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全日本プロレス観戦記

2001年(1)

2001.8.19「ファン感謝デー」(後楽園ホール)
2001.7.14(武道館大会)
スーパーパワー ワンナイト・スペシャル2001.5.20(後楽園ホール)
ジャイアント馬場三回忌興行2001.1.28(東京ドーム)

2001.8.19(後楽園ホール。ファン感謝デー)

 武道館大会で、トロフィーを投げつけ、厳重注意された天龍が、インディー時代を否定された、と怒って、嵐と北原を呼んで全日主流派に戦いを挑む、その緒戦。
 全席3000円という格安料金の感謝興行。来日外人なし、全五試合だが、これで3000円は安い。
 15日に思い立って、チケットぴあに行ってみたら、チケットが手に入ってしまい、客の入りが心配だったのだが、ふたを開けてみれば大入り満員。
 南側の、チケットの番号の席に座っていたら、ほかの客が係員を連れて来て、「チケットを拝見」などというので見せたら、何と自分の席は北側だった。
 北側には座ったことがないので気が付かなかった。
 初めて座った北側は、非常に見やすかった。
 売店に行ったら隅の方で天龍源一郎湯呑みを売っていた。大きくてどっしりしている。
 白地に青で「天龍源一郎」と書いてあるだけの、いかにも天龍らしい商品だ。
 天龍の応援に来たわけではないし、1200円も安くはないと思ったが、気に入ったので買ってしまった。

(試合時間、決まり手は、全日本プロレス公式ホームページで公開されているものによる)
第1試合 15分1本勝負
○ 馳 浩 7分46秒
逆エビ固め
宮本和志 ●
 新生全日本プロレスになってからのデビュー選手第一号。
 まず、馳のテーマ曲が流れ、馳が登場すると、その曲が流れているうちに、アナウンサーがセコンドに宮本を連れてこい、と指示。宮本のテーマ曲はないのだ。
 緊張した表情で登場し、花道で花束を渡されるが、それをすぐにセコンドに渡してリング・イン。
 ショッキング・イエローという、目を引くタイツ。
 場内大拍手。
 名前がコールされると、色とりどりのテープが舞った。まだ宮本のカラーが決まっていなかったからだが、次回からは黄色いテープが飛ぶのだろう。
 第一試合ながら、レフェリーは和田京平。デビュー戦ということでの配慮だろう。
 とにかく、最初から最後まで宮本への声援ばかり。
 家族が来ているらしく、「和志にいちゃん」という声も聞こえた。
 馳は、投げ技は使わず、グランドで攻める。驚いたことに、宮本は慌てる様子もなく、冷静に対処しようとしていた。
 高校時代は相撲部ということで、レスリングの経験はないはずだが。
 プログラムには、「太陽ケア、ジョニー・スミス、馳浩、藤原喜明ら様々な選手がコーチを努めてくれた」と書いてあったが、おそらく最も身近にいて指導してくれたのは渕なのではないだろうか。
 アームレスリングでも実績がある、ということで、腕ひしぎは腕力を生かして決めさせず、逃げ切った。
 張り手合戦もあり気迫を見せるが、まだまだ、馳とは、一発一発の重みが違う。
 最後は、逆エビ。馳の陰になっていて見えなかったが、ギブアップしたのではなく、レフェリーが止めたように見えた。
 試合後、リングの上で四方に礼をして去っていったがずっと拍手が続いていた。
 見ていて好感を覚えたが、負けても拍手されるのは今日だけだぞ。
 負けたらブーイングが飛ぶくらいにならなくちゃ。
 全日ファンの希望を背負ってデビューしたんだからね。
 がんばれ、宮本!

第2試合 30分1本勝負
○ 愚乱・浪花 14分17秒
クラッチ・ザ・ナニワ
蟹 影 ●
 相島勇人参戦のはずだったのが、なぜか急遽、蟹影に変更されたカード。
 無名の選手の参戦は、正直言って不安だった。
 浪花は、サイン入りフリスビーを投げながら登場。
 一方、蟹影入場では、テーマ曲が流れ始めた時に、「はて、どこかで聞いたような」と思ったが、何と、「仮面の忍者赤影」の主題歌「忍者マーチ」(曲のみ)。
 蟹影は、体は余り大きくないが、腕には肉がついている。
 このレスラー、浪花とは何度も試合をしているのではないだろうか。
 ネタあわせができていて、二人で笑いを誘う。
 途中、浪花が蟹影のマスクを剥ごうとするので、どういうつもりかと思ったら、一瞬だが、お互いに相手のマスクを剥いでしまう。慌ててかぶったのが相手のマスクで、途中から顔だけ入れ替わる、という趣向で場内を沸かせる。
 浪花の声が甲高いのに比べて、比較的低い声。
 最後は、リングに倒れた浪花が蟹影のタイツを引っ張るとずるずると足首辺りまで脱げてしまい、慌てた蟹影を丸め込む、というフィニッシュ。
 蟹影はレフェリーに抗議するものの聞き入れられず、次はマスクを懸けて闘おう、というポーズ。
 意外に安定した動きを見せるレスラーで一安心。
 次の試合からセコンドにもついていた。

