのですから全く油断できません。医師は常にあらゆる副作用情報にアンテナを向けておく必要があるのです。

様々なことに配慮を

ヒトはたった1個の受精卵から細胞分裂を繰り返して発育します。発育の過程で母親の身体に入って来る化学物質は胎盤を通して胎児にも影響がある可能性は十分に考えられます。そしてそれが催奇性のある物質の場合は不幸な結果になる場合もあるわけです。母親の身体に入る催奇性物質は薬だけとは限りません。レントゲン撮影のX線、たばこの煙、汚染された大気や水の中にも奇形の原因となる物質が含まれています。ベトナム戦争に使った枯葉剤の生産の途中で出来た化学物質がベトちゃん、ドクちゃんのような二重体児の原因といわれています。

最近は製薬メーカーは、薬剤の効能ばかりでなく副作用についても処方する医師に正しい情報を流すことが義務づけられています。特に妊娠中や授乳中の女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与されることになっています。

オムロン健康作り講座より  OMRON ライフ クリエイト サロン KAZ(カズ) 顧問ドクター
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