02:)つねる

『もうすぐ夏本番、注目のテニス部関東大会出場決定!!』
と大きく見出しがかかれ、テニス部部長である生徒会長がでかでかとのっている 校内新聞を見て私は驚いた。 何が驚いたかと言うと、レギュラー部員のインタビューに加えて細かなプロフィールまで 載っていたからだ。
名前、クラス、生年月日に身長体重、好きな食べ物嫌いな食べ物好きな色などなど。 まあ、回答は任意だったのだろうがこんなもの校内新聞に載せるなよとうんざりした。 物好きの集まりである報道部が発行しているとだけあってこんな事になっているのだろうけれど。
テニス部に目当ての人がいる子だったら、嬉しがるんだろうなと考えたりもした。 まあ、私には関係ないけど。
と、今まで見ていたそれを折りたたんでいると鳳くんに声をかけられた。

「おはよう。あ、それ貰ったんだ」
「あ、おはよう。うん、まあ校門で配ってたから」
「そうなんだ」
「いる?」
「いいよ。自分がのってて恥ずかしいし」
「そっか」

鳳くんが隣の席に腰をおろしている間にもう一度新聞を開いてみる。 さっきは流し読みしたけれど、仲良くなったクラスメートの情報くらい 見ておくかあと思って鳳くんの欄を探した。
で、体重の数字を見てすごく驚いた。

「えっ!?」
「な、何?どうしたの?」
「鳳くんって72キロもあったの?全然無駄なお肉なさそうなのに」
「そう?おなかはちょっとぷにぷにだよ。宍戸さんにもっと鍛えろって言われる」
「ええー嘘だあ」

「ほんとだって」と笑う鳳くんの隙をついてわき腹めがけて腕を伸ばす。 軽くつまんだ鳳くんのおなかは贅肉なんか感じさせないくらいしっかりしてた。

「うわあ!」
「ほらーーこれでぷにぷにだったら私のは絶望的だよ」

パッと離して鳳くんを見ると、照れたようにうっすら頬をそめていて。 何だか悪い事したなと思いながら自分がした事に改めて気付いて恥ずかしくなった (女子にやるノリで男子にやるもんじゃないなあ)。

「ご、ごめん。これ逆セクハラだったね」
「ううん、びっくりしただけ」

妙な沈黙が生まれて、私は指先でカサカサいう新聞にネタが落ちてないか 熱心にそれを読み込む羽目になった。