第3試合 30分1本勝負
藤原喜明
○ 安生洋二
14分45秒
グランドクロス200
長井満也
平井伸和 ●
 藤原・安生のタッグという、数年前には、全日本のリングで実現するとは夢にも思えなかった顔合わせ。
 長井はリングス出身で、平井以外はいわゆるU系。体格的にも平井は一回り小さく見える。
 武道館の時、平井は余りいいところがなかったので、ボロボロにされるのではないかと思ったが、臆することなくガンガン攻めていって、見ていて気持ちがよかった。
 どういうわけか、と言っては失礼だが、平井は人気がある。
 コールの時には緑のテープが飛び、試合中も女性の声援(叱咤激励?)が絶えない。
 藤原・安生組は、余裕を持った試合展開を見せながらも、やばくなると急所攻撃まで出して会場を和ませる。
 途中、攻め込まれた安生は、突然急所を押さえて、タイムのポーズを見せ、平井がどうしたのかと思って見ている隙にコーナーに戻ってタッチ。
 代わった組長が、同じようにしてタッチに戻ると、安生は、「まだダメ」とタッチに応じないというお茶目ぶり。
 最後は、投げられた平井がぼんやり足を投げ出したままの所をとらえて、安生のグランドクロス。
 試合後、長井が平井の健闘をたたえていた。
 厳しいことを言えば、敗れて健闘をたたえられるようではまだまだなのだが、がんばりを見せた、ということでよしとしよう。

第4試合 30分1本勝負
○ 川田利明 10分14秒
片エビ固め
(延髄斬り)
奥村茂雄 ●
 7.14武道館では、荒谷が川田に挑んだものの、いいところなしだった。
 さて、アジアタッグを狙うパートナーの奥村はどうか、というと、これはよかった。
 最初から最後までとぎれることなくよく動く。
 川田の攻撃にできるだけ耐え、ひるむことなくぶつかっていった。
 ちょっとでも川田をダウンさせれば場内大喜び。判官贔屓はあるものの、その奮闘に声援が飛ぶ。
 顔面キックもこらえてみせる。
 ただ、気迫は見せたものの、奥村はまだ技の引き出しが少なく、多彩な攻めを見せることができない。一本調子になりがち。
 川田は終始冷静で、受けるだけ受けると、キックからフォール。
 試合時間は10分だったが、充実していて、もっと長かったように感じた。

第5試合 60分1本勝負
太陽ケア
渕 正信
● 荒谷信孝
17分50秒
片エビ固め
(ラリアット)
天龍源一郎 ○

北原光騎
 全日に反旗を翻した天龍と、その天龍に反旗を翻した荒谷。
 さらには、天龍の意向で、WAR軍として、10年ぶりに全日マットに姿を見せた北原と嵐。
 嵐は覆面無しで高木のまま。場内からは、女性の声で「高木さーん」という声援もとんだ。
 荒谷は全日のTシャツを身につけて現れ、全日本流の一員であることをアピール。
 初めて見たが、嵐も北原もでかい。そして、六人がリングに揃うと、渕の色の白さがひときわ目立つ。
 先発は荒谷と嵐。体格では劣っているが、荒谷ががんばる。
 WAR軍は、タッチワークに長けていて、代わる代わる荒谷を攻め立てる。最初から標的は荒谷と決めていたらしい。
 ケアは、敵意をむき出しにして、椅子攻撃までしかけるが、嵐と北原とは余裕を持ってあしらっていた。
 天龍は右手人差し指を骨折していたのだが、渕はしっかりとそこを狙う。
 指を一本だけつかむのは反則だが、二本つかめばいいらしい。天龍の人差し指と中指を握ってねじり上げる。さすがの天龍も痛そう。嵐と北原がレフェリーに抗議するが、和田京平レフェリーは、指を二本持っているから、と取り合わない。
 とにかく荒谷の奮戦が光った。天龍にムーンサルトを決めたあと、天龍はしばらく脇腹を押さえていた。
 最後は天龍のラリアット。一発目は耐えたものの二発めをくらってスリー・カウント。
 全日対WARという抗争を抜きにしても見応えのある面白い試合だった。 


2001.7.14(日本武道館。サマーアクション・シリーズ最終戦)

 2001年サマーアクション・シリーズの最終日。
 三冠ベルトと世界タッグの選手権試合があるのだが、客の入りが余りよくなかった。
 アリーナ席は埋まっていたが、一階二階は八割ぐらいか。
 新生全日本プロレスも二年目に入り、これから真価が問われるところだ。
 花道つきの大会を見るのは初めて。
 南側に作ってあるのだが、席が南側二列目立ったので、出てきた選手がすぐ近くに見えてよかった。
(試合時間、決まり手は、全日本プロレス公式ホームページで公開されているものによる)

第1試合(トリプル・スレッド・マッチ 渕 正信 VS 愚乱・浪花 VS 平井伸和)
○ 渕 正信 6分00秒
片エビ固め
(バックドロップ)
平井伸和 ●
 トリプル・スレッド・マッチというのは初めて見た。
 誰かが誰かをフォールするかギブアップを奪うかすればいい。
 バトルロイヤルと違って、最後の一人になるまで、というわけではない。
 最初のうちは、浪花と平井が共闘。二人で渕を背後から襲う。
 平井が渕をボディースラムで投げて、浪花がトップロープから飛ぶとかわされる。
 次に渕が平井をつかまえ、浪花にコーナーに登るよう指示して、リング中央に平井を投げ、「飛べ」と言うと、「遠すぎる」のポーズ。
 仕方がないので、コーナーのすぐ下へ投げると、「近すぎる」。
 ちょうどいいところへ平井を寝かせてやると、今度は飛んだが、しっかりかわされて自爆。
 浪花は何度か飛んだが、全部自爆。
 最後は、渕が浪花をコーナーに逆さづりにし、平井へバックドロップ連発で決めた。
 試合は短かったが、渕のバックドロップが出ると場内が沸く。

第2試合 みちのくプロレス提供試合 30分1本勝負
○ タイガーマスク
MEN´Sテイオー
12分13秒
タイガー・スープレックス・ホールド
グラン浜田
西田秀樹 ●
 みちのくプロレスは、機会があったら見たいと思っていたが、全日の武道館大会で見ることができるとは。
 小さな巨人、グラン浜田の鍛えられた体が光っている。
 タイガーマスクはその名に恥じぬ多彩なキックを見せ、四人でよく動く。
 西田がつかまって終わったが、最後に四人で手をつないで挙げ、場内に挨拶。
 次はサスケも見てみたい。

