武藤が「プロレスの勝ち!」で話したこと
2月2日(土)に、渦中の武藤敬司が、TBSラジオ「プロレスの勝ち!」(パーソナリティ・辻よしなり)に出演し、ました。
以下は、その時に話したことをまとめたものです。
細かいニュアンスは違っているかもしれません。番組は終始和やかな雰囲気でした。
ほとんど、質問とそれに対する答え、という形で話が進んでいきました。
「Q」は、辻アナや、聴取者からのFAXやメールによる質問です。特に辻アナが個人的な話をしているところ以外は、「Q」にしました。
Q:「大変な日々を送ってるんじゃないか」
武藤:「いや、リラックスして、客観的に俺のことじゃないような気持ちで見ている。騒ぎもそろそろ落ち着いてくるんじゃないか」
Q:「現在の心境は」
A:「正直言って9割方不安。不安というものはぶつかっていく甲斐がある。俺が選んだ道、今後の俺の人生で、こっちの方がおしゃれだな、という気持ちで選んでいる」
Q:「いつ頃から考えていたのか」
武藤:「去年、一年間、全日本プロレスに外様でおじゃましていて、全部メインだった。全日本プロレスの欠点などを見ているうちに、手をさしのべたいという気になった。メインで、会社の期待感、ファンの期待感が心地よかった。恋愛の恋のような気持ちを、全日本プロレスに感じ始めた」
Q:「無言の恋心のようなものを、全日本プロレスからも感じたか」
武藤:「向こうからは分からないが、こちらからは感じた」
Q:「BATTを結成したころとリンクしているか」
武藤:「リンクしている。馳とも……。しかし、馳は全日本プロレスであって全日本プロレスではない。聞くところでは契約してないらしい」
Q:「やっぱりBATTとリンクしてたのか」
武藤:「いや、たくらみなんかはない。レスラーが集まれば、夢をかたったりはする。プロレス愛というのとは関係ない」
Q:「今までは、プロレスの中に格闘技路線があったが、今は格闘技の中にプロレスがある。そういう状況の中で、(武藤は)生ける象徴のようだ」
武藤:「自分のライフ=プロレス。正直言って、プライドとかK−1は煙たい。もう少し、プロレスというものを見直したい」
Q:「プライドなどに新日の人間が参戦していることも、決断の大きなポイントか」
武藤:「それもあるが大きくない。自分の野心もある。全日は新日と比べてもそれほど洗練されていない。正直言ってタレントも少ない。そこを直すのが魅力的」
Q:「新日ではトップの待遇だったはずでは」
武藤:「新日では完成された、という気持ちがある。後輩も育ってきたし。これ以上何か変えることができるか、ということがなくなってきた。全日に行ったら、メインで、みんな期待してくれているんだな、と思う。この間のドームでは五試合目ぐらいだった」
Q:「退団のポイントを簡単に言うと」
武藤:「まだ全日本プロレスと契約も何もしていない。これから話を持っていく。正直言って、武藤敬司というものが行くわけですから、強気で交渉を持ちたいと思っている」
Q:「全日本プロレスとはいつごろから交渉?」
武藤:「九日に行くといっちゃったので、それは行く。具体的には何も聞いていない。新日本プロレスにいた三冠王者だったが、それがフリーになっても普通に行われるのかどうかも知りたい」
Q:「新日とケンカ別れという言葉は正当か」
武藤:「俺は後悔してない。とやかく言われるのは仕方ないけれど、野球だって、大リーグ行きたいとかいっているのに、そんなに言われてもなあ」
Q:「新日本プロレスにいた人間が、かたきとは言わないが、越えてはいけないボーダーを超えたということがあるのではないか」
武藤:「新日には、全日を取り込もうという野心があった。自分から全日に行きたいと言ったことはない。新日本の命令で行った。新日には全日を取り込もうとした野心があったはず。しかし、そうなるとプロレスにとって面白くない。新日本内部の全日本になっては面白くない」
Q:「新日と全日の交流はなくなるよね」
武藤:「なくなるでしょうね。でも、同じプロレスをやってればね。天山と小島の涙の別れがあったけれど、いつか一緒にやれるような環境を作りたい」
Q:「武藤が一人で出ていくのならまだしも、小島・カシンとスタッフ五人と一緒に行くのはよくないという声もある」
武藤:「仲間だし、行くって言ったら、勝手について来ちゃったんだもの。まとめてじゃないよ、バラバラについて来ちゃったんだもの」
Q:「彼らも新日をやめたかったの?」
武藤:「それは本人に聞いた方がいい」
Q:「やめたいという話は聞いてたの?」
武藤:「まあ、そうでしょうね」
Q:「猪木イズムは嫌いでしょ?」
