ひみつの花便り



                  国土社 発行

          『ひみつの花便り』は、メールよりも手紙が好きな女の子のお話です。だけど、なんでもメールでやりとりする今の時代、手紙が好きなんて言うと、 みんなにちょっと引かれちゃうかも・・・。
 「なぜ、好きなものを好きと言えないんだろう?」 内気な女の子が、ある出来事をきっかけに名前しか知らない謎の女性と文通を続け、やがて自分の気持ちに正直に、自分らしく生きることの
大切さに気づくーーーそんな物語です。

          物語の重要な
アイテムとなる”風船かずら”の種です。
すごく小さいので分かり難いと思いますが、ハート型の模様が入っています。
 まるで誰かが筆で描いたような可愛らしさ。
それゆえ、英語では“ハートシード”と呼ばれているそうです。 
種が育つと、緑色の風船みたいな実がなるため、日本では“風船”かずらと呼ぶのですね。

  謎の女性が主人公の誕生日に贈る押し花の額は、こんなイメージ。 これは私の部屋に
ずいぶん前から飾ってある額で、母が作ってくれたもの。陽射しでちょっと色褪せていますが、
押し花で女の子の横顔が描かれています。(まつげなども植物です)
 花で絵を描くって楽しそう。
 やってみたいことの一つです。


 この物語は、子どもたちには主人公の気持ちで読んでもらいたいし、大人たちには謎の女性の気持ちに添ってページをめくっていただけたら、と思います。
 子どもにとって、見守ってくれる大人の存在は、その後の人生を左右するほど重要な気がします。
 それは親に限らず、先生でも、近所の人でも、何かの縁で知り合った人でも構いません。
 とにかく子どもにとって「自分のことをわかってくれる」大人がいるというのは、成長の支えになるものです。
 大人と呼ばれる私たちは、本当のところ、子どもの頃と同様に日々、悩んだり、気持ちをうまく表現出来なかったり、後悔したりして毎日を過ごしていますが、子どもたちの前では多少無理をしてでも、「大丈夫、大丈夫」というゆとりをみせ、良い方向に舵をとって行くべきなのでは、と思います。物語中で、謎の女性がそうしたように。

 あとがきに書いた詩人のKさんとは、以前、日々のエッセイでも詩集を紹介させていただいた小松静江さんのことです。私は自分の作品が出来ると、同人誌に載せた小さな物語でも何でも、小松さんに送り、そのたび「とても良かったわ」と褒めていただき、大いに力になりました。 小松さんが亡くなる直前のお手紙にも、いつもと変わらず作品の応援と、私の家族の健康への気遣いが書かれていました。(かなり無理をして書いてくださったのだと今はわかります) 
もう近所のカフェで会ってお喋りは出来ないけれど、優しい言葉の数々は手紙に残って、励まされます。 人生の先輩から教わったことを無にせず、良い作品を書いていかなくては、と思います。


                           『ひみつの花便り』 国土社
                               2013年 9月 発行




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