第3試合 30分1本勝負
藤原喜明
●相島勇人
土方隆司
10分42秒
ジャーマン・スープレックス・ホールド
ジョージ・ハインズ○
ショーン・ヘルナンデス
ケイシー・ガイヤー
 何と、コールの際、ケイシー・ガイヤからずっとコールごとにテープが飛ぶ。
 最後にコールされた組長の時にだけテープが飛ばなかったのだが、声援は一番大きかった。
 外人は三人ともスキンヘッドで、見かけで言うと、相島は頭も体つきも外人組に入った方がよさそう。
 日本側で一番張り切っていたのは組長。
 ハインズとのヘッドバット合戦で、ハインズが「俺の頭は固いんだ」とばかりに、コーナーに自分の頭を打ち付けてみせると、組長は、「よく聞いてろよ」という仕草をして、エプロンに立ち、ロープを固定している金具に自分の頭を打ち付けてみせる。
 何と、「カチン」という音が、場内に響き渡り武道館がどよめいた。
 「お前もやって見ろ」とハインズに促すが、ハインズは尻込み。そこで組長がまたやって見せたので、ハインズは渋々エプロンに出たが、金具を拳でたたいてみて、悲鳴を上げる。
 初めて見た土方は、キックでがんばるが、捕まる時間が長かった。
 組長は、積極的にカットに出て助け、相島を促してカットに入らせたり、若い連中を引っ張ってがんばる。
 相島は、入場の時は元気いっぱいだったのに、強い相手に当たると気後れしてしまうのか。
 最後は六人が入り乱れている時に、相島がつかまってジャーマンで決まる。
 外人が意気揚々と花道を引き上げると、それを悔しそうに見送った組長が、若い二人を引き連れ、走って追いかけて花道を消えていった。
 あの後、どうなったんだろう。
 相島と土方は組長を見習わなくてはならん。

第4試合 30分1本勝負
マイク・バートン
● ジム・スティール
12分49秒
エビ固め
(念仏パワーボム)
新崎人生 ○
モハメド・ヨネ
 人生といえば、一年前に、ウィリアムスに、ロープ越しに本部席まで投げられたことがあったなあ。
 バートンとスティールは、機嫌良くファンの手にタッチしながらの入場。
 相変わらず人気者。
 ヨネはよくがんばるが、体重が不足していて、なかなか相手にダメージを与えられない。
 途中、ずっとつかまっていて、これまでか、という場面が何度もあったのだが、それをしのぎきり、人生につなぐ。
 曼荼羅捻りが出たあたりから人生ペース。極楽固めに入り、ヨネがバートンを押さえている間に、念仏パワーボムできめた。
 こうしてみると、人生って体も大きく安定している。いいレスラーだ。

第5試合 30分1本勝負
○ 長井満也 10分09秒
片エビ固め
(ハイパーニー・空牙)
奥村茂雄 ●
 本来は、長井・垣原の持つアジア・タッグのベルトに、奥村と荒谷が組んで挑戦するはずだったのだが、垣原が故障欠場のため、急遽シングルとなった。
 奥村にしてみれば、ここで長井を倒して置いて、アジア・タッグを巻く資格があることをアピールしたいところ。
 武道館に着いた時、道の脇で長井の幟の準備をしている人たちがいたが、結構人気があるんだね。長井の入場前から、花道の両脇に幟が並んだ。
 曲は、長井も垣原と同じUのテーマ。
 長井は、そのうちの一人に、自分の来ていたTシャツを脱いで与え、幟を受け取ってリングを振って見せた。先に入場していた奥村は面白くない。やる気満々。
 前半は、長井が一方的に奥村を攻める。
 ニーリフトの連続で、奥村は動けなくなるのがしばしば。レフェリーが止めるのではないかと思うくらい、だったが、途中で息を吹き返し、エルボーなどで反撃。
 場内大いに盛り上がる。
 奥村もよくがんばったが、延髄から、ジャンピングニーパット(あれをハイパーニー空牙というようだ)で決まり。
 奥村としては、勝てない相手ではない、という感触をつかんだはず。
 なかなかの好試合だった。

第6試合 30分1本勝負
○ 川田利明 10分50秒
ストレッチ・プラム
荒谷信孝 ●
 奥村と組むはずだった荒谷は、何と川田とのシングル。
 川田は、蝶野との対戦が実現するかもしれない、ということだったのだが、蝶野の体調が悪く、土壇場になってこの試合が決まった。
 荒谷は必死になって食らいついていくが、川田の一発一発の重みが違う。
 一発受けては動けなくなる、ということの繰り返し。
 最後はストレッチ・プラムであえなくタップ。
 肘の具合のよくない川田としては、これぐらいでちょうどいいのかもしれないが、激しい試合を見たいファンとしては物足りない。
 荒谷はまだ体を生かし切っていない。
 直前の試合が好試合だっただけに、見劣りがしてしまった。

