・分娩直前までの助産師の判断に疑問が残っていた。
・担当したスタッフではない産科医長の説明は、所々で二転三転していた。
・産科科長からの手紙は、私達との話を終わらさせるために「私達の誤解」で幕引きを図った。
私達が考える医療訴訟
・私達が訴訟を考えた部分は、「医療者が患者に説明責任を果たしていない」の点であり、患者と最後まで向き合わず、患者の知る権利を阻害するなら訴訟しかないと考えていた。
・問題点を列挙し、ここの点がわからないと説明を求めた。
・回答は、すべての点で行われず、個々のスタッフがどう判断したのかという点に関しては、一般論や姿勢のみを繰り返すため、何度もここがわからないと尋ねた。
私たち夫婦が問題とした点やその解決方法を簡単にまとめてみました。
・出生時の異常発見の遅れは感じていたが、医療行為に悪意や怠慢などは感じず、予測ができなかった事が偶発的に発生したと理解した。また、より適切に分娩進行がなされたとしても、娘に影響がなかったとは断言できないと判断されること。
・確定的なミスや怠慢が明らかな場合は、訴訟を起こし責任をとってもらうべきである。しかし、訴訟には多くの時間、物理的・精神的な労力が必要で、勝訴しても人として本当に望んでいた真実や誠実さが得られるとは限らないのではないだろうか?
・医療過誤、医療訴訟、責任追及をする意志が私達にはない事を口頭、文章で繰り返し伝えた。
・全て文書を保管した。
目的
・医療訴訟で適切なお産であったか否かの判断はつかないと考えた。
・残された疑問点を明らかにし、分娩経過のすべてを知る。
・客観的事実の突き合わせ作業(カルテ開示を含む)をすることで、医療者も向き合わざるを得ない方法をとった。
・病院側は最終的に助産師個人との面談を許可してくれた。
問題点
・担当した若いスタッフの人生を考えた。
・訴訟では互いに傷を負い負わせる事を忘れてはならない。
・助産師に直接、あの時どうして?・・・だったのかを聞き、率直にそのときの判断を答えてくれた。
結 果
なぜ責任追及しなかったのか?
・助産師はこの経験を生かし、現在の自らの仕事、病棟内でのスタッフの教育に生かしている。
・責任追及をしないことを繰り返し伝えていたためか、助産師は自分の力量不足、判断ミスを認めた。
解決法
・訴訟により、私達が娘を失い被害を被ったということを裁判で立証することよりも、スタッフの力量不足を人間の最大の武器である「学習と教育」で勝ち得る事が重要と考えた。