本発表では、近未来での実現が予想されている「第5世代(5G)通信」の電波利用基盤において生ずる「自然独占問題」を検討する。
5Gにおける技術的特色からスモールセルの採用と、その結果としての重複設備投資の回避と同供給独占(自然独占)が不可避であるとすれば、競争推進のためには5Gサービスの上下分離が自然な対応策である。これにより、少なくとも「上部サービス」で競争環境を実現できる。問題は「下部基盤(インフラ)」の独占から生ずる弊害である。本発表では、まず同上下分離を実施した場合に事業者に課すことが適切と考えられる規制内容を考察する。ただし、企業統合経営の利益を損じないよう、会社分割ではなく、「サービスの分離」のみを提案する。これに次いで、「地域分割」と同インフラ事業の「交代可能性(contestability)」による長期的な独占の弊害防止策を提案する。
2018年11月に実施予定の米国5G周波数オークションは、上記問題の発生を一部予測して計画されているものと推測される。また基地局共有のための「タワー事業」が米国、中国他において近年普及している事実も、上下分離の先取りになっている。これらについても検討を加え、タワー事業やインフラ共用方策の無規制導入(2018年11月2日総務省提案を含む)は、将来における地域独占とその弊害を招くことを指摘する。
第5世代通信、スモールセル、自然独占、上下分離、タワー事業
「第5世代(5G)通信の電波利用基盤 ― 米国5Gオークションと「タワー事業」を参考に ―」
(4) 当日配布資料 ワード文書 [PDF: 413MB] (2018.11.15) (3) 発表資料(発表用短縮版) パワーポイント [PDF: 3.83MB] (2018.11.15) 同上 ワード文書 [PDF: 841KB] (2018.11.15) (2) 発表資料 ワード文書 [PDF: 832KB] (2018.10.31, 2018.11.15修正) (1) 発表資料(申込用短縮版) ワード文書 [PDF: 480KB] (2018.8.9)
「5G通信の電波利用基盤(コメント)」 [PDF: 94KB]
I.第5世代(5G)無線通信の特色と独占要因
- 本研究のカバーする5Gについて
- 周波数帯容量の巨大化
- 電波到達距離の短小化
- 5Gサービス普及のイメージ
- 現状(4G体制)を延長して5Gを建設した場合の結果予測
II.通信アクセス用インフラにおける独占問題
- 独占と競争の矛盾
- 移動通信における重複投資の例
- 解決策
- 米国5Gオークション(2018年11月14日予定)
- 「タワー事業」の展開
III.5Gにおける競争環境の実現方策 ― 上下分離(提案1/2)
- 「上下分離」の概要
- 基地局事業者(AP)
- 通信事業者(CP)
- 規制内容
IV.基地局サービスにおける(長期)競争環境の実現(提案2/2)
- AP環境についての目標
- 説明用記号
- AP用「地域」の設定
- APの初期・経常業務
- APの(長期的)義務
- 基地局フランチャイズ権に関するEMMの意義
- APがサービス価格 p の「修正」を必要とするとき
- 現状からの漸次移行方策 ― 上下統合(4G)から上下分離(5G)へ
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Hajime Oniki