虹色モザイク




                    





                                                         2014年 11月刊行
                                                 朱鳥社


     ここに収められた掌物語は、『ニューファミリー新聞』(ニューファミリー新聞社)に
     五年の間連載されていた106話のうちの、34話です。
     千葉県内の町を歩き、「これは素敵」「これはユニーク」と、目にとまった風景を切り取って、
     その写真を基に物語を起こしていきました。
     新聞の読者層がミセス世代なので、気軽に読める日常のささやかなメルヘンを描きました。
     『虹色モザイク』というタイトルは、連載時とは異なり、この本のために考えたものです。
     さまざまな人の、さまざまな生活のシーンが、鳥瞰すると一枚のモザイク画のように
     見える、という意味を込めて。

     装画は、美術作家の植村美子代さんです。繊細で美しく、可愛いだけでなく、どこか
     闇の部分も秘めた少女の表情が“大人のメルヘン”を語ってくれます。

     連載時には文章と共に掲載されていた写真が、この本では敢えて付いていません。
     文章から、皆様のお好きな風景を想像していただけたら良いなぁと思うからです。

     でも、このページでは、その写真を掲載してみますね。
     想像してくださった風景と、似ていたでしょうか?



    
     1話  ペア・カップ
                
    
                     江戸時代中期から大正にかけて欧州への輸出用に日本で
                         作られたカップを集めた『麻生珈琲店・里帰りカップ資料館』

    2話  ひなた医院にて
              
                         昭和4年に建てられた浦安最古の洋館『旧濱野医院』。
                         現在は修復され、「つどいの広場」として活用されている。

   3話   めぐり来る春
              
                         おゆみ野で人気の花と雑貨店『ベリン・デ・ベール』。
                         フランス語で“緑のガラス箱”を意味する。

   4話   恐竜マニア
              
                         高根台団地にある小公園に3頭のオブジェがあることから、
                         町の人から「怪獣公園」と呼ばれ、親しまれている。

   5話   山道の果て
              
                         印西市の牧の原公園。標高41メートルの小さな山。
                         頂上からは富士山や筑波山が眺められる。

   6話   母の恋
              
                         海浜幕張駅に近い複合施設“メッセ・アミューズ・モール”の
                         映画館。掲載当時は出来たばかりだった。

   7話   観覧車で告白を
             
                         長柄のアウトレットは、市津湖や自然休養村がそばにあり、
                         緑の中で買い物が出来る。シンボルの観覧車。

   8話   さざ波
             
                         大型ショッピングセンターや幹線道路に囲まれた船橋港。
                         家康時代から漁場として知られ、あさりや海苔が名産だ。

   9話   はるか昔は
             
                         村上緑地呼応園は、自然を生かした緑豊かな場所。
                         昭和50年開設の公園に等身大のリアルな象やキリンの像。

  10話   苦手な掃除
             
                        柏の『さわやかちば県民プラザ』の環境学習コーナーに
                        あったバケツ。中をのぞくと、排水についての映像が浮かぶ。

  11話   駅まで迎えに
             
                         印旛日本医大駅はトンガリ屋根の時計台がメルヘンチック。
                         関東の駅百選に選ばれている。

  12話   プロペラ
             
                         八千代市にあるフランス料理店『貝殻亭』の門前に置かれた
                         大きなプロペラ。店名にちなんでコクトーの詩が刻まれている。

  13話   白いくじら
             
                         浦安魚市場の壁。昭和28年の朝市から始まり、現在は
                         50店以上の安くて新鮮な水産物店が並ぶ。

  14話   嬉しい被害
             
                         北習志野のカフェ『FEB』は、北欧風な白い店内に暖炉が
                         燃えて寛げる。(この話だけは、文庫化にあたり文章を短くした
                         ため、暖炉の部分が削除されています)

  15話   夜想曲
             
                        千葉ニュータウン中央駅前にある『アルカサール』中庭に
                        作られた散歩道の壁画。

  16話   夏の恋人
             
                         市川市大町の「ありのみコース」は、40種ものゾーンに
                         分かれたフィールドアスレチック場。入口のカブト虫像。

  17話   自転車で行こう
             
                         稲毛海浜公園内にあるサイクリングセンター。
                         豊富な変わり種自転車が子どもたちに人気。

  18話   レトロ列車
             
                         勝田台駅近くの丘に建つ『トレイン・カフェ』。
                         昭和30年代の都電を改装した店で、車両の下にはレールも。

  19話   天国からの手紙
             
                        浦安市郷土博物館の屋外展示物。昭和27年頃の浦安の町が
                        再現されている。昔懐かしい丸型ポスト。

  20話   魔法のお酒
             
                        白井市産の梨を使い、「ふるさと産品」として“梨のブランデー”を
                        製造している工場。一般の見学も可能。

  21話   ウィルソンの約束
             
                         舞浜駅にある、トランプ・マークの4面時計。『不思議の国の
                         アリス』をイメージして作られている。

  22話   かくれんぼ
             
 
                         浦安市の公団「海風の街」のシンボルになっている
                         飾りつきの四本の柱。

  23話   彼女のトロフィー
             
                         下総中山駅近くにあった『吉澤野球博物館』。野球史を伝える
                         資料や一流選手のバットやサインボールが飾られていた。

  24話   赤いぽっくり
             
                         実籾本郷公園は「町」「村」「自然」の3つのゾーンに分かれ、
                         「村」ゾーンには民話をモチーフにした石碑がある。

  25話   愛の呪文
             
                         行徳駅近くの福栄公園に設置されている動物型のベンチ。
                         野鳥観察舎に隣接していて、散歩道として親しまれている。

  26話   再会橋
             
                         松戸駅そばの坂川に架かる小山樋門。通称「レンガ橋」。
                         明治34年に造られ、百年を機に保存が進められている。

  27話   駿足の遺伝
            
                        鎌ヶ谷市貝柄山公園内にある野馬像。江戸幕府直営の牧場である
                        『小金中野牧』の跡地を記念して造られた。

  28話   金の人生 銀の人生
            
                        鎌ヶ谷市の「道野辺釣堀センター」。水田だった土地を釣堀
                        として開放。街中で鯉やへら釣りが気軽に楽しめる。

  29話   授業参観
            
                       明治6年創立の伝統ある野田市立中央小学校。ボランティアの
                       父母による手作りの『図書室』があたたかな雰囲気。

  30話   笑う羊
            
                        市川市動物園で人気者の羊。 この写真の羊(コリデール)は
                        ユズという名前だった。

  31話   隣に住む人
            
                       新津田沼の住宅街にある『青い鳥造形教室』。明るいペイントの
                       ドアが、子どもたちを迎える。

  32話   足跡
            
                        ダンシャクシギの足跡を模った飛び石を辿っていくと、
                        谷津干潟自然観察センターに到着する。

  33話   押し花の記憶
            
                        市川中央図書館のモニュメント『天知人』。グラフィック
                        デザイナーの福田繁雄さんの作品で153冊の本が積まれている。

  34話   雪どけ
            
                       習志野市藤崎の『大作造園』では、ユニークな廃品アートが
                       たくさん飾られていて、道行く人たちの目を楽しませる。




              このような風景から生まれた小さな物語の本です。
              よかったら是非、読んでみてくださいね。
                 (写真は掲載時のもので、今は無いものも含まれています)


                                             2014年  11月

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