◆基本5文型例文集
◇文型のいろいろなパターン
本サイトで扱う文型は、文の主要素の機能に着目する場合の
文の形式のことです。
文は、用いられる動詞の型に応じた文型をとります。
学校文法で扱う基本文型は、SV、SVC、SVO、SVOO、SVOCの5文型ですが、
この他に、SVA、SVCA、SVOAがあります。
また、これらの何れかの基本文型であっても、文末重心の原理により語順が変わる場合が
あります。
更に、これらの基本文型であっても準補語を伴う文や基本文型が当てはまらないthere構文も
ありますので研究してみて下さい。
文末重心の原理については、
◆Tips(その2) ◇文末重心の原理principle of end-weight
準補語については、
◆文法用語 ◇補語(主格補語、目的格補語)と準補語(準主格補語、準目的格補語)
にそれぞれ簡単な解説を掲載しています。
■凡例:
s、vは意味的な「主語+述語」の構造に於ける主語、述語
---←、←---は後ろから修飾される語句、修飾する語句
---→、→---は前から修飾する語句、修飾される語句
SとCとの間、OとCとの間に意味的な「主語+述語」の構造が成立する場合、
S=C、O=Cと表示する場合があります。
意味的な「主語+述語」の構造については、
◆基礎知識 ◇日本語と英語の違い、英語の特徴 (4)意味的な「主語+述語」の構造
を参照して下さい。■
◇基本5文型
T SV、SVA ▼例文集
V:自動詞
She smiled. 彼女は微笑んだ。
S V
Mary is here. メアリーはここにいる。
-← ←-- (AはVを修飾)
S V A
U SVC、SVCA ▼例文集
V:自動詞
C:主格補語
意味的な述語vとして主語Sを叙述的に修飾し、
Sが意味的な主語sになります。
「S+C」=意味的な「主語s+述語v」
He became a pianist. 彼はピアニストになった。
s← ←--v---- (vはsを叙述的に修飾)
S V ----C----
My hobby is to collect foreign stamps. 外国の切手を集めるのが趣味だ。
---s---- ----v----- ------o------- (意味的な文型、to collectは動詞的用法)
---S---- V ----C-----
John is very fond of cats. ジョンは猫が大好きだ。
s← ←v (vはsを叙述的に修飾)
--← ←----- (AはCを修飾)
S V C ---A---
V SVO、SVOA ▼例文集
V:他動詞
She likes music. 彼女は音楽が好きだ。
S V O
He put the key in his pocket. 彼は鍵をポケットに入れた。
-← ←----------- (AはVを修飾)
S V ---O--- ------A------
W SVOO ▼例文集
V:他動詞(授与動詞)
前のO: 間接目的語IO(人)
後のO: 直接目的語DO(物)
Bill gave her a book. ビルは彼女に本を与えた。
S V IO --DO--
Mother bought me a new bicycle. 母は私に自転車を買ってくれた。
S V IO -----DO------
X SVOC ▼例文集
V:他動詞
C:目的格補語
意味的な述語vとして目的語Oを叙述的に修飾し、
Oが意味的な主語sになります。
「O+C」=意味的な「主語s+述語v」
We called him Thomas after his grandfather. 祖父に因んで、彼をトーマスと名付けた。
s← ←v
S V O C (真の文型)
The police forced John to confess. 警察は無理矢理ジョンに自白させた。
s ----v----- (to confessは動詞的用法)
-----S---- V O ----C----- (真の文型)
I want (for) him to come. 彼に来てほしい。
s ---v--- (to comeは動詞的用法)
S V O ---C--- (見掛け上の文型)
S V ----O(補文)----- (真の文型)
I found this book interesting. この本は面白いのが分かった。
----s--← ←v (vはsを叙述的に修飾)
S V ----O---- C (見掛け上の文型)
S V ------O(補文)-------- (真の文型)
I made him go against his will. 私は彼の意志に反して行かせた。
s v (goは原形不定詞)
S V O C (見掛け上の文型)
S V -O(補文)- (真の文型)
His words made her angry. 彼の言葉で彼女は(思わず)カッとなった。
s← ←v (vはsを叙述的に修飾)
----S---- V O C (見掛け上の文型)
----S---- V -O(補文)- (真の文型)
I advised Mary to wait. 私はメアリーに待つように忠告した。
s ---v--- (to waitは動詞的用法)
S V O C (見掛け上の文型)
S V IO ---DO-- (真の文型)
◇文の主要素
(1)S:Subject(主語) ▼例文集
名詞に相当する語句がSになります。
@語、句
名詞、代名詞(主格)、「the+形容詞」、「the+分詞」、