第7試合 60分1本勝負 世界タッグ選手権試合
チャンピオン
太陽ケア
● ジョニー・スミス
22分58秒
エビ固め
(スパイン・バスター)
チャレンジャー
天龍源一郎
安生洋二
 待ってました。安生洋二登場!
 聞き覚えのある曲が流れると、銀のガウンをまとった安生が姿を現し、場内大喜び。
 安生はまず投げキスをして見せた。
 続いては天龍。おなじみの天龍の幟が立つ。
 続いてチャンピオンチームの入場になると、ユニオンジャックの旗が振られる。
 ファンも忙しいね。
 認定書を読むために、黒いスーツに赤いシャツ、黒いネクタイという男がリングイン。
 アナウンサーの紹介を聞けば、なんと、もと「週刊ゴング」編集長で、今や日刊スポーツ新聞社社長の竹内宏介さんではないか。
 安生に負けない声援が飛ぶ。
 竹内さんは、一語一語に力を込めて認定書を読み上げたが、認定する組織PWFの会長はもちろんスタン・ハンセン。その名を読み上げた時、場内からはロングホーン。
 ベルトの返還を受けた竹内さんが、天龍と安生にベルトを見せると、安生はそれを手にしてしげしげと見て、雰囲気を和らげる。
 試合開始前に、和田京平レフェリーが、グーパンチは反則だ、と念を押す。
 これは、(もともと反則なのだが)、グーパンチを認めるかどうかで、天龍とケアの間で軋轢があり、グーパンチでのフォールは認めない、と和田レフェリーが最近強硬になってきたことによる。
 試合は安生とスミスのからみから。
 テクニシャンのスミスにどう対応するのかと思ったら、安生はレスリングがうまい。
 きっちりつきあって、グランドの攻防が続く。場内から、「安生、笑わせろ」「安生、地味」というヤジが飛んだほど。
 スミスを青コーナーに追いつめ、グーパンチを出すとみせかけ、足もとへ蹴りを連発して天龍とタッチ。
 天龍はどうするかと思うと、確信犯。グーパンチを出す。パンチとチョップを連続させたりして、レフェリーが止めに入る。
 一度、パンチでスミスが倒れたが、天龍がカバーしても、レフェリーはカウントを取らない。
 途中から、ケアと天龍は喧嘩状態。
 ケアも怒り狂ってパンチを連発。
 安生はケアに対してはうまく対処できず、ジャーマンをくらったりしてピンチになるが、どうにかしのぐ。 天龍とケアがリングインしている時、天龍がコーナーのスミスともめ、レフェリーがそれに気を取られている隙に、ケアのタイツをつかんで引き寄せ、後ろからグーパンチ、など、大いに見せ場を作る。
 最後は、ケアと天龍が花道で殴り合っている時に、レフェリーの目を盗んでパンチを入れ、スパインバスターで押さえ込んでスリーカウント。おそらく、スミスにとっては、スパインバスターよりも、パンチのダメージの方が大きかったのだろう。
 敗れたケアとスミスは冷静だったのだが、表彰が始まったところで、女性客が本部席のマイクを勝手にとって何か叫んだ。(私には聞き取れなかったが、全日本プロレスの掲示板の書き込みによると、「そこまでして勝ちたいか」と叫んだらしい)
 そのあたりから、天龍がケアに突っかかり、何と、受け取ったばかりのベルトで殴りかかった。ケアも当然怒りだすと、天龍は、何とベルトをケアに投げつけた! そればかりではない、カップまで投げつける。カップは一部破損。天龍がケアをにらみつけているのをよそに、安生はせこせことカップを回収して笑いを取る。
 客がマイクを取ったのもいやだったが、西側からは、椅子がリングサイドに投げられた。
 前にいる客に当たったらどうするのだ。
 天龍が、一体何が気に入らなかったのかわからないが、だからといって、椅子を投げてどうするのだ。
 結局天龍は、ベルトを巻かず、憮然とした表情で花道を戻り、その後ろから、安生が天龍の分も合わせて四本のベルトを肩にかけて意気揚々と引き上げていった。
 安生の才能が遺憾なく発揮された試合だった。
 安生には、ぜひ、年末の世界タッグにも出てもらいたい。

第8試合 60分1本勝負 三冠ヘビー級選手権試合
チャンピオン
○ 武藤敬司
18分52秒
片エビ固め
(シャイニング・ウィザード)
チャレンジャー
スティーブ・ウイリアムス ●
 ガウンをまとった武藤は、姿を現すと、スキンヘッドをなで回して見せた。その頭がすぐ下に見えた。
 花道を少し進んで、ベルトを客席に見せつけていたが、南側の席からは、背中しか見えなかった。
 三冠ベルトは、一つだけ腰に巻き、あとは肩にかけることが多い。三つとも腰に巻くのは珍しい。
 それだけ愛着があるのだろう。
 全日としては、ウィリアムスに勝ってもらって、全日に取り戻したいところだが、武藤への声援も多い。
 感心したのは、ウィリアムスが、武藤の技をしっかり研究していたこと。
 最初のシャイニング・ウィザードは、両手を突っ張って武藤の体を押しのけて防いだ。
 側転エルボーは、武藤の体を抱え上げて防いだ。
 初めのうちは一進一退。
 以前からそうなのだが、武藤のプロレスには理解できないところがある。
 たとえば、ドラゴン・スクリューでウィリアムスの動きが止まった時に、すぐに次の技に入らず、上体を起こしただけで、敵に背中を見せたまま、場内を見回したりする。こういう間の取り方が不思議なものに思えるのだ。
 途中、シャイニング・ウィザードを決めたが、ウィリアムスが大の字になってもカバーに入らない。
 ウィリアムスを蹴った右膝を抱えてうなっている。ただのポーズかと思ったら、すぐにリング下に出てしまった。
 回復したウィリアムスが武藤をリングに入れ、ロープにとばそうとするが、武藤は歩くこともできない。
 ここぞとばかりに、ウィリアムスは、蹴りと頭突きで武藤の膝を攻める。悶絶する武藤。
 これでウィリアムスの勝利かと思ったら、バックドロップに入ろうとすると、武藤はエルボーを入れて決めさせず、ウィリアムスは決められない。
 結局、闘いながら回復した武藤が、シャイニング・ウィザードを連発し、最後は、少し横の角度からこめかみに決めてスリーカウント。
 微妙な判定ではあったが、ウィリアムスは負けを認め、武藤が再びベルトを巻いた。
 武藤は、BATTの一員である人生を従えて花道をもどってきたが、その表情には、入場の時のような余裕は全くなかった。
 残されたウィリアムスは、「ワンモアチャンス」と何度も叫びながら花道を去っていった。


