■  CDレビュー 紹介  ■




Paddy & Bridget & their great friends

Paddy&Bridget(以下P&B)ファンのみなさん、こん にちわ。
新年一発目のチャレンジ精神を 発揮して 恐れ多くも全曲レビューを書かせていただきにやってまいりました。よろしくで す!
ああーなんか変なこと書いちゃったらどうしよ〜恥ずかしいなぁ。
今から穴!に 入っときます。

1.Mrs.Maxwell/Carolan's Draught
出だしが「咳払い」なんていうCDが世の中にいくつあるか知りませんがこれがそ の一枚!
咳払いの主はジェルディーさんという農夫のコンサーティーナ弾きのお爺さんで す。
ジェルディーさんのコンサーティーナの音は彼にしか出せない音。
やさしくサポートするP&Bの演奏も染み入る〜。暖炉の薪が跳ねる音?も聞こえ て来て 3人の間の暖かい空気を感じます。

2.The Galway Rambler/The London Lassies
個人的に世界一フィドルがランブルしているGalway Ramblerかと。それを弾くの はベン・レノン氏で 超有名レノン一家の方。ほんとにあっちへ行ったりこっちへ行ったり楽しそうな 演奏です。

3.Carolan's Ramble to Cashel
この曲はゲストなしでP&Bお二人だけの演奏です。それで正解!の美しいデュオ です。
特に1分10秒あたりから後の儚げなフルートの音が訳もなく好きです。

4.The Tulla Polka/The Siege of Ennis
勝手に邦題「えんどー」 出だしの掛け声「エン・ドー」はゲール語で「ワン・ ツー」だそうです。
非常に盛り上がるチューンです。この録音での盛り上げ隊長?はカスティーズの 親父さんこと フランク・カスティー。

5.The Primrose Lass/Dan Breen's Reel/The Little Bag of Peaties
かわいらしいホイッスルにハープにも負けない華麗なブズーキにまず耳が行きま す。
それを演奏しているのはショーン・ライアンとアレック・フィン。音だけでルッ クスを想像してはいけません。
お二人とも巨漢のおじさまです。それはさて置き二人の特徴を生かすチューンの 選曲が光るセットです。

6.Farrell's Welcom to Limmerick
ゲール語でのタイトル「An Phis Fhliuch」はとても嫁入り前の私には口に出来 ません。そんなこと 言われると気になって眠れない!という方は守安さんに聞いてください。はは。
ゲストのパイパーはブライアン・マクナマラ。この方もファミリーで有名な方で すねー。
実にイーリアンパイプスの似合うカッコいいスリップジグです。

7.The Kilrush Polka No.1/The Kilrush Polka No.2/The Concertina Reel
軽快でかわいらしいポルカだけど演奏するとなるとむずかしそう。それを簡単そ うに演奏するゲストは マイケル・タブラディー氏ということで納得。最後のリールではダンサーのエイ デン・ヴォーハンのステップの 音も入っていてパブでダンサーのいるセッションを聴いているような気分になり ます。

8.The Strawberry Blossom/Rattigan's/Joe Bane's
出たー!これぞイーストクレアの匂いがプンプン。そのもそのはず!ゲストはメ アリー・マクナマラと パット・オコナーです。個人的にも大好きで時々弾くんですけど途中でなんか予 想を反する展開がある 特徴的なチューンが組まれた不思議で面白いセットです。悲しげなメロディーで はないんだけど何故か 終わった後に妙にそこはかとなく寂しさを感じるんですよねぇ。そんなところも 含めてハマれる逸品です。

9.Johnny Allen's/Sporting Nell/Toss the Feathers
出たー!第二弾。イーストクレアを代表するケーリーバンド、タラケーリーバン ドの重鎮の爺さん大集合!
P&B withと言うよりタラケーリーバンド withP&Bという感じ。いやもう〜音の渦 がかっこいい!渋い!
爺さん万歳!さすがはタラケーリーバンド!こういう加齢臭なら大歓迎!!

