このページではHS-500の改造例についてご紹介いたします。 この改造によって生じる影響については保証いたしかねますので自己責任でお願いいたします。特にネットワークの改造で配線などを間違えますとトゥイータを焼損させる可能性がありますので十分お気を付けください。破損した場合、部品などはメーカの保存期間を過ぎているため入手の困難が予想されます。改造方法についてのご質問はBBSをご利用ください。 Original Parts オリジナルのHS-500に使用されていたパーツです。 1.コンデンサ コンデンサはトゥイータ側にシリーズに接続されているのが2.2μF(写真の水色)、ウーファ側にパラに接続されているのが6.8μF(黒色)で、いずれもアルミ電解コンデンサです。 これが一番音質への影響が大きいと思われます。 特性面から考えても電解コンデンサでは不充分です。電解コンデンサは経年変化(いわゆる容量抜け)も問題です。 しかもこの電解コンデンサのリード線は磁性材料が使用されています。いわゆるCP線と呼ばれる鉄線に銅メッキされたもので現代の高級オーディオ機器の信号ラインにはまず使われないものです。 これらはフィルムコンデンサに交換しましょう。 フィルムコンデンサの中でもポリプロピレンコンデンサが特性的に優れています。ポリプロピレンコンデンサはポリエステルフィルムコンデンサ(いわゆるマイラーコンデンサ)よりも吸湿性が低いため経年変化の点でも優っています。ポリエステルフィルムコンデンサでも電解コンデンサよりははるかにましではありますが。 フィルムコンデンサの中にもリード線にCP線が使われているものもありますので要注意。磁石で簡単に確認できます。磁石に吸い付くものは磁性材が使われています。磁性材のリードが使われているものだけは絶対避けてください。トゥイータ側の2.2μFが一番音質への影響が大きいのでここにお金をかけるべきです。私のお勧めは0.1μF位のポリプロピレンコンデンサをパラに使うことです。私のシステムにはニッセイ電機の0.1μFを22個パラにして使って好結果を得ています。 6.8μFの方は2.2μF程効きませんが、やはりフィルムコンデンサの種類による音質の差は聞き分けられる程度にはありますのでスピーカネットワーク用のものをお勧めします。 このコンデンサの変更で高音の冴えが圧倒的に改善されます。ソロピアノなどで比較するとよくわかります。 CDの録音にはスタインウェイのピアノが使用されることが多いのですがスタインウェイのピアノといえばあのきらびやかな高音が特長です。オリジナルではややくすみがちな高音が変更後は何枚ものベールを取ったようになり、HS-500のトゥイータH-70HDがやはりただ者ではなかったことを証明してくれます。 2.コイル ウーファ側にシリーズに接続されているのが1mH(写真の右端にあるパーツの大きい方)、トゥイータ側にパラに接続されているのが0.39mH(写真の右側にあるパーツの小さい方)です。この値は私が実測した結果に基づくもので日立が発表しているものではありません。空芯なのはいいのですが線径は0.5mm程度でしょうか?かなり細いものです。せめて 線径1mm以上のものを使用したいものです。 FOSTEXからは線径1mmの1mHのものが出ています。 私は、以下のKozystudioさんで1.6mm径の1mH、0.4mHのものを作ってもらいました。 http://www.kozystudio.com/ 1.6mm径の1mH コイル これを一合升の中にエポキシ系の接着剤を充填して埋めこんで使用しています。コイルの振動対策のためです。 エポキシ固め効果は聞き比べてはいませんが精神衛生上もいいし何よりスピーカ裏ブタへの固定(接着)が楽です。 0.4mHの方はどんな一合升でも十分入るのですが、1mHの方はものによって入らない場合もありますので要注意です。 一合升はたぶんどれも容積は一合なのでしょうが幅と深さの関係はまちまちのようです。 コイルの置き方にはちょっと注意が必要です。 HS-500のような2Wayの12db/octのネットワークでは上記のように2個のコイルが使われていますが、この2個の磁気的な干渉を避ける必要があります。まずは離して置くこと。それから2個のコイルの向きは以下の図のように干渉を避けるようにするのがベストです。 同一平面上に同じ向きで近くに置くのは最悪です。下手をするとトゥイータにパラに入っているコイルが磁気的な干渉のためにトゥイータに低音成分を供給してしまい音を濁らせることになります。 3.ケーブル オリジナルの線材は非常に細いものでメッキ線です。 私は銅の純度はあまり気にしないほうで、太さ主義です。 スピーカユニットに接続可能な範囲でなるべく太いメッキなし銅線を最小限の長さで使うことをお奨めします。 このコイルとケーブルの変更で低音の締りが著しく改善されます。 4.スピーカ端子 オリジナルでは秋葉原でも1個ウン10円くらいで買えるものが使用されています。写真の真中にあるものです。HS-500の発売初期のものは全部真鍮製でメッキされたものが使用されていましたがコストダウンされたようです。 