歯科技工とは

【入れ歯と口腔保健】
歯の健康を維持することは、食事や会話など、生活を楽しむ上でとても大切なことです。
高齢者で歯の喪失が少なく、よく噛めている人は、生活の質が高く活動的で、運動や視聴覚機能が優れていることが明らかになっており、厚生労働省でも「80歳で20本以上の歯を残そう」とする8020運動を推進しています。(茨城県では独自に6424運動を推進)
現状は、80歳で20本以上の歯を有する者は38.3%との報告があります。そして、補綴物の装着割合は85歳以上で50%を超え、総入れ歯の割合が多いそうです。(厚生労働省 平成23年歯科疾患実態調査結果より)
歯科技工は、そうした高齢化社会を支えるためにも必要な技術で、日々の技術研鑽が必要になっています。

【歯科技工物はひとつひとつがオーダーメイド】
皆さんは歯が痛くなったらまずは歯医者さんに出向くかと思います、そこで歯の治療を受け、被せ物や入れ歯などを入れることになると、型を取り、どんな材料にするか等を決定します。
その後、その情報とともに歯科医師から歯科技工物の制作の依頼をされ、歯科技工士は、その歯科技工指示書に従い、歯科技工物を作成します。
すべてが一人一人の患者さんに合わせて作られるので、同じものはひとつとありません、かみ合わせや装着した時のバランスなどを考え、何度もチェックを重ねて作られます、歯科技工物は、いわゆるオーダーメイド品なのです。
歯科技工物ができたら、歯医者さんで仮装着し、かみ合わせや装着感、周りの歯とのバランス(色や形)、発声の具合等を患者さんの意見を基に調整を行い、本装着となります。
以上の行程において、患者さんご自身の感覚は非常に重要です、不快感や異物感をなるべく少なくする為、不具合は歯科医師に遠慮なく申し出てください、 かみ合わせは腰痛や肩こりに影響するとの報告もあり、歯科技工物は健康に直接影響を及ぼすものです、 納得のいくまで確認してください。

【歯科技工士が作成する主な歯科技工物】
 詰め物(インレー)
もっとも一般的な歯科技工物で、虫歯の一部を削り金属等でもとの形に埋め戻します。
最近は紫外線で固まる専用の樹脂で作成されるインレーもあります。
 被せ物(クラウン)
一般に「銀歯」という通称で呼ばれている歯科技工物です。
虫歯の範囲が歯の全体に及んだ場合、全体的に削った歯に金属やセラミックの被せものをして形や機能を回復します。
 ブリッジ
抜けてしまった歯の両隣の歯を支えに、前出のインレーやクラウンを橋脚のように利用し、抜けてしまった場所に新たに人工の歯を据え付け、形や機能を回復する歯科技工物です。
 白い歯(前装冠)
前出のクラウンの一種で、主に前歯等見た目の自然さが重要な部位に用います。
材料は、金属プラス樹脂、金属プラスセラミック、セラミック無垢等を用い、色や形を周りの歯に合わせて作成します。
 部分入れ歯(局部床義歯)
部分的に抜け落ちた歯に合わせて部分的に装着する入れ歯の一種です。
残っている歯や歯肉によって支え機能を回復します。様々なサイズや形があり、これぞオーダーメードの極みです。
 総入れ歯(全部床義歯)
歯科技工物として最もイメージしやすいのが総入れ歯です。
一本も歯がない口の中に装着するもので、口の内側の粘膜に吸盤のように張り付かせ機能を回復させます。
 インプラント(人工歯根)
抜け落ちてしまった歯の場所(顎の骨)に人工の歯根を埋め込み(歯科医師による手術が必要です)、それを土台にクラウンや入れ歯を装着し、機能を回復します。
 矯正装置
歯並びやかみ合わせを正常な位置に戻すための装置です。
直接装着するタイプや、就寝時に装着するタイプなど、症例により形や使用例はそれぞれですが、近年はデンタルIQの向上により幼少期から歯列矯正を行うことが一般的になりました。

【歯科技工物に使用する主な材料】
 歯科用合金
歯科合金は厚生労働省の「管理医療機器」認定金属を制作物に応じて使い分けます。
 鋳造用各種合金
歯科用銀合金、金合金、金銀パラジウム合金、白金加金、ニッケルクロム合金、コバルトクロム合金、チタン合金等を使用して歯科技工物を作成します。
一般的な保険診療では、主に金銀パラジウム合金が使用されます。
以上の金属は鋳造という工程を経てインレー、クラウン、ブリッジ等の歯科技工物となります。
 レジン
義歯や矯正装置でも上記のような合金を使用しますが、とりわけ多く使用するのがレジンと呼ばれる樹脂です。
歯科用に開発された高分子ポリマーで、熱反応で固まる(重合)ものや、光反応で固まる(重合)ものなど目的によって色や硬さや性質が異なる材料です。
例えば、入れ歯の歯茎にあたるピンク色の部分や、矯正装置では主に透明な入れ歯のような部分、また、前装冠においては表面に白い歯の色のレジンを使用します。
 義歯、矯正装置用合金
部分床義歯、矯正装置等は、口の中に技工物を装着するための「維持装置」を設けます。
例えば、部分入れ歯についているあのバネのような装置です。これらは、硬くて弾力性に富んだコバルトクロム合金の針金を多用します。また、矯正装置においては、コバルトクロム合金の弾力を利用し歯並びを正常に戻す作業を行います。
 金属以外の材料
前装冠や、インプラントにおいては前出のレジンの他に、ポーセレン、ハイブリットレジン、ジルコニア等形態や色調の再現力に優れた材料を使用します。しかし、これらは保険診療では使用できない材料なので、お望みの場合は自由診療でどうぞ。
 その他の材料
以上の他にも、入れ歯に使用する人工歯や、模型を作る石膏、歯型を形成するワックス、鋳造のための埋没材、研磨のための各種材料等、事細かに「管理医療機器」に認定された材料を使用し、歯科技工物の品質の安定を図っています。