 帰りに、外のテントの売店を覗こうと思ったら、元子さんが取材を受けていた。
 一人の記者がノートを手に話を聞いていたのだが、人が取り巻くようなことはない。
 私はしばらく、元子さんの後ろに立って話を聞こうとしたが、「天龍さんの話を聞いて」という言葉が聞こえただけだった。おそらく、世界タッグの試合後の天龍の行動についての取材だったのだろう。
 ファンが一人、元子さんのところへ来て「握手してください」と言ったら、元子さんは気軽に応じていた。
 声がよく聞こえないので、盗み聞きはあきらめて、テントへ。
 これまではいつも人が群がっていて買えなかったスタン・ハンセンブルロープストラップを買ったら、おまけに「16文祈願」のキーホルダーをくれた。


2001.5.20(後楽園ホール。スーパーパワー ワンナイト・スペシャル)

 ジャンボ鶴田追悼興行でもある。
 本部席横には、ジャンボの肉親らしい人(お兄さんか)が座っていた。
 川田(怪我)と天龍(年間契約試合数の制限)が出ない、ということなので、客の入りが心配だったのだが、満員。盛り上がっていた。
(試合時間、決まり手は、全日本プロレス公式ホームページで公開されているものによる)

第1試合
○ 愚乱・浪花 11分51秒
クラッチ・ザ・ナニワ
SHIIBA ●
 SHIIBAは、去年の、大量離脱後の初の武道館大会に出場し、太鼓のパフォーマンスが不思議だった上、試合もぎくしゃくしていたので、よくまあ、もう一度呼んだな、と思ったのだが、意外や意外、大健闘。
 初めのうちこそ、「今日は太鼓はどうした」などというヤジも飛んだが、声援の方が多かった。
 浪花より体も大きく、よく動く。
 ロープをはさんで、相手の背後に上下逆にくっつき、足でフルネルソンをかけて、手は相手の足を固めるという、珍しい技を見せたりする。
 ロープ越しに飛んでも見せたが、回転して自分のふくらはぎを鉄柵にぶつけていた。心配したがすぐに立ち上がって見せたのに感心。
 それでも浪花の方が余裕があり、SHIIBAのマスクのひもをロープに結んでしまったりして笑わせる。
 試合は一日の長で、浪花が勝ったが、SHIIBAは本当に悔しそうだった。
 もう一回やろう、と、浪花の方からアクションがあり、頷いていた。
 SHIIBAと浪花で組んで、闘龍門の人たちとやってみたらどうだろう。

第2試合
  新井健一郎
●  堀口元気
斉藤 了
18分55秒
片エビ固め
(横須賀カッター)
神田裕之
望月 享  ○
ダークネス・ドラゴン
 すっかり定着した闘龍門コーナー。
 M2Kは、今回は、キックボードを手に持って入場。このキックボードは試合中に一度だけ使われた。
 対する三人は、それぞれ、一升瓶、サーフボード、自転車と、コスチュームと合わせたアイテムを持っている。
 斉藤了の自転車は、人に奪われていたのを、12日の試合に勝って取り戻したばかり。場内からは「おめでとう」と声がかかる。
 一升瓶を手にして入ってきた新井ははちまき姿で、ルチャとはほど遠いいでたち・容貌。それがかえって面白い。
 試合は、そうしょっちゅう飛びはしないが、めまぐるしく動く。特に、サーファー姿の堀口がよく動く。
 最後は堀口が捕まり、かなり粘ったもののフェイスバスター(横須賀カッターというのだそうだ)でスリーカウント。

第3試合
○ キム・ドク 8分01秒
片エビ固め
(ツームストン・パイルドライバー)
平井伸和 ●
 平井は、私が子どもの頃、テレビで見ていたミツ・ヒライの息子。
 SWSの第一回入団テストに合格してプロレスラーになったのだから、もう十年ぐらいのキャリアがあるはずなのだが、童顔で、十代に見える。
 キム・ドクに比べると小柄。肉もあまりついていないように見える。まあ、誰だってキム・ドクと比べれば小柄に見えるが。
 がんばってはいるのだが、試合運びも、余裕のあるキム・ドクのペースで、胸を借りているように見えてしまう。厳しいヤジも飛んでいて、それに対しては「あっちへ行け」という仕草で応えていた。
 受けるだけ受けたキム・ドクが最後はあっさり決めて見せた。

ジャンボ鶴田一周忌セレモニー
 第3試合後、休憩前に行われた。
 ややスローテンポにアレンジされた「J」が流れる中、今日出場する全選手が登場。
 リングには、馳、ケア、天龍、渕、川田があがる。
 鶴田のプロフィールを紹介するアナウンスのあと、テンカウント。
 そのあと休憩。
 休憩時間に、鶴田基金の募金箱を持って、和田京平レフェリーとSHIIBA、浪花が場内を回っていた。二人は全日所属の選手ではないのだが、こういうところが全日らしい。プロレスラーはみな家族という雰囲気。
 いまはやりの言葉で言えば「プロレスLOVE」というところか。

第4試合
荒谷信孝
● 奥村茂雄
22分04秒
片エビ固め
(ローリング・エルボー)
田中将斗 ○
保坂秀樹
 
 試合開始前、カード発表の時、最も完成が大きかったのがこれ。
 田中が日焼けした精悍な感じなのに比べ、保坂はぽっちゃりして色白。
 FMWを離脱した田中と保坂の初参戦。この四人は、インディの試合で顔を合わせたことがあるのではないだろうか。
 インディ育ちが揃ったためか、うまく噛み合った好試合。
 自分たちをアピールしたい田中・保坂と、全日の看板を背負うことになった荒谷・奥村が思いきりぶつかり合う。
 エルボーの撃ち合いなど意地の張り合いが続く。
 荒谷は、エルボーを受けても、「きいてねえよ」という顔をして見せたりして、全日の壁を見せつけて終わるかと思ったのだが、田中たちもねばる。
 最後は田中のローリングエルボーで終わったが、差は紙一重。
 田中たちは意外に、と言っては失礼だが、礼儀正しく、マイクアピールなどもせず、素直に喜んでいた。
 田中は川田との対戦を望んでいるらしいが、そこまで行くのはまだ先の話だろう。しかし、アジアタッグぐらいなら、挑戦できる力があるのではないか。

