独り言


2019.01.26  日々是反省
今週恥ずかしかったことをここで白状しましょう。
どちらも診断にまつわる話で、個人情報がばれないように。

その1
左下腹部痛(正中寄り)の男性患者さんのケース。
数日前から少し痛かったんだけど、今朝は痛みのために起きてしまったというくらいの痛がり方で。
触ると固くしこりのようなものが触れます。圧痛もあるんだけど反跳痛はなし。
便通異常はないと言うんですね、何度聞いても血便、便秘、下痢はないと。
限局性の腹膜炎?大腸癌?
このまま適当に薬を出して帰すわけにもいかず、どうしたものか。
エコーでは痛みの部位に一致して腫瘍性の病変が見えるし…。
最悪のケースを想定し、「大腸癌疑い」で近隣病院へご紹介。
で、後日、「腹直筋の膿瘍」とのご返事が返ってまいりまして、「ああ、恥ずかしい」
便通異常がないということから大腸疾患は否定すべきだったかなあ。

その2
1週間前から咳、痰が持続。
昨日から38度台の発熱、食欲もないし、少し苦しくなってきたという高齢女性。
当然、流行中のインフルエンザを念頭に置き、インフルエンザの検査をしたところ、「陰性」
呼吸音はあまり良くなく、酸素飽和度も低下。
レントゲンでは胸水も貯留していて肺野も少し白くなっていて…。
これは肺炎+心不全、かなり高齢だから入院でしょうってことで、別の近隣病院へご紹介。
で、当日の午後に返ってきたFAXには、「インフルエンザA型」
えっ?
インフルエンザの再検査をしたところ陽性でしたとの事。
検査キットが同一かどうかは不明ですが、検査時間の差はたかだか2時間ほどでして。
検査の手技の問題なのかと、検査したスタッフにも問うてみたのですが、
「いつも通りグリグリやりましたよ」ということで、やっぱり検査キットの性能の違いなのかと自分を納得させた次第。
しかし、ご家族や患者さん、そして紹介先の先生には申し訳ないことをしちゃったなって、「ああ、恥ずかしい」


今週も多くのインフルエンザの患者さんがいたのですが、全てがA型。
例年、B型は2月、3月に流行のピークがあるとされていますので、まだまだ警戒が必要となります。
医療従事者への感染も見られているのですが、幸いにもうちのスタッフは全員無事ときています。
うちみたいな人員に余裕のないところでは1人でも罹ってしまうと本当に大変です。
僕が元気でもスタッフが足りなくなるために診療制限(休診)することになってしまいますから。

今日の午後は休診でした。
午前中の診療を終え、残務整理をして帰宅の途中、今年初めての雪を見ました。

2019.01.19  心に潤いを
100万x100人、どっかの社長がお年玉をくれるっていう企画。
自分の稼いだお金をどんな使い方をしようと文句を言う筋合いでもないのですが、何だか嫌な感じがしたのはなぜなんだろう。

月へ行くという野望、プロ野球球団を買いたいという話、それだけの財力があればできるでしょう。
経済力があればどんなことだってできる、果たして人心までも買えるんだろうか。
かつてカネで買えないものはないって豪語したIT起業家もいましたが、彼には品性とか教養っていうものをそのカネで買ってくれって思ったのは遠い過去の話。

上からお金をばらまいて、下にいる人々にそれを拾わせて喜ぶっていう悪趣味としか思えない企画に感じたんですね、一億円のお年玉。
「綺麗ごと言ってもどうせ欲しいんでしょ」って。
そしてそこに何万人もが集まったっていうことに対して、何だかやるせなさを感じていました。(やれやれ)

持てる者と持たざる者、貧富の差が広がったのは確かなんでしょう。
しかし、大多数の人々は食うや食わずの生活を強いられることはないし、人並みの生活ができています。
そして株価は上昇、失業率も低く、日本経済は好景気が続いているとされています。
一方で実質賃金は低下し、貧困率は上昇しているというデータもあります。(ただ、国のデータは当てにならんからなあ)

この好景気の波に乗れず貧乏になった人もいるでしょう。しかし、それ以上に人々は貧乏くさくなってしまったんではないかと思ったんですね。
明日は今日よりよくなるという神話(なんとはない心の持ちよう)が崩れた現代では、明日への不安による余裕のなさが人々を非寛容にしている感じがします。

油断すると坂道を転げ落ちる不安、一旦手に入れたものを放してしまうと二度と手に入れることができなくなるような不安。
今は貧乏でも来年は暮らし向きも好転して余裕ある生活ができるかもしれないっていう希望、そんなものが失われている現代に生きているんですね。

信じられるのはお金だけっていう価値観を持つ人が増えて、そこ(金持ち)に群がるという図式、最近の乾燥した天候に似て心も乾いてきます。

2019.01.13  流行中
この一週間で果たして何人のインフルエンザの患者さんを診たんだろう、ってくらいに流行ってまいりました。
B型は1例、その他は全てA型。
スタッフを含め医療者側もうつりそうでしたが、今のところ大丈夫そうです。

来週は大学のセンター試験も控えているし、私立高校の試験もあるようですので、受験生を抱えているご家庭では非常にナーヴァスになっている様子でした。
また、成人式もあるので感染が広がらなければいいのですが。

今シーズンのインフルエンザ薬は従来からのタミフル、リレンザ、イナビルに加え、ゾフルーザも選択肢に入りました。(点滴製剤もあるのですが、うちでは採用していません)
これらの中から使い勝手や価格などを考慮しながら選択することになります。


厚労省の杜撰な統計処理について。

多くの民間企業でもデータの改竄が明らかになって、謝罪会見を開いたり責任を取らされるような事件が起きています。
昨年だけでも免震装置、燃費、品質データの改竄が思い出されます。
また、働き方改革法案でも残業時間のデータが都合のいいように計算されたりしました。