10.Down by The Sally Gardens
イェイツの詩に曲がついた超有名曲。歌はヘレン・ヘイズです。ヘレンの歌は落 ち着いた大人〜な感じです。フルートでマイケル・タブラディー氏も参加してい て笛のハモリが素敵。

11.The Knotted Chord/The Hunter's Purse/Tralee Gaol/The Ballyhoura Mount ains
ゲストはバウロンのケヴィン・コネフ。コンサーティーナふたつ(キー違い)と バウロンだけ??って思うくらい 色々なものが詰まっているビックリ箱のような演奏です。聴くたびにスーパーエ キサイトします。

12.The Job of Journeywork/The Priest and His Boots
私の大好きなセットダンスのお時間です。私は踊りませんがセットダンスのチュ ーンが何故か大好きです。
ゲストはマイケル&セイリーン・タブラディー。を!夫婦対決ですな。(笑)ど ちらも素敵なご夫婦です。
音楽の専門的なことはよくわからないけどセットダンスチューンて小節が半端な ものが多いんだって。
そこらへんの物足りなさというか適当さ(実際は適当な訳ではないだろうけど) が私の感覚に合うのかも しれないです。

13.Danny Ab's Slide/Is It The Priest You Want/The Glountane Slide
このチューンの出だしの「ぷっぷっぷっぷっ!」のおかげで私の中ではジャッキ ー・デイリーと言えば 「ぷっぷっぷっぷっ!」恐ろしい影響力を持つCDです。
コークの人、ジャッキー節が炸裂するスライドのセット。かっくいいー。

14.Banish Misfortune/The Humours of Castlecomer
なんだか木の葉が舞い散るような流れのピアノ伴奏にちょっと「ハッ」とします 。
弾いているのはマイケル・オルーク(そう読むのかな?)なんとこのCDに参加 しているゲストの 中で最年少の16歳!!(当時ってことね)それにしちゃ余裕の弾きっぷりかも〜 。

15.The Hellfire Club/A Midsummer's Night
元左官屋さんの笛吹きヴィンセント・ブロドリック爺の作った曲のセット。ヴィ ンセント爺はホイッスルで 演奏に参加しています。なかなか攻撃的なチューンで若い頃に作ったのかな?な んて勝手に想像して みたりして。

16.James Plunkett
恥ずかしいことに今レビューを書いててこのメロとタイトルが初めてちゃんと結 びついた!
ハイ。いまいちど穴!に入っときます・・・。そうかぁ〜これがJames Plunkett だったのね。
これもゲストなしのP&Bのデュオです。

17.The Maid of Mount Cisco/Christmas Eve/The Bucks of Oranmore
出たー!第三弾。内輪の勝手に邦題「黄金セット」誰がなんつってもカッコいい のだ!すごいセットなのだ!
おまけに誰が弾いてもかっこいいのだ!そんでもってここで共演している The C eili Banditsのイヴォーン(フィドル) オーイン(ブズーキ)クウェンタン(マンドリン&デジュリドゥー)の個性出ま くりがすごいね。
ミラクルなセットに弾ける演奏!フガー!

18.Saint Patrick's Day
世界中のアイルランド系の人々にとって無くてはならないお祭りの日がタイトル のセットダンスチューンです。
黄金セットで興奮して上昇した血圧を下げてくれる癒しのラストチューンです。

と言う訳で全曲感想文終了。お付き合いくださってありがとうございます。
CDにはマイケル・タブラディー氏によるチューンの解説と参加ミュージシャンの 紹介(翻訳あり)の ライナーがついていますので初めてアイルランド音楽を聴く方でも安心!そして もちろんリスナー歴の 長い方でも満足な濃い解説です。

あまり「本物」とかって言い方はしたくはないけどこのCDの中に詰まっているの は 「ある時期」の「リアル」なアイルランドの音楽だと思います。
残念ながら今は亡くなってしまったミュージシャンもいます。そんな人達に思い を寄せながら 音楽の中にうごめく何か、言葉では言い表せない何かを感じていただけたら・・ ・と思います。

                   へっぽこフィドラーBの字でした。09/Jan/2006





Paddy & Bridget & their great friends 2

皆さん、こんにちわ!「2」の全曲レビューを書く為に穴!から出て参りまし た〜。
では早速P&B& Their Great Friendsの世界に行きましょう!

