「JCJ声明」私たちは「大阪府教育基本条例案」「職員基本条例案」に反対します


 公務員が何よりも依拠すべきは憲法の精神です。憲法は公務員を「全体の奉仕者」、つまり、その時々の首長や多数与党の奉仕者ではなく、国民・住民の奉仕者であると定めています。
 ところが、橋下徹知事率いる「大阪維新の会」が大阪府議会に提出した「教育基本条例案」「職員基本条例案」は、上からの職務命令に従うことを求め、従わない者には懲戒処分で臨むとしています。命令を絶対的なものとした軍隊のような恐怖政治が進むことにならざるを得ません。

 また、この2条例案ともに、人事評価を5段階にし、最下位の評価を下される人の割合を5%と決め、2年連続で最下位の評価を受けた人には「免職または降任」の分限処分を課すとしています。こうした能力競争万能主義は、教育の場はもちろん公務の場にはもっともふさわしくないものです。

 憲法は戦前の軍国主義教育の反省から、教育への政治介入を厳しく戒めていますが、橋下「維新の会」は、教育に対して公然と「政治が関与すること」「首長が公立学校の実現すべき目標を定め」ると主張しています。4月の府議会で橋下「維新の会」が、内心の自由を奪う「君が代起立条例」を数に物を言わせて強行採決したように、教育の場に戦前のような国家主義的色合いをつけた教育観が持ち込まれるのは火を見るより明らかです。

 橋下知事に任命された府教育委員全員がこの教育基本条例案に反対し、府教育長も明確に異論を唱えています。

 「再び戦争のためにペン、カメラ、マイクを取らない」と決意し、「自由な言論を守り、自由な社会を実現する」ことを目指して活動してきた私たち日本ジャーナリスト会議は、「今の日本の政治に必要なのは独裁」「教育は2万%強制」などと公言してはばからない橋下知事に少なからず危惧の念を抱いてきましたが、それを条例という形で実現しようとする企てを看過するわけにはいきません。

 私たちはこの2条例案に反対し、その撤回を求めます。今こそ立場の違いを超え、「2条例案ノー」の声を全国から上げましょう。

2011年10月17日
日本ジャーナリスト会議