交響詩「く・り・ん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

くりんの
妖精たち

 


前奏曲

くりん(九輪)とは五重塔などの最上部にある仏教的な建築装飾です。

「九輪」は文字通り九つの輪のことです。

相輪(そうりん)とは、五重塔などの屋根から天に向かって突き出た金属製の部分の総称です。

九輪(宝輪)は、五智如来と四菩薩を表しています。

五智如来(ごちにょらい)は、五大如来ともいい、密教で5つの知恵

 (法界体性智、大円鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智)を5体の如来にあてはめたものです。

大日如来(中心)

阿しゅく如来(東方)

宝生如来(南方)

阿弥陀如来(西方)

不空成就如来(北方) 

四菩薩(しぼさつ)とは、

「四名の菩薩」の意で、

普賢菩薩、

文殊菩薩、

観音菩薩、

弥勒菩薩

を四菩薩と一般的には称しています。 

輪については、戦車の車輪を意味しています。

仏教が突進する戦車のように破竹の勢いで広まっていくようにとの意味合いを持っています。

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序曲

5月末に長野県南部の飯田市で「クリンソウ」が咲いているという話を聞き、6月5日に、貰った手書きの地図を頼りに、ようやく目的地に到着しました。

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くりん草(九輪草)

すっくとせせらぎの辺(ほとり)に立ち、

宙(そら)に向かって真っ直ぐ伸びた茎の柱芯(ちゅうしん)に規則正しく花や蕾が輪になっている様(さま)は、まさに五重塔の「九輪」にそっくりでした。

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第一楽章

 

くりん草(九輪草)の群生です。

九輪乱舞(くりんらんぶ)しているように見えませんか?

 

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ここは正確には、

長野県下伊那郡(しもいなぐん)喬木村(たかぎむら)小川7600-1

九十九谷(くじゅうくたに)森林公園です。

 

飯田市と天竜川ではさんだ東側に位置する村です。

果樹栽培が盛んなところでもあります。

 

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第二楽章

そこでお会いした「くりん草愛好会」の古老のお話です。

15年ほど前(正確には平成8年)に喬木村(たかぎむら)は村花(そんか)を村民から募(つの)りました。そのときに、山奥に自生する「くりん草」が選定されました。

村の職員の林さん(女性)が一人でコツコツと山間(やまあい)の沼地に一輪一輪丁寧に植えていきました。その場所は今とは違う道路をはさんだ向こう側の小さな沼地でした。

なかなか捗(はかど)らないその様子を見た人々が、一人、また一人とボランティアで林さんのお手伝いをはじめました。今では、30名を数えるほどになりました。

 

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第三楽章

戦友に、塩ジィで有名な塩川正十郎氏(前衆議院議員)がいまして、湿地の整備の協力をお願いしたところ、予算が付き、整備が進んで、現在では「くりん草」を5万株にまで増やすことが出来ました。

今、一番咲いているところは4年前から植えたところで、半日半照(はんぴはんしょう)、つまり半日ぐらいの日当たりがあるところが「くりん草」にとって一番良い条件だそうです。

また、カンカン照りの場合でも、根元に水があると大丈夫だそうです。

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終楽章

 

「ロンド(輪舞曲)」とは、元々フランス語で「円、丸い、回る」という意味です。

主題の旋律が回るように何度も繰り返し登場する楽曲の形式をロンド(輪舞曲)と呼びます。

ソナタ、交響曲、協奏曲などの終楽章に多く用いられています。

 

この「くりん草(九輪草)」の群舞を

私は、「輪舞(ロンド)」と名付けました。

 

今後、この時期に、何年にもわたって繰り返し美しい「輪舞(ロンド)」の舞姿を

私達に見せてもらいたいと願う次第です。

 

 

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タンポポとシロツメグサ

友情出演です。

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タンポポさんたちが向こう側を向いて何か会話をしているように見えませんでしょうか?


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くりんの妖精たち

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