to不定詞(名詞的用法)、動名詞、副詞、前置詞句、wh語、wh句など
(S=前置詞句は、V=be、suitの場合のみ)
A名詞節
that節、wh節、whether節 (× if節)
■SVCに於いて、Sの位置にto不定詞(名詞的用法)、that節、wh節、whether節が
くる場合には、主語Sの位置に形式主語itを置き、
真主語は文末に回すのが一般的です。
詳しくは、
◆Tips(その2) ◇文末重心の原理
を参照してください。■
(2)V:Verb(動詞)
1語の動詞や複数の語から成る句動詞がきます。
@自動詞 vi.(intransitive verb)
目的語をとりません。(Oが無くても文が成立します。)
A他動詞 vt.(transitive verb)
目的語をとります。 (Oが無いと完全な文が成立しません。)
■句動詞は、動詞が副詞や前置詞と結合して、1つの動詞の働きをする語句です。
「動詞+副詞」を phrasal verb
「動詞+前置詞」をprepositional verb
と呼び、自動詞に相当するものと他動詞に相当するものがあります。
詳しくは、
◆文法用語 ◇句動詞
を参照してください。■
(3)O:Object(目的語)
名詞に相当する語句がOになります。
(a)SVOのO
@語、句
名詞、代名詞(人称代名詞は目的格)、「the+形容詞」、「the+分詞」、
to不定詞(名詞的用法)、動名詞、wh句など
A名詞節
that節、wh節、if節、whether節
Bネクサス目的語(補文)
見掛け上の文型がSVOCでも、真の文型はSVOである場合があります。
この場合のSVOに於ける意味的な「主語+述語」の構造を持つ目的語Oを
ネクサス目的語(補文)と呼びます。
「SV+O+C」=「SV+O(補文)」
(b)SVOOのIO:Indirect Object(間接目的語)
@語、句
名詞、人称代名詞(目的格)
(c)SVOOのDO:Direct Object(直接目的語)
@語、句
名詞、代名詞、to不定詞(動詞的用法)、動名詞、wh句など
A名詞節
that節、wh節、if節など
(d)見掛け上の文型SVOCのO
@語、句
名詞、代名詞(人称代名詞は目的格)、動名詞、wh句など
■SVOA、SVOCに於いて、Oの位置にto不定詞(名詞的用法)、that節が
くる場合には、目的語Oの位置に形式目的語itを置き、
真目的語は文末に回します。
詳しくは、
◆Tips(その2) ◇文末重心の原理
を参照してください。■
(4)C:Complement(補語)
英語の補語は日本語の補語とは働きが異なります。
補語は「叙述用法の修飾語句」の中の1つです。
一般的な叙述用法の修飾語句は、単に名詞を後ろの位置から修飾するだけですが、
補語は、特に文の主語Sや目的語Oを後ろの定位置から修飾します。
SVCでは、 主格補語Cの位置に 文の主語Sを 叙述的に修飾する語句がきます。
SVOCでは、目的格補語Cの位置に文の目的語Oを叙述的に修飾する語句がきます。
叙述用法の形容詞が前に置かれた名詞を後ろから修飾して、
名詞と形容詞との間に意味的な「主語+述語」の構造が成立するのと同じように、
SVCでは主語Sと主格補語Cとの間に、SVOCでは目的語Oと目的格補語Cとの間に
意味的な「主語+述語」の構造が成立します。
主語や目的語を修飾する語句なので、下記のように形容詞的な語句の他、
動詞的な語句など、多様な語句が補語になり得ます。
叙述用法については、
◆基礎知識 ◇形容詞の限定用法と叙述用法
◆ 〃 ◇現在分詞、過去分詞の限定用法と叙述用法
◆ 〃 ◇前置詞句の叙述用法
◆ 〃 ◇名詞句の形容詞的用法(限定用法、叙述用法)と副詞的用法
を参照して下さい。
(a)SVCのC(主格補語)
文の主語Sと主格補語Cとの間には、
意味的な「主語+述語」の構造が成立します。
名詞(叙述用法)、形容詞(叙述用法)の働きをする語句、
to不定詞(動詞的用法)がCになります。
@語、句
名詞(叙述用法)、形容詞(叙述用法)、副詞、
現在分詞、過去分詞、to不定詞(動詞的用法)、
動名詞、前置詞句(叙述用法)、wh句など
A名詞節
that節、wh節、whether節、that+there構文など (if節はCになれません)
B副詞節
as節、as if節など
(b)見掛け上の文型SVOCまたは真の文型SVOCのC(目的格補語)
他動詞Vの目的語Oと目的格補語Cとの間には、
意味的な「主語+述語」の構造が成立します。
名詞(叙述用法)、形容詞(叙述用法)の働きをする語句、
to不定詞(動詞的用法)がCになります。
@語、句
名詞(叙述用法)、形容詞(叙述用法)、副詞、
原形不定詞、現在分詞、過去分詞、to不定詞(動詞的用法)、
動名詞、前置詞句(叙述用法、「as 〜」)
A名詞節
wh節
■主格補語、目的格補語となる原形不定詞、to不定詞(動詞的用法)は、
主語、目的語を叙述的に修飾して「意味的な述語」になるのではなく、
主語、目的語を意味的な主語とする「動詞」として働きます。 ■
(5)A:Adverbial(義務的な副詞語句)
文を成立させるために必要な副詞的な修飾語句がきます。
SVA、SVCA、SVOAが有りますが、それぞれSV、SVC、SVOの項で
解説します。
@語、句
名詞句、副詞、to不定詞、前置詞句(副詞句)
A副詞節
that節、wh節
■次のような文の文型を判別する際には注意が必要です。
