大阪維新の会「職員基本条例」案及び「教育基本条例」案についての声明


2011年10月27日

                                      大阪労働者弁護団
                                      代表幹事 大川一夫

 大阪維新の会府会議員団は、大阪府議会に「職員基本条例」案及び「教育基本条例」案を提出した。
 両条例の問題点、違法性は枚挙にいとまがないが、憲法、地方公務員法、教育基本法など既存の法体系を無視し、公務労働者と教員を市民の「敵」に仕立て上げて攻撃の対象とし、自治体職場と学校現場を破壊しようとするものである。
 免職に関してみれば、職員基本条例は、5回の職務命令違反又は同一の職務命令に3回の違反があれば直ちに免職とする。また、人事評価においては、全員の序列をつけ5%の職員を最低評価とし、最低評価が連続した場合は分限免職の対象とする。さらに過員が生じたとき分限免職の範囲を著しく拡大して大人員整理を推し進めようとしている。しかし、免職には厳格な要件があり、労使交渉なしのこのような機械的一律処分、大人員整理は地方公務員法に反することが明らかである。
 教育基本条例は、職員基本条例と同様の機械的一律処分、大人員整理に加え、知事の教育への政治的介入を制度化し、学校現場をその独裁下に置こうとするものである。学力テストの点数のみを教育の目標として矮小化し、相互に競わせる。このような知事の方針に従わない教育委員の罷免、校長の任期付任用を通して、結局は教育現場の末端まで独裁を押し通そうとするのである。
 また、教育基本条例の制定理由とされている大阪における学力問題は教育現場のみの責任ではない。その背景には高い生活保護受給率に象徴される経済的、社会福祉的問題がある。これらは正に府民の生活の安定や福祉の向上を図る施策をなすべき知事の政治責任において知事が解決すべき問題であり、教育現場のみに責任があるかの如き教育基本条例の在り方は、府民に責任の所在を誤解させ、教育を選挙のための票集めに利用するものである。
 両条例案の廃案を強く要求する。