第5試合
○ 太陽ケア
馳 浩
18分05秒
体固め
(ハワイアン・スマッシャ―)
後藤達俊 ●
小原道由
 BATT対犬。
 馳とケアが先に入場して待っていると、後藤と小原が走り込んできて急襲。
 乱闘のうちにゴングが鳴らされる。
 後藤は馳を記者席まで引っ張っていく。後藤と馳がそれぞれ机を手にして振り回すと、「そういう試合は新日でやってくれ」という声が飛ぶ。
 初めのうちは場外乱闘が続くが、やがてリング内に戻り、通常の試合になったが、小原はやけに馳につっかかり、唾をとばしたりして挑発。
 馳が後藤をジャイアントスイングで回そうとすると、小原がカットして場内からブーイング。
 小原も後藤も生で見るのは初めて。
 後藤は、髪と眉を剃っていたときには怖い顔だったが、金髪にしていても、髭のせいか人のいいおじさんに見えてしまう。
 後藤が馳にバックドロップをかけると場内がわいた。馳は、後藤のバックドロップを食らって心臓が停止したことがあったのだ。
 最後はケアが決めて見せ、試合が終わったあと、馳と二人でBATTのポーズを決めて写真を撮らせていた。
 前の試合の田中たちとは違って、犬の二人のファイト・スタイルは、全日には合わない。はぐれ者であることを強調しすぎている。
 実力は田中たちよりもあるのかもしれないが、あまりいい印象を受けなかった。

第6試合「新・アジアタッグ王者決定戦」進出者決定戦
● 渕 正信
藤原喜明
16分49秒
腕ひしぎ逆十字固め
垣原賢人 ○
長井満也
 UWFのテーマが流れると、驚いたことに、垣原の名を記した赤い旗と、長井の名を記した緑の旗が四本ずつ花道に立った。
 二人に熱心なファンがいても驚きはしないが、彼らのファンが旗を立てるとは思わなかった。
 リングサイド席に、旗を用意してきている客がいることには気づいていたが、天龍は試合に出ないのだから、誰のファンなのだろうと思っていたら、なんとストロングスのファンだったのだ。
 垣原は新調した赤いタイツ。黒字の部分に風林火山の文が金糸で刺繍してある。
 一方、渕と藤原は、「ワルキューレの騎行」が流れるとすぐに登場。
 勝者が、六月十日の武道館大会で、アジアタッグ決定戦に出場することになる。相手は新日の永田・真壁。
 渕以外はU系だ。十年前には想像もできなかったような顔合わせ。
 血気盛んなストロングスに対して、渕と藤原は、たくみにそれをいなしていく。
 途中、長井が捕まり、渕と藤原にさんざんいたぶられる。
 基本的には股裂きなのだが、体が柔らかいはずのプロレスラーも、かなり痛いらしい。
 ほかにも、ヒールホールド、トゥホールドと、あれやこれや様々なバリエーションのサブミッションで長井を痛めつける。
 ずっと赤コーナーよりでグラウンドの攻防ならぬ、藤原たちによる一方的ないたぶりが続き、垣原がいらいらして身を乗り出す。和田京平レフェリーがそちらへ目を向けると、ロープの外にいた藤原は、自分で自分の手をたたいてタッチしたような音を立て、平然と渕と交代。
 垣原が抗議するが、音しか聞こえなかったレフェリーにはタッチしたとしか思えない。
 それでさらに垣原が抗議すると、レフェリーの注意がそちらへ向かい、渕もまた、自分で音を立てて藤原と交代。垣原が抗議すればするほど、渕と藤原やりたい放題。レフェリーが見ているときには、わざと大げさに手を打ち合って、ちゃんとタッチしてますよ、というポーズ。
 ずっと悲鳴を上げていた長井がやっとのことで垣原とタッチすると、垣原は猛然とダッシュ。蹴りの連発で渕は藤原と代わってリング下へ逃げる。
 しばらく垣原の相手をした藤原がタッチを求めても、タイムのポーズで代わらない。
 少し休んで、藤原と二人がかりで垣原を痛めつけにかかる。これまた股裂き。これには垣原も悲鳴を上げる。
 老練な二人の前に、ストロングスは敗れ去るのかと思ったが、最後の最後、長井と藤原が場外でもめている間に、カッキーカッターから腕ひしぎで決まってしまった。
 ストロングスは大喜び。垣原は何度も、ベルトを巻くぞ、というポーズ。
 花道を戻るとき、垣原は、自分の名前が書いてある旗を手にとって大きく振って見せた。旗を用意したファンもうれしかったろう。
 かつて、UWF全盛期に、馬場さんは「シュートを越えたところにプロレスがある」と言ったことがあるが、こうして、王道プロレスはUWFをもその中に受け入れることができるのだ、ということが証明されたのである。

