「花とロマンのエクスプローラー」の序言

 

それは、奇跡でした。

 

オホーツク海沿岸の街、紋別市の民宿を予約した折、ご主人に、「旭川から紋別に行くのですが、花の名所などはありますか?」と尋ねました。

 

「旭川からの途中に滝上町(たきのうえまち)を通るだろうから、もう芝桜は終わったけれど、個人で植物園を開いているようなので、訊いてみるといいのでは?」とのご返事。

 

滝上町に立ち寄り、お店の人に尋ねると、

「芝桜は終わったし、なんもないし、そんなとこ知らない。」とのこと。

しかたなく、芝桜の公園に行く。

橋を渡り、公園の入り口付近に民家があり、年配の方が車に乗り込んだので、

「綺麗な花の写真を撮りたいのですが、、、」と言うと、

「友達が花を見てくれと言ってきたので、今からそこに行くのだが、よかったら行ってみるかい?」

 

車でついていく。

走ること約15分。

その人は道に迷った様子。

牧場の中の轍を大きく揺れながらゴトンゴトンと進む。

仰っていたその友人に出会う。(ホッ)

 

車3台で、舗装道路を登って行くと、路の両側に花、花、花。

中腹の小高い丘に咲き乱れる花。

 

車を降りて、花の写真を撮る。

その友人にお話を聴くと、

 

『道楽で植えた。自分で路を舗装した。20年前に思い立ち、15年前からコツコツと種を植えていった。

まだまだ途中で、後3年はかかる。この山をルピナス(のぼりふじ)で、いっぱいにしたい。』

 

『あんたは、とても幸運な人だ。未だ、町の人にも見せていないのに、、、』

 

この方の本業は菓子店のご主人で、趣味でこのルピナスを植えているだけ。

いくらぐらい投資したのかと訊くと、

『そんなことは、訊かないの。俺はバカで、道楽でしているだけなのだから。』

 

あまり能弁ではない、口下手で、頑固な菓子職人の一途な道楽に「男のロマン」を見ました。

花の探訪者にとっては、奇跡が起こったようでした。

左の人は偶然出会った方。右の白い帽子に上着の方が菓子店のご主人。

出合った日は、小雨模様でしたので、翌日晴れたので、麓の入り口から中腹の丘までを撮り直しました。

ルピナスの丘

左上の街並みが滝上町

ご主人のお店

ご主人の作品群

 

 

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