1.Cooley's Reel / The Foxhunter's Reel
「1」に続きCDの出だしは人の声。「準備OK?」「おう!」「何を弾くか覚 えてるのか?」「わはははは!」
いですねぇ〜このノリ。「ハウスケーリーへようこそ!」って感じです。演奏さ れるチューンも盛り上げたい時は これでしょ!な選曲。チューンが切り替わる時には一緒に雄叫び上げてしまいそ う。
録音場所はハウスケーリーでは超有名一家のアントン・マガワンさんのお宅です 。

2.Calliope House / Pay the Reckoning
何を隠そうこの「Calliope House」はアイリッシュトラディショナル音楽を聴く かなり前から知っていた曲でして (Waterboysと言うバンドが演奏していました)その曲にここで出会えるとは!
パイプスとの演奏でその時にはわからなかったこの曲の魅力が倍増。楽しいジグ のセットに心踊りますねー。
弾くのはむずかしいけど。(笑)

3.Maghera Mountains
今や世界的フィドラーのマーティン・ヘイズが10代前半で作った曲。才能のある 方は違いますねぇ。
10代前半でこのメロディーですよ!奥さん!女性はメロメロですね。

4.Tommy McMahon's Reel / The Jolly Tinker
ウッドブロックのカウントで始る勢いある演奏には鼻血ブー!ドッカン!ドッカ ン!とうるさいくらいのドラムスに 負けないフォー・コーツ・ケーリーバンドのクリス・ドローニー&ジョー・リン の演奏が若い!!
私の中ではフォー・コーツ・ケーリーバンドはタラ・ケーリーより少し年下の爺 バンドという印象があり 写真で見るクリスさんはもちろんお爺さん。しかしながら音の加齢臭はいい意味 で感じられず 逆にギラギラと燃えている感じさえします。まだまだ青春なんですねぇ。

5.The Kilnamona Barndance
「1」の咳払いの人、ジェルディーさんです。ああ〜もうこの人の演奏の前では 何もかも忘れて聴き入りたい。
こんなにもかわいく美しくコンサーティーナを弾く人を私は他には知りません。 知らなくてもいいです。

6.Carolan's Concerto
世界で一番たくさん演奏されているんじゃないか?と思うオキャロランの有名曲 。レコーディングしている人も たくさんいるしフランスあたりの宮廷で演奏されてたかの様なバロックぽい豪華 なバージョンもよく聴くけど ここではP&Bの二人のみの演奏です。出だしの笛の音と7秒のところの「ぴゅるん !」と音が上がるところが 大好きですねー。そっと寄り添うようなハープの音も素敵です。

7.Lucy Campbell / The Duke of Leinster
出だしを聴いて「Bucks of Oranmore」とよーく間違える「Lucy Campbell」 演奏の難易度はこちらが上かもしれませんが(当社比)なんとなく損をしている チューンという印象があります。
ここでのゲストは楽器製作者としても名高いエーモン・コッター(フルート)、 ジェラルディン・コッター(キーボード) パダー・オロッコリン(フィドル)。気心の知れた、しかも質の高いセッション を聴いているような感じです。

8.Bridget Cruise, First and Second Airs
ややや!?これは日本の曲か?と思うような第一印象。音はハープだけどお琴を 聴いているような気分。
そしてチェンバロとハープで宮廷へトリップ。なんとも不思議な世界です。最後 の「ハッ」と夢から覚めたような 終わり方も粋ですね。