私は現在HS-500を2セット所有していて一方のみスピーカ端子を変更していますが他の部品の影響の方が大きいのでどうしても変更しないとだめというほどではないと思います。 私はTRITECのCU-T80を使ってみました。 ただ、この場合、スピーカ端子が固定されている鉄パネルの穴径と回り止めのための加工が必要です。金属加工用のヤスリを使えば可能ですが結構大変なのであまり人にはお奨めしません。 WBT社のものなどを使うと外観上の押し出しはいいのですが、投資の効果としてはどうでしょうか? でも、オーディオの世界では自己満足や精神衛生上のことも重要かもしれないので変更するのもよいでしょう。 5.マルチアンプ切替・高音レベル切替 スピーカの背面のスピーカ端子の隣にマルチアンプを使用する場合のための切替ツマミと高音のレベルを±2/4db変化させるための切替ツマミが付いています。もし、マルチアンプを使用するつもりがないのであれば、マルチアンプのスイッチはバイパスさせてスピーカ端子から直接ネットワーク部品の端子にケーブル配線するのがベストです。高音のレベル調整も同じで位置が固定されているのであればその設定でスイッチを介さずに配線すべきです。HS-500の高音の調整はかなり変化が大きいのですがたいていの場合は中心の0dbがもっとも自然に聞こえると思います。この手のスイッチは音質悪化の大きな要因なので思いきってバイパスすることをお奨めします。 話がややそれますがよくハンダづけを異種金属による合金による音質悪化があるとして眼の敵にする向きがありますが私は機械的接触による結合の不安定さのほうがより問題だと思っています。ボリューム(アッテネータ)やリレーなどでの接触不良をずいぶん多く経験しているからです。特にスピーカのネットワーク系は低インピーダンスの回路なのでわずかな接触抵抗が音質悪化の要因になります。自分にとって切替が必要なければ思いきってバイパスすべきです。 6.サランネット HS-500のオーナーの方はサランネットを付けた時とはずしたときの音の差が大きいことに気がついていると思います。 一般的にサランネットの布地によって高音が吸収されて高音の冴えが損なわれるのはよくあるのですが、HS-500の場合にはその変化が大きすぎます。 その原因を調べていったらサランネットの木枠の中ほどに設けてある桟が影響していることがわかりました。 布を取り外した状態でサランネットの木枠の有無での音の差が大きいのです。トゥイータの高音が近くにある桟と干渉して不自然な響きになっているようです。 聞く時はいつもサランネットをはずせばいいのですが面倒ですし、いつもはずしているのではウーファのコーン紙の保護上不安があるのでやはり何とかしたいところです。 私はホームセンターで21mm厚のラワン合板をくりぬいた中桟なしの木枠に農業用のナイロンネットを取りつけたものをサランネットとして使用しています。このネットは本当にただの網という感じのものなので高音の吸収も無視できます。 下の写真はサランネットの比較です。 左はHS-500の初期のもの。木枠はホモゲン材(チップボード)をくりぬいたもの15mm厚ですが豪華板です。ネットの布地は私が後から張り替えたものなのでオリジナルとは異なります。中はHS-500のVE(?)後のもので木枠はくりぬきではなく角材を組み合わせたものになっていますが中桟はしっかり残っています。右は私が作ったもので、中桟なし、ネットは向こうが透けて見えるほど開口度が高いものであることがわかります。 HS-500 初期 HS-500 VE HS-500 改造 トゥイータ回りの状態がかなり音質に影響を受けることがわかったので、周囲に市販の吸音材を貼り付けてみました。 これによって高音はかなりしっとりと落ち着いた感じになります。 でも、この吸音材はやややり過ぎのようです。現在ははずしています。 リスニングルームの高音の響きによってはセーム皮などを貼ったりして 調整するのが良いかもしれません。 7.改造時の注意点 このページの冒頭にも書きましたがネットワークの配線間違いには十分ご注意ください。 最悪、トゥイータをトバシてしまった場合、リンクにあるストーンテクノさんのホームページにありますように実験用に購入したH-70HDを譲っていただける可能性があります(2003年1月26日現在、1ペアのみ)が何分安くはありません。私も予備に欲しいのですが貧乏な私にはなかなか手が出ません。 それと、スピーカボックスの裏ブタをとめるのに木ネジが使われていますがボックスがホモゲン材(木のチップを固めて作った板材)のため、板がもろく極めてネジばかになりやすいのです。再組み立て時にネジを強く締め過ぎないように注意ください。ネジが効かなくなった場合、爪付きナットなどを使用できる個所もありますが全部ではありません。このスピーカはバスレフなので空気漏れについてはアコースティックサスペンションのような完全密閉タイプほど神経質になる必要はないでしょうが、しっかり密閉した方がいいのは言うまでもありません。少なくともビビリだけは押さえてください。私の手持ちの1台目は既にネジばかで爪付きナットでもたせています。 |
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