第7試合ジャンボ鶴田一周忌追悼特別 試合 メモリアルバトルロイヤル

出場選手(退場順)
キム・ドク 渕正信 ダークネス・ドラゴン 新井健一郎 天龍源一郎 藤原喜明 堀口元気 平井伸和 愚乱・浪花 垣原賢人 望月享  斎藤了 奥村茂雄 SHIIBA ターザン後藤 神田裕之 太陽ケア 荒谷信孝 長井満也 19選手参加 
 通常バージョンの「J」にのって選手が登場。
 ほとんどの選手がリングインしたところで、曲が変わる。
 会場からは「後藤」「ターザン」の声が飛ぶ。
 なんと、ターザン後藤は白いガウンを着て現れた。
 十五年七ヶ月ぶりの全日復帰の晴れ舞台だ。
 ガウンを脱ぐと、おなかがぼってりとしていた。
 さあ、これで試合開始かと思ったら、聞き覚えのある曲が。なんと、試合には出ないと思っていた天龍が走って現れ、リングインするや手近にいたのをなぎ倒し、私が座っていた南側の席に向かって、鶴田の「オー」をやって見せた。私も思わず一緒にこぶしを突き上げた。場内大喜び。
 試合が始まると、レスラーが多すぎてごちゃごちゃしていたが、キム・ドクが、闘龍門の連中に総掛かりでやられて退場。
 リングを下りたドクに、藤原が盛んに、「頭を使えよ」と言っていた。
 途中、どういうわけか、望月が、天龍、藤原、後藤のなぶりものに。
 フォールせずに、三人で、投げたりラリアットをかけたりで、望月はふらふら。見かねて、M2Kの仲間の神田がフォールし、三カウントをとって外へ出してやろうとするのだが、藤原が許さない。
 望月は、殺されるんじゃないかと思ったのではないか。
 垣原が押さえられたとき、長井も手伝ったので、垣原が長井に詰め寄る一幕もあったりして、後藤、神田、ケア、荒谷、長井の五人が残る。
 後藤が復帰を飾るのか、と思ったら、後藤の弟子らしいのが、リング外からフォークを手渡す。後藤は「ゴング」のインタビューで、いつものスタイルで戦う、と言っていたが、本気だったらしい。
 しかし、そんなことは和田京平が許さない。がんとして許さず、取り上げる。場内京平コール。
 最後に残ったのは荒谷と長井。
 これからの全日を引っ張っていくことになる世代の二人が残ったというのは、象徴的だ。しかもそれが、インディ出身とリングス出身というあたり、今の全日の状態がよく現れている。
 荒谷を押さえて勝利を収めた長井は、花道で、垣原と同じように、自分の名が書かれた旗を大きく振って見せ、場内をわかした。


 川田と天龍を欠いた興業ということで不安があったが、客の入りも、客の反応もよかった。
 大量離脱のおかげで、これまで見ることのなかったいろいろな選手を見ることができるようになったとも言える。
 全日は変わった。しかし、今までだってずっと変わり続けて来ていたのだ。馬場さんだってさまざまな変革を行ってきたではないか。
 若手の登竜門として、また、他団体で名を馳せた名選手の最後の活躍の場として全日が残ったとしても、それはやはり全日本プロレスなのである。


2001.1.28(東京ドーム。ジャイアント馬場三回忌興行)

 昨年の大量離脱で、全日本プロレスは壊滅的なダメージを受けたのに、一年たたないうちに東京ドームで興行をうつようになるとは。
 今回はスタン・ハンセンの引退式も行われるということで、久しぶりに会場へ。
 新日本プロレスの保永昇男が、何試合も裁いていた。
(試合時間、決まり手は、全日本プロレス公式ホームページで公開されているものによる)
第1試合(時間差バトルロイヤル)
登場順
1・相島勇人(世界のプロレス)、2・愚乱・浪花、3・土方隆司(バトラーツ)、4・平井伸和、5・M2K=神田裕之&望月享&ダークネス・ドラゴン(闘龍門JAPAN)、6・TARU(闘龍門JAPAN)、7・ダニー・クロファット、8・SHINOBI(VAMOS)、9・水前寺狂士郎(世界のプロレス)、10・堀口元気(闘龍門JAPAN)、11・ストーカー市川(闘龍門JAPAN)

優勝=ダニー・クロファット(26分14秒 コブラクラッチ・スープレックスからの片エビ固め)