9.The Hills of Coor / The Stack of Oats
ジュニア・クリハン作の「クーアの丘」彼が70年間毎週日曜に演奏をしていたパ ブのために作った曲。
フィドラーとしてはとんでもなく「へっぽこ」な私ですがこの曲が弾きたくて弾 きたくてその想いで少しは 成長したと思われる、とても有り難いご恩を感じるウルトラスーパー個人的思い 入れの強いセットです。
録音が行われたゲストのスージー・コックス(コンサーティーナ)の自宅はジュ ニア・クリハンの家とも ご近所さんだそうです。ジュニア・クリハンへの想い、伝統音楽への愛情、P& Bとスージーの友情 たくさんの思いが空気に満ち溢れている気がします。

10.The Fermanagh Curves / The Sunset Reel / The Piper's Broken Finger

ボーイズ・オブ・ザ・ロックの天才フルート奏者、カホル・マッコーネル作のジ グとリールを組み合わせたセット。
解説にも書いてあるんですけど最初の二曲はほんとに奇妙と言うかアイルランド 音楽としては耳慣れない 展開の曲です。キーも不思議。こういう曲も違和感なく自分達の色にしてしまう P&Bの力量を感じるセットです。

11.Bhios-sa La i bPortlairge / There's No Place Like Home

思わず踊り出したくなる楽しい楽しいポルカ!ゲストは曲を伝授してくれたトム ・ケアリー(コンサーティーナ)と マイケル・タブラディー(コンサーティーナ)なんと三人のコンサーティーナV Sフルート一人です。
そのせいか?コンサーティーナのボタンを押すカチカチという音がよく聞えてこ れがまたいいアクセントに なっています。

12.Paddy Fahy's Jig / The Leg of the Duck
またまたなんとなーく不思議な音で始るジグです。いかにも「ブズーキで〜す! 」と響いてくるブズーキを 弾いているのはクレアのブズーキ大将オーイン・オニール。

13.The Porthole of the Kelp / The Maids of Mitchelstown
弾けるようになりたいけどなかなか弾けない曲リストの上位に入っている渋〜い セット。
敬愛すら感じる音の加齢臭を放つイーストクレアの重鎮、P・J・ヘイズの演奏が 聴ける貴重な録音です。

14.John Peyton / Owen O'Rourke
何だか教会で高〜い窓から降り注ぐ光を浴びているような気分になります。
やっぱりオキャロランっていいですねぇ。

15.Sergeant Cahill's Favourite / The Maid on the Green / A Night at the Fair
またしてもコンサーティーナ3人!しかも名人トミー・マクマホン、その息子ロ ーリー・マクマホンがゲスト。
しかし今回はフルート部隊にマイケル・タブラディーもいます!出だしの「コン コン」は誰の合図なんでしょうか?

16.Paul Rodden's Hornpipe / The Gatehouse Maid
何とも清廉なフィドルで始るホーンパイプ。え?ホーンパイプ?って感じですが タイトルにもホーンパイプと あるので間違いはございません。この清らかなフィドルの演奏はゲストのメアリ ー・カスティー。
音色とメロディーがとっても合っているなぁ。

17.Paddy Finlay's Reel / O'Connell's Trip to Parliament / The Mossy Bank s
まさに少数精鋭でダンスの伴奏のために演奏されているような印象のセット。 余計なものは一切なし!

18.The Princess Royal
「2」の最後を飾るのはジェルディーさん。「1」の出だしもジェルディーさん 。P&Bにとって彼がどんなに 大切な人であるかがわかります。

一生のうちに聴けるCDはたくさんあるようでそうでもないかもしれない。
そんな中で「出会えて良かった」CDに当たる確率は案外少ないかもしれません ね。
私にとって今回レビューを書かせて頂いた「Paddy & Bridget & Their Great Friends」の1と2は出会うことが出来て本当によかったと思えるCDです。
音楽からはたくさんのものが学べます。

                  へっぽこフィドラーBの字でした。11th/Mar/2006


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