クリニック便り 1号   平成16年3月12日発行

                            いのまた こどもクリニック 猪股弘明

              ☆こどもの発熱☆

 これから、「クリニック便り」として、こどもの病気のことその他色々なことの情報をお伝えします。

お子さまの急な発熱、心配ですね。でもあわてずに、ご家庭での適切な対処が大切です。第1号では、その原因や対処法などについて取り上げます。 

まず、
“こどもの発熱”とは何度からを言うのでしょうか?乳幼児の平熱は37℃を越えていることが多く、また環境の温度や活動に左右されやすいので、元気に遊んだ日の夕方には37.5℃くらいまで上昇することはよくあります。こどもの発熱とは38.0℃以上のことを言い、37.5〜37.9℃までを微熱と言います。

 こどもは風邪の熱でも40℃になることもあり、一般に熱の高さと病気の重さとはあまり関係はありません。また、高熱で頭がおかしくなるのでは?と心配される方が多いのですが、熱のために頭がおかしくなることはありませんので心配しないで下さい。むしろ、後でお話する熱の他の症状を良く観察することが大事です。

 発熱の原因は大きくウイルス感染と細菌感染とに分かれます。こどもの発熱の原因のほとんどが風邪などのウイルス感染です。ウイルス感染の場合はたいていお熱は3日ほどで自然に下がります。特効薬はなく、抗生剤も効果がありません。せきや鼻水を和らげたり、お腹の調子を良くしたりする対症療法で、自然に治るお手伝いをするのです。水分をよく摂らせてお家でゆっくり休ませてあげるとよいでしょう。もし、入院するほどではない細菌感染で抗生剤が処方された場合でも、抗生剤の効果は2日しないとわかりませんので、他の症状が悪化しない限りはお薬を飲んで様子を見ましょう。

 38℃くらいの熱でしたらまず氷枕で頭や首を冷やしたり、タオルを巻いた氷のうでおでこを冷やしたりしましょう。それでも効果がないときには、脇の下や股の付け根を氷のうで冷やしたりするのも効果があります。でも、嫌がるこどもを押さえつけてまでする必要はありません。最近のおでこに貼るテープは効果は少ないでしょうが、気持ち良さそうならやっても良いでしょう。

 衣服は心配のあまり厚着をさせる親御さんも居ますが、寒がらない程度に薄着をさせて、汗をかいたらこまめに着替えさせましょう。熱の上がり際にブルブル振えることがあります。「悪寒戦慄」と言いまして、大人でも経験があるでしょう。「けいれん」と勘違いされる方も居ますが、意識がなくなったり、顔色が悪くなったりしなければ心配ありません。その時は保温をして、寒気がおさまってから薄着にしましょう。手足だけが冷たくなる場合には手袋や靴下で温めましょう。

 解熱剤は、生後6ヶ月以上のお子さんであれば、38.5度以上で、しかも元気がない場合は使用してもよいでしょう。でも、熱を出すことでウイルスや細菌を攻撃しているとも考えられますので、元気であったり良く寝ているのに解熱剤を使う必要は全くありません。解熱剤は一時的に体温を下げるだけで、病気をなおすものではありません。また、解熱剤を使っても熱が下がらない、と心配される方もいますけど、1℃下がれば効果があったと考えて下さい。急激に平熱まで下げたら体もビックリしてしまいます。熱の上がり際のために解熱剤を使っても下がらない場合や一度下がったけど直ぐに上がった場合などには、脇の下や股の付け根を氷のうで冷やしたりしましょう。解熱剤を使う間隔は6〜8時間以上は開けましょう。

 お熱よりも他の症状に気を付けましょう。水分が充分に摂れなかったり、嘔吐が続く、顔色が悪い、意識がはっきりしない、あるいはけいれんを起こしてしまった場合などには、早めに医療機関を受診しましょう。

元気であっても熱が3〜4日経過しても解熱しない場合は風邪以外の病気が考えられますので医療機関を受診しましょう。

 また、生後3ヶ月になる前の赤ちゃんがお熱を出したときは重い細菌感染症である可能性が多いですから、必ず夜間でも夜急診への早めの受診が必要です。   トップページへ戻る