 参加選手が二分ごとに登場する変則バトルロイヤル。
 事前に発表されていたカードに相島勇人の名前がなかったので、今回は出ないのかなあ、と思っていたら、ここに最初に登場。
 次々と登場するが、テーマ曲を聴いたって、それで分かるのは「カニ道楽」の愚乱・浪花ぐらい。
 大量離脱後、助っ人参加してくれた他団体の選手達をまとめて登場させる企画だと分かったが、ダニー・クロファットまで、ここに登場したのは驚いた。最後にストーカー市川を見ることができたのがよかった。ミツ・ヒライの息子の平井伸和を初めて見た。
 最初に登場した相島が頑張って最後まで残り、ダニー・クロファットと試合ができたのがよかった。
第2試合
藤原 喜明
×荒谷 信孝
14分33秒
片エビ固め
(ツームストン・パイルドライバー)
キム・ドク○
奥村 茂雄
 まさか、キム・ドクをこの目で見る日が来ようとは。
 確かに体が大きく、力もありそう。荒谷と奥村も頑張ってはみるが、藤原とキムにはかなわない。
 ヘッドバッド合戦など、見せ場もちゃんと作るり、中年二人は余裕がある。
第3試合
○ミル・マスカラス
エル・イホ・デル・サント
13分40秒
回転エビ固め
アルカン・ヘル・デラムエルテ×
ブルー・パンテル
 まさか、ミル・マスカラスをこの目で見る日が来ようとは。
 ルチャのことは何も知らなくたって、マスカラスは知っている。どう考えたってあんなに動ける歳ではないはずで、体にも年齢を感じさせる要素はあるのだが、ちゃんと飛ぶ。
 フライング・クロス・チョップを見せるだけで場内大喜び。
第4試合
垣原 賢人
○長井 満也
11分39秒
飛びつき腕ひしぎ逆十字固め
アレクサンダー大塚
モハメド・ヨネ×
 Uの遺伝子対決。
 垣原の入場テーマはUWFのテーマ。山崎と二人で同じ曲を使っていたのかなあ。
 長井は初めてみたが、そう細くもない。
 最後は長井が腕ひしぎでヨネからギブアップを奪う。
 試合後、垣原とアレクが揉めていたが、なんだかよくわからない。
 全日のリングでシングル対決となると、アレクと橋本の関係が気になるところ。
第5試合
ジョニー・スミス
○ジム・スティール
ジョージ・ハインズ
15分22秒
片エビ固め
(ターボドロップ2)
マイク・ロトンド
カート・ヘニング
バリー・ウインダム×
 ジョニー・スミス以外は、名前を聞いたことはあるのだが、よく区別が付かない。
 正直言って、見る方としても、集中力がとぎれて来てしまった。
第6試合
×渕 正信 18分04秒
横回転エビ固め
獣神サンダー・ライガー○
 これだよ、これ。今日の目玉。
 以前、「リングの魂」で、ナンチャンが、「渕さんまじ強うそうだ、一回試合できないかなあ」とライガーが言っていた、という話を紹介していた。
 王道のジュニアと新日のジュニアの、それぞれ極端なレスラー同士の対決。
 渕が余裕を持って相手をし、ライガーは盛んに仕掛けるが空回り。
 横たわるライガーを、わざとゆっくり渕が踏みつけて歩いて見せたりして、渕のペースが続く。
 バックドロップ連発で渕が決めるかと思ったら、なんと、一瞬の隙をついてラ・マヒストラルでライガーが勝ってしまった。
 渕も無念そう。見ていたこっちも無念じゃ。
第7試合
○テリー・ファンク
大仁田 厚
14分47秒
片エビ固め
(スピニング・トー・ホールド)
アブドーラ・ザ・ブッチャー
ジャイアント・キマラ×
 休憩をはさんで、「ジャイアント馬場三回忌追悼特別試合」。
 テリーと大仁田は別々に入場。それぞれ、マイクを持って、「All Japan No.1」だの、「一度帰りたかったんじゃ」などのアピール。リングの上で二人抱き合う。
 ブッチャーが入場してくると、テリー達が飛び出して乱闘。
 試合時間は8分26秒と発表されているが、開始のゴングはなかったぞ。
 最後は、テリーがスピニング・トー・ホールドでキマラからギブアップを奪い、そのあとまた乱闘。
 最後にマイク。
 試合時間より、前後のパフォーマンスの方が長かった。
 大仁田は二度と全日のリングに上がることはないそうだ。
 大仁田の幟(のぼり)を持ったファンが多かったのが目に付いた。
スタン・ハンセン引退セレモニー
 かつての試合の様子などがオーロラビジョンに映し出され、スーツにカウボーイハットのハンセンが入場。入場テーマは、ピアノ独奏のアレンジ。
 記念品贈呈で、ハンセンは笑顔なのに、川田は泣きそうな顔をしていた。
 ハンセンは終始笑顔で、最後のあいさつ(通訳付き)は落ち着いていた。
 ちょっと段取りが悪く、テンカウントの前にハンセンはリングから降りかけるし、テンカウントのあと、リングアナウンサーのコールがあったのに、ハンセンはロープの外に出ていた。
 その時、最後のロングホーンを見せるかと思ったが、そこでは手を振ってくれただけ。
 オーロラビジョンで、花道の奥でやってくれたのを見た。
第8試合
○スティーブ・ウイリアムス 14分47秒
片エビ固め
(バックドロップ)
マイク・バートン×
 思えば、バートンはウィリアムスをKOした男、という触れ込みで全日に登場したのだった。
 オープン・グローブをつけていたりして、挌闘技スタイルなのに、ファンに愛嬌を振りまくレスラー。
 別段遺恨試合という様子もなく、バートンは善戦するも、ウィリアムスのパワーの前に、バックドロップ二連発で敗れ去る。
第9試合
×太陽ケア 18分43秒
足四の字固め
武藤敬司○
 やっとこさセミファイナル。ハンセンがケアのセコンドについて現れたのに驚いた。
 ケアはよく頑張ったが、武藤にいいようにあしらわれていた。
 低空ドロップキックで膝をねらわれ、ドラゴンスクリューから足4の字というパターンで2度目までは耐えたが、3度目にギブアップ。
第10試合
天龍 源一郎
×馳 浩
23分43秒
エビ固め
(パワーボム)
川田 利明○
佐々木 健介
 天龍の現れる花道には天龍の幟、健介が現れる花道には健介の幟が立ち並ぶ。どうして、どっちから入ってくるか知ってるのかな。
 川田と健介の合体技なども登場し、馳は健介を回して見せ、客席をわかせる。
 天龍は足を痛めていたはずだが、そんな様子は見せず、ちゃんと試合をしていた。
 最後はまあ、こうなるだろうな、という決まり方で、川田が馳をパワーボムで沈めた。
 試合後、健介がマイクをとった。
「天龍さん、長州さんが、言ってきたことをそのまま返します。もう俺たちの時代だ。川田選手、今日は組んだけど、もう1回やりましょう。馳、また組むぞ」
 馳とまた組む、というところで場内沸く。やっぱり馳が忘れられないんだね。

 9割ぐらいは入っていたし、興行としては成功だったのではないだろうか。
 それにしても、全10試合で、試合開始が午後3時、メイン終了が午後8時15分という、見る方も体力を要する興行だった。

追記:(2001.2.3)
 「週刊ゴング」によると、ハンセン引退式でナレーションを努めていたのは、日本テレビの平川健太郎アナウンサーだった。
 2月1日深夜の日本テレビ「コロッセオ」で放送されていたが、第7試合で、試合開始のゴングは鳴っていたようだった。
 また、テレビで見ると、メインで、川田は、「健介、ダブル」と声をかけてから合体技(バックドロップ+ネックブリーカー)にはいっていた。
 「コロッセオ」は、健介の出場した試合を普通に放送していたし、来週は、ライガーや武藤の試合を放送するという。
 テレビ朝日との間で話し合いをしたのだろうが、よく、テレビ朝日が承諾したものだ。

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