a福島県湯川村・桜町遺跡  200911260840 福島民報                                                 

湯川・桜町遺跡の井戸に木枠 全国的に珍しい構造

 

 弥生時代後期(2〜3世紀)の鋤(すき)や鍬(くわ)といった木製農耕具

が福島県内で初めて出土した湯川村の桜町遺跡で、すでに見つかっている井戸

跡から新たに、井戸枠基礎部分を支える別の木枠が見つかった。京都大文学研

究科の上原真人教授(考古学専門)は「構造的に聞いたことがない」と話し、

全国的に極めて珍しい例としている。

 井戸枠は丸太の中心部分をくりぬいた形。新たに発見された木枠は井げたに

組まれ、井戸枠となっている丸太の基礎部分を支えている。木枠の下からは砂

利が発見された。井戸の水が濁らないように工夫したとみられる。井戸枠の内

側からは弥生土器も見つかり、弥生時代の井戸跡であることが裏付けられた。

 上原教授によると、通常丸太をくりぬいた井戸枠だけで井戸として成立する

が、桜町遺跡の井戸跡から木枠が見つかったことについては、「水の勢いが強

く、丸太を支えきれなかったために木枠を組んだ可能性もある」と指摘してい

る。

 

 
【写真】井戸枠基礎部分から新たに
 
 見つかった木枠(写真上部分)
 


a福島県湯川村・桜町遺跡  20091015日木曜日 河北新報                                                 

3種類の周溝墓発見 福島・湯川の桜町遺跡

   福島県教委は14日、湯川村の桜町遺跡の発掘調査で、形状の異なる3

種類の周溝墓(しゅうこうぼ)を発見したと発表した。弥生時代後期(2

〜3世紀)の遺跡から複数の形状の異なる周溝墓が見つかる例は国内でも

少ないという。

 周溝墓は古墳よりも規模が小さく、溝に囲われた墓の呼び名。本年度は

約1万2000平方メートルを対象に発掘が行われ、弥生時代の竪穴住居

跡3カ所と周溝墓12基などを発見した。

 第1次調査(2004年度)では周溝墓7基(8基の間違い)すべてが

四辺のある「
方形」だったが、今回は「前方後方形」や「前方後円形

も見つかった。周溝墓の変遷を考える上で貴重な資料になるという。

 弥生後期の井戸跡や貯蔵施設の土坑から、くわの先端部やすきなどの木

製農耕具も出土。東北では中在家南遺跡(仙台市若林区)で弥生中期の木

製農耕具が見つかっているが、後期のものは珍しいという。

 発掘調査は、国が進める会津縦貫北道路建設に伴う埋蔵文化財の記録保

存が目的。県教委は10年度も調査する。一般向けの現地説明会は17日

午後1時半から。連絡先は県文化振興事業団遺跡調査部024(534)

2733。


 
 弥生後期とみられる前方後方形の周溝墓。
 
 縦8メートル、横6メートルの大きさがある
 
 =福島県湯川村の桜町遺跡

  参考

2004年度の第1次調査で、8基の墓。  方形周溝墓。
2009年度(今回)の第2次調査で、12基の墓。 方形周溝墓、前方後方形周溝墓、前方後円形周溝墓。

参考 2009年10月15日  KFB福島放送

四隅が切れた桜町9号墓
前方後方形の桜町16号墓
前方後円形の桜町20号墓


参考 2009年10月15日  読売新聞

桜町遺跡は、会津縦貫北道路の建設に向けた用地調査で1997年に発見され、同事業団が今年4月から第2次調査を行っていた。見つかった農耕具はスキとクワの一部=写真左=で、木製のものが腐らずに見つかるのは珍しいという。また、周囲に溝を張り巡らせた墓跡「周溝墓」が3種類見つかり、縁の部分に段差があるのが特徴の土器も出土。
土器は北陸地方で見られるもので、会津地方と北陸の交流があったことがうかがわれるという。同事業団は「竪穴の住居跡や井戸跡なども見つかっており、弥生時代の会津地域の集落のあり方を考える上で貴重な遺跡」としている。