能は日本が世界に誇る伝統芸能です.能は今から約600年前の室町時代に形を整
えたのですが,既に今のオペラやミュージカルと同じように音楽と演劇が一体となった
芸能であったのです.能では主役のシテが舞を舞い,謡を謡い,台詞を言い,脇役のワ
キが謡と台詞でこれを助けます.また地謡といういわば合唱隊と,笛・小鼓・大鼓・太
鼓の囃子方(オーケストラ)が音楽的に全体を支えます.この様に謡は能の一つの重要
な要素になっています.謡だけを謡って楽しむという事が江戸時代には庶民に広まって
きました.また,シテ役の舞の一部を能の時のように豪華な衣装を付けず,紋付き袴
で,地謡だけの伴奏で舞う仕舞も行われてきました.能を演ずると言うことは,アマチ
ュアにとっては大変なことですが,謡を謡い仕舞を舞うことはそれほどではありませ
ん.また,これによって演能の鑑賞力も深くなります
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