(a)「S+be動詞+前置詞句(副詞句)」
be動詞の機能の違いにより、SVCの場合とSVAの場合があります。
(b)「SVO+to do」
SVOCと判断しがちですが、授与動詞の場合はSVOOです。
(c)「SVO+前置詞句(副詞句)」
動詞の型により、SVOCの場合とSVOAの場合があります。
(d)「SVO+that節」
SVOOと判断しがちですが、SVOAの場合があります。 ■
(6)C′:準補語(準主格補語、準目的格補語)
文が一旦完結した後で、後ろの位置から主語Sや目的語Oを
叙述的に修飾することにより、SやOの状態を二次的に補足説明する語句を
準主格補語、準目的格補語と呼びます。
SVCの主格補語C、SVOCの目的格補語Cは無いと文は文法的に成立しませんが、
準主格補語、準目的格補語は無くても文は成立します。
補語Cと同じように、主語Sと準主格補語C′との間または目的語Oと準目的格補語C′との間に
意味的な「主語+述語」の構造が成立します。
詳しくは、
◆基本5文型例文集 ◇準主格補語、準目的格補語
を参照してください。
■wh句、wh節、if節とは
wh語(who, what, which, when, where, why, how)、if などに
導かれる句、節 ■
■SVA、SVCA、SVOAやSVC′、SVCC′、SVOC′
基本5文型では説明できない文も有ります。
He lives in London. 彼はロンドンに住んでいる。
---← ←-------
S V ----A---- (AはVを修飾)
自動詞liveを「住む」という意味で用いる場合、場所を表す副詞語句Aが
無いと完全な文が成立しないので、厳密にこの文型を定義すれば
SVAになります。
本サイトでは、便宜上、SVAをSVの項で解説します。
同様に、SVCA、SVOAもそれぞれSVC、SVOの項で解説します。
また、次のような文も基本5文型では説明できません。
She was taking a shower singing a song. 彼女は歌いながらシャワーを浴びていた。
s← ←-v--- --o--- (意味的な文型)
S ----V----- ---O---- C′
× ---s--← ←-v--- --o--- (意味的な文型)
× S ----V----- ---O---- C
C′は準主格補語であり、SVOCではありません。 ■
■見掛け上の文型はSVOCでも真の文型はSVOOである場合
「SVO+to do」は、見掛け上はSVOCですが、真の文型は、
授与動詞の場合は、SVOO
一般動詞の場合は、SVOまたはSVOC
になります。
I told him to come. 彼に来るように伝えた。
S V IO --DO--- (真の文型)
= I told him φ to come.
(s) ---v--- (to comeは動詞的用法)
S V IO -DO(補文)-- (真の文型)
tellは授与動詞なので、動詞的用法のto不定詞「to come」は
直接目的語DOであり、真の文型はSVOOであると考えるのが妥当です。
DOは、補文から意味的な主語sが脱落した形です。
しかし、便宜上、
I told him to come.
s ---v--- (to comeは動詞的用法)
S V O ---C--- (見掛け上の文型)
と見做せば、見掛け上の文型SVOCとする解釈でも意味が通ります。 ■
■見掛け上の文型はSVOCでも真の文型はSVOである場合
見掛け上はSVOCでも、動詞によっては真の文型はSVOである場合
が有ります。
I saw him cross the street. 彼が通りを渡るのを見た。
s v ----o----- (意味的な文型)
S V O C (a)
知覚動詞の文は、便宜上SVOCとして解釈しても意味が通りますが、
他動詞seeは、「何かが〜するの(目的語)を見る」という意味なので
I saw him cross the street.
s v ----o----- (意味的な文型)
S V -------O(補文)------ (b)
のように真の文型はSVOであると考えるのが妥当です。
(b)のように意味的な「主語(him)+述語(cross)」の構造を持つ目的語を
ネクサス目的語nexus objectと呼びますが、特に(b)のように
主語と動詞、目的語などに相当する語句を備えて文の形式をとる場合、
補文complement sentenceと呼ぶことがあります。
ネクサス目的語、補文については、
◆基本5文型例文集 ◇見掛け上SVOCの真の構造
を参照してください。 ■
■真のSVOC
本サイトでは、文型SVOCを理解し易くする便宜のために、
上記のように文の見掛け上の形からSVOCと見做して解説しています。
具体的には、動詞の目的語Oと補語Cに相当する語句との間に意味的な
「主語+述語」の構造が成立する場合にはSVOCと見做してしています。
しかし厳密には、SVOCとして取上げている例文の中には、
真のSVOCの外に本来ならばSVO、SVOOであるべき文も含んでいます。
この点については、下記の文献を参照して下さい。
安藤貞雄氏著「現代英文法講義」(開拓社) 37.4.5.ネクサスを補部にとる動詞
〃 「英語の文型」 ( 〃 ) 10.いわゆるSVOC ■
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