1968年 HS-500発売
当時の価格は1台65000円 。
2台だと大卒初任給の4倍以上だったんではないでしょうか?
とてもふつうのひとが買える値段ではなかったと思います。
私の知っている限りではこのHS-500の出現前には日立のスピーカが当時のオーディオ愛好家の間で話題になったことはほとんどなかったと思います。いきなり、唐突に現れてその音質の良さと値段の高さとで注目を浴びました。
当時の”ラジオ技術”の生録音源でのスピーカ比較でいつも高得点を得ていました。当時のライバルは三菱(ダイヤトーン)の4Way密閉型DS-301や元祖ソフトドームのAR-3aですがこれらは程なく消えていきました。
1970年頃のHS-500のライバルたち
DS-301 AR-3a
1974年 まだ販売継続中
ですが、受注生産扱いとなり価格も85000円になっています。
日立は生産中に当時流行っていたVE/VAの手法を取り入れてコストダウンに励んだものと思われます。
発売当初のアルミのがっちりしたトゥイーターのデュフューザはプラスチック製になりました。これは発売後すぐの変更のようです。
私が保有の1セットはアルミのデュフューザがついていますが、この初期型はかなり生産数が少ないようで2004年2月に初めてオークションでみかけました。
背面のコネクタ端子のつまみも真鍮からプラスチック製になりました。
また、コネクタ端子や高音のレベル調整のつまみなどが取り付けられていたパネルも初期のものはアルミと鉄板を張り合わせた凝ったものでしたが、後期のものは鉄板1枚のパネルになりました。
驚くべきことに初期のものはサランネットのフレームがホモゲン材の板から外側の枠と真中の桟を残してくりぬいて作っていたんですがこれも合板の角材を組み合わせたものに変更になっています。
内部のグラスウールの一部はエステルウールに変更になりました。吸音材の量も減っているように思われますがこれは完全に比較していないので未確認です。ネットワークのコイルのインダクタンスも後期のものは減っているようなのですがこれも同一条件の測定ではないので確かではありません。
これらの一連の変更の正確な時期はよくわかりませんが、背面のコネクタ端子のつまみがプラスチック化されたのは生産最後期のようです。
1978年 まだまだ販売継続中
1978年11月のカタログにまだ載っています。
あいかわらず1台85000円です。
なぜか、このカタログには受注生産の文字はありません。
アルミサンドイッチコーンの名品HS-400といっしょにカタログに載っていました。
1978年夏頃までの生産数は約4万本(2万組)以上(dentioさん提供資料の情報による)に達したとのことですが、これはフラグシップモデルとしては破格の数ではないでしょうか。
1980年 ついにカタログから...
1980年のカタログからは姿が消えていました。残念です。
この時点で日立は平面スピ−カに力をいれていて、HS−5000、HS-90Fなどが登場しています。
この時点でHS-400も姿を消しています。これも一部のマニアの厚い支持を受けていたようですが、その割には短命だったようです。
HS-400と同じユニットを使用したHS-5はこの時点ではかろうじて残っていますが。 |