武藤:「わからない。ちょっと前に猪木さんと交流を持っていたことがあるが、そういう時に感じた、新日に足りないもの、という気持ちはよくわかった」
Q:「猪木イズムの一環として総合格闘技が新日をおそったということはあるよね」
武藤:「総合格闘技を取り込もうとして取り込まれているんじゃないか」
Q:「橋本や蝶野とは話したか」
武藤:「ない。間接的に、新聞などを見ると橋本は喜んでいるらしい蝶野は俺に対して怒っているらしい。でも、俺に言わせれば、蝶野、あえてこの状況で新日を束ねて見ろ。俺は俺でサクセスストーリーを歩いていくし。蝶野、橋本はいつまでもライバルだと思ってる。いつかは交わることがあるかもしれない。そういう機会があったら、俺が先を行っていたいと思う」
Q:「今年四〇になる。あと三年ぐらい、あるいは五年持つかな、という残りわずかなプロレス人生に大きな賭けをしたのではないか」
武藤:「新日を飛び出すのは不安はある。飛び出した先輩レスラーを見てきたが、荒波に消えていった人の方が多い。不安はある。でも松葉杖をついてもリングに上がりたいなという気持ちはある」
Q:「引き抜きなのか、クーデターなのか、何なのか」
武藤:「俺だってわからない」
Q:「全日から来てくれ、という言葉はあったのか」
武藤:「ないないないない。俺のサムライのテレビに元子さんを呼んで、『全日本プロレスを俺にくれないかな』って言ったら、『武藤さんなら』と言われたことはある」
Q:「元子さんと相思相愛?」
武藤:「まだ一方通行かもしれない。俺だってこれから全日に対して駆け引きがいっぱいある。向こうのレスラーだって一杯いるんだから荒波が待っている。川田だって天龍だって黙ってるわけがない」
Q:「元子さんってどんな人?」
武藤:「みんなから、こわいんだよと言われたけれど、あったときに、チャーミングな人だと思った。俺にだけ、そんな顔を見せてるのかもしれないけれど」
Q:「もしからしたら、武藤に社長のいすを譲ろうとおもってるんじゃない」
武藤:「正直、全日本を担っていきたいなという気持ちはある。全日本というのを立て直したい。めざせ新日本で行きたい」
Q:「社長の武藤椅子というのがあるのではないか」
武藤:「そんな、具体的には何も考えていない」
Q:「今、新日本に対して思うことはある」
武藤:「ない。忘れたい。今日もマスコミにコメントしたんだけれど、新日本は大きい組織だから、大きな石をみんなで転がすのが組織なのに、みんなで違う方向へ動かそうとしているから動かない。全日は三人ぐらいで重そうに動かしているから助けたいと思う」
Q:「はっきり言って新日本プロレスは大打撃だよ。すごくさびしい」
武藤:「残った選手にとってはチャンスでもある」
(FAXを紹介。曲のリクエスト。『ファイナル・カウントダウン』。かつてのテーマ曲)
武藤:「これやめたかったのはね、アメリカ行ったらこの曲でストリッパーが踊ってた。だからやめた」
(曲)
Q:「(以下、聴取者からのメールやFAXに答える)もし全日に入団すると、ノアとの関係がとぎれ、武藤・三沢戦が実現しないのが残念」
武藤:「俺の師匠である猪木さんの教えでは、不可能なことはないと教えられている。同じプロレスに携わっていたら、いつかは交わる可能性はある」
Q:「やりたい?」
武藤:「やりたい。一つの夢だ。全日を仕切って俺がリーダーになって、俺がやるって言えばいいじゃない」
Q:「今の全日では、対等に戦える選手が少なく、輝きが半減するのではないか」
武藤:「レスラーというのは育てるものでもある。ファンも、会社組織もレスラーをそだてなくてはならない。いっぱい探せる」
Q:「全日所属になったら、ゼロワンなどと橋を架ける可能性は?」
武藤:「基本的には全日の選手を育てたい」
Q:「橋本と裏で話したりは?」
武藤:「一回もない」
辻:「橋本にも裏をとったけれど、会ってないと言っていた」
Q:「新日と全日の違いは」
武藤:「創立者である馬場さんと猪木さんの教えの違いがある。全日は受けの美学だ。猪木さんは攻撃だ。世間に対しても何に対しても」
Q:「どっちが好き?」
武藤:「どっちもいいんじゃないんですか。俺、馬場さんという人を知らない。俺の空想の中でしか生きてない。いろいろ考えると偉大だ」
Q:「猪木さんと馬場さんはどっちが好き?」
武藤:「馬場さんは知らないんだもの」
Q:「じゃあ、猪木さんと元子さんだったら」
武藤:「そりゃあ、元子さんにきまってるじゃない」
Q:「自分の会社を作ることは考えてないのか」
武藤:「それでゼロワン失敗してるからね(笑い)」
Q:「失敗なの」