結論ありき、納期ありきで統計をとると、どうしても不正をしたくなるのが心情です。
民間企業が不正を行う場合、目的は自社の経営をよくするため(儲けるため)であることが殆どでしょう。
だからバレた場合、企業倫理を問われ、企業のイメージが悪くなり、消費者や取引業者からの反発もあり、経済的損失だけでなく社会的責任をも取らされてしまいます。

しかし、国が不正を行うのはなぜなんだろうか。
統計に不正を加えることで厚労省自体になんのメリットもないように見えるんですが、理由を考えてみました。

1)全例調査より抽出調査をすることで公務員が楽ができるから。
2)正確なデータを出してしまうと何か不都合な真実が明らかになってしまうから。

面倒なデータ取りは外注してるでしょうから1)は不正をする理由にならないでしょう。

本来、国の行う統計データは民間より信頼度、信用度が高いと相場になっているのですが、これが最近かなり怪しくなっています。
GDPデータもおかしいという話もありまして、日銀が内閣府に文句を言ったというニュースもありました。
世界の国々との比較に用いられる可能性のあるデータが捏造や改竄だらけとなると、日本という国への信頼度、信用度も低下しますよね。
時の政権に都合よくデータを作成しているのではないかと痛くもない腹を探られるのは嫌でしょうに。


医師の残業時間は年2000時間を上限にという件について。

こんなのがまかり通ったら勤務医が死んじゃいます。
地域医療を守るためというお題目のために、奴隷労働を強いる病院へは誰も行きたがらないでしょう。ますます都会への医師の集中が進むように思うんですが…。
特に女性医師はこんな働き方はしないんじゃないかと思います。(男性医師だってまっぴらごめんって言うんでしょうが、たまーに自分の鎖自慢をする先生がいらっしゃいます。)

年に2000時間ということは、大体月に160時間位、これを30日で割ると1日5-6時間の時間外労働になるわけで。
外科の先生方の働き方を思い出してみると、これが案外普通だったりします。
毎朝7時頃には出勤し、朝回診。外来や検査、夕方手術が終わって、それから病棟回診。書類を書いたりして夜の9-10時頃まで病院におられましたから。
これに当直もあって、土日も病棟回診して、緊急手術もやったりしている姿を見てきましたが、ゆうに月200時間以上の時間外労働をされていたと思います。
しかし、時間外手当は青天井ではなく上限が決められていたんですね。

これじゃ外科や救急科を志望する若手医師が減少していくのはむべなるかなです。
果たして年に2000時間の時間外労働をさせる病院はまともに時間外手当を払う覚悟があるのか、不幸にも医師が過労死するかもしれないリスクを背負う覚悟があるんでしょうか。
管轄は厚労省ですのでまた変なデータを持ち出してこないかどうか注視する必要がありますね。

2019.01.06  新年
明けましておめでとうございます。
年末年始は例年通り実家で引きこもっておりました。
たまに外に出るのは親の運転手さんとしての任務にあたるくらいでテレビと読書三昧でした。
年末に寒波が襲ってくると脅されましたが、実家の方は雨も雪も降らず、とても暖かい毎日でした。

また、スマホもパソコンもない生活というのは不便を満喫できてなかなかいいものです。 

運動もせず、食べてばっかり。一言で言えば「The 寝正月」 

大晦日、今年も紅白は見ずに、「ミッションインポシブル」シリーズを立て続けに見た後は「孤独のグルメ」。
今回も生番組の要素を取り入れていて、半分以上知らないメンバー、曲の紅白より確実に楽しめるコンテンツかな。

明けて元日は、ニューイヤー駅伝。旭化成の3連覇は見事でしたがMHPSの躍進は予想外でした。
夜は「相棒」。このところ毎年このパターン。 

2日はやはり駅伝。大方の予想を覆す青学の失速。
元々がアンチの性格なので展開は非常に楽しめるものでした。
午後からの大学ラグビーも帝京がまさかの敗戦。帝京の力不足というより天理の強さが際立っていて、決勝の相手となる明治は天理と互角に戦うにはかなり厳しいのではないかと思っています。
しかし、戦力の入れ替わりがある学生スポーツで9連覇は偉大だと思います。
試合後、泣きじゃくる選手に対する帝京の監督の言葉はなかなか良くって、
「これまでたくさんの大学を泣かせてきたんだから、今日は思いっきり泣けばいい」みたいなことを仰っていましたね。 

3日は箱根の復路。往路とは違って見るのに気合が入りません。上位と下位とでは既にある程度順位が決まってしまい、その上選手と選手との間隔が広がってしまっているからでしょう。
だから、「ちょっと買い物に行くけど付き合って」なんて言われると、「はーい、いいよ」って気軽に外出してしまいます。 

4日、巷では仕事も始まり、テレビも通常モードへ。たまたま見た夕方のニュース番組の中で気づいた納得いかない出来事がありました。
天気予報のコーナーですが、通常、その時間は地方局に回されて、その地域の天気が放送されるのですが、なぜか関東の天気予報が当然のように流れていました。
九州におるのに茨城の天気なんて必要ないけどなあってモヤモヤしながら見ておりました。

また、患者さんからの問い合わせが増えてきたのもこの日からでした。
事前にアナウンスしていたんですが、45日には20件以上の電話がかかってきました。
特に
5日は多くの電話がかかりましたが、電車や飛行機での移動中には応答することができず誠に申し訳ありませんでした。 

帰ってきてからは年賀状の整理や古い新聞の読み込み(九州のものとちょっと違うから)。
そして最も大事なのはお屠蘇気分を払拭することでした。


明日から長い一週間、いや一年間が始まります。



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