武藤:「苦労してるじゃない。最終的に全日と決裂したらそういうこともやらざるを得ないかもしれない。でも、もし全日に断られたらWWFに行ってみたい」
Q:「誰とやりたい」
武藤:「ロックとか、アンダーテーカーとか。ムタでやったら……。今、スキンヘッドだからかっこ悪いか」
Q:「カシンは新日の方がスタイルがあってるのでは」
武藤:「カシンとはあまり話してない。すごくプロレスが好きらしい。そうじゃなければ、マスクなんてかぶらないでしょう」
Q:「小島とは話してるのか」
武藤:「小島とは話した。チーム2000の時はいっさい話さなかった。その後は話した。ちょっとナビゲートっぽいことは言ったかもしれない」
Q:「武藤にとって小島は必要だったのでは」
武藤:「必要だった。新日本にいた彼のことを考えると、彼にとってもチャンスのような気もする」
Q:「全日でもグレート・ムタはありうるのか」
武藤:「ムタには美学がある。髪の毛がないムタっていうのはなあ、スター・ウォーズの悪役みたいになっちゃう。お坊さんだから、黒使無双やってみようかなと思ってる」
Q:「馳の存在が大きくクローズアップされているが」
武藤:「断言したいけど、黒幕でもなんでもない。俺の意志で判断してる」
Q:「橋渡しなどはあったのか」
武藤:「ない。一緒に合宿やって夢を語ったりはした。今回のことにはかかわってない。馳は全日に対しては、契約選手でも何でもない。少しは相談みたいなことはしてるかもしれない。昔、プロレス学校を作りたいと言って時にはいろいろ相談した。自然にナビゲートされている。(亡くなった)馬場さんからナビゲートされている。全日本守ってくれよ、プロレスを守ってくれよ、王道を守ってくれよって。今、プロレスがいろいろな部分で侵されている」
辻:「これから、猪木対馬場という関係ではなく、猪木対武藤になるわけだ」
武藤:「ここで言いたいのは、蝶野、おまえ仕切れよ、と」
Q:「新日でやり残したことは」
武藤:「うーん、もうないんだろうな、きっとな。だから決断した部分もあるから」
辻:「後悔はしない」
武藤:「しない。辻さんは後悔して舞い戻ってまた出たんですよね(笑い)」
辻「(武藤は)俺よりこすいよね(笑い)。いろんな意味で元子さんを自分の陣地に引き込んじゃって、うまいことやるな。」
(ここで異変)
辻:「何これ、今スタジオの破魔矢が落っこちたよ。何、これ、馬場さん来てるってこと?」
武藤:「そうそうそうそう」
Q:「馬場さんの法要に行ったそうだが、何か馬場さんに報告したのか」
武藤:「さしあたってお焼香だけした。お坊さんがお経を読んだときには気持ちが安らいだ」
Q:「ほかに、新日から全日に来て欲しい選手はいるか」
武藤:「来て欲しい人はいっぱいいるけれど」
辻:「こっから動いたら引き抜きだよ」
武藤:「来て欲しい人はいるけれど……」
Q:「誰?」
武藤:「でも俺の力でやりたい」
Q:「じゃあ、向こうから全日本に入りたいんです、入れてくださいって行って来たら」
武藤:「そりゃあ、入れますよ。男気みせなくちゃ」
Q:「生まれ変わってもプロレスをやりたいですか」
武藤:「きつい世界だからねえ。俺はやりたいと思うけど……。息子がゲームからプロレスにはまっているが、あえて、サッカーボールを買い与えたり、野球のクラブを買い与えたりしている」
Q:「これから武藤選手が目指すプロレスとは」
武藤:「プロレスっていうのは答えがない。その答えを探しに今回旅に出た。それを探し求める」
Q:「新日本に一言いうとしたら」
武藤:「十八年間ありがとうございました」
Q:「新日の武藤ファンへは」
武藤:「これからも俺をおいかけて見て欲しい。これから俺のサクセス・ストーリーを見せる。
Q:「全日本プロレスに入ったら、どんなプロレスを見せてくれるか」
武藤:「スタイルを変えることはできない、あつい試合を見せる」
Q:「猪木や藤波に一言」
武藤:「感謝してます。十八年間ありがとうございました」
Q:「元子さんに一言」
武藤:「うーん。最初は駆け引きも使わなくちゃいけないしなあ」
Q:「いくらほしいのよ」
武藤:「全日本って、金、出せないよ」
Q:「リスナーに一言」
武藤:「俺たち、マスコミであれこれあっても、すべて現場なんですよ。リングの上でしか証明できない。武藤敬司のプロレスをこれからも見てください」
辻:「僕がもしかしたら、武藤さんの試合をしゃべれるようなことになるといい」
武藤:「ぜひお願いします」
参考までに。
1月31日発売の「週刊ゴング」によると、馳は、亡くなった馬場さんとの間でかわされた「1試合10万円」という口約束だけで全日に参戦しているのだそうです。