C型肝炎(その3)


慢性肝炎の患者さんの外来診療における注意点について

1.インターフェロン治療が行える患者さんは、是非ウイルス排除を目指す治療を受けて欲しい。
2.ウイルス排除が出来ない慢性肝炎の患者さんは、肝硬変への進展阻止、そして肝癌の発生の阻止が最大の目標となります。

  

ここでは、2についてのお話です。

慢性肝炎と一言で言っても、その程度は早期のものから肝硬変に極めて近いものまであります。これを規定する因子として、
 (1)Activity(炎症の活動性)
 (2)Fibrosis(線維化)
があります。ActivityもFibrosisも肝の組織を見て判断するわけですが、血液検査からも知ることができます。

ActivityはAST(GOT)、ALT(GPT)の値によって活動性の肝炎か比較的落ち着いた状態なのかがわかります。
しかし、数値が30から40くらいの正常上限くらいでも組織検査をしてみると活動性が高かったというケースもあって、血液検査の値だけで判断できないこともあります。したがって、最近ではALT(GPT)が31以上の方は治療の対象となっており、目標はALT(GPT)30以下とされています。

肝硬変になっているかどうかの判断材料として最も大事なのがFibrosisです。Fibrosisの頭文字を取ってF1とかF3とか言いますが、F4になると肝硬変と考えられます。本来は肝生検をしなければ確実な診断はできませんが、血液検査では血小板の数値によりFファクターが規定されていまして、血小板が少なくなるほど肝硬変に近くなるということが知られています。(表2)
血小板以外では、ヒアルロン酸、IV型コラーゲンの値によっても線維化の進行の程度がわかるとされています。

慢性肝炎とくれば、次には肝硬変が待っていますし、その後には肝癌が控えています。慢性肝炎からいきなり肝癌が出てくることも稀ではないのですが、この頻度もF因子と関係があります。

そこで、肝癌のスクリーニング(早期発見)が重要になってきます。血液検査として、腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-II)を測定したり、画像検査として腹部エコーやCT検査が行われます。これらはその方の線維化の進展度に応じて検査の間隔を決めていきます。(表1)

    

表1

慢性肝炎 肝硬変
初期(F0〜F1) 進行期(F2〜F3) F4
肝機能・
末梢血一般検査
ALT正常:6ヶ月毎、 2〜4ヶ月毎 毎月
ALT異常:3ヶ月毎
肝線維化マーカー 12ヶ月毎 不要
AFP/PIVKA-II 1年毎
55歳以上またはALT高値では6ヶ月毎
3〜6ヶ月毎 3ヶ月毎
腹部エコー 4〜6ヶ月毎(+CT) 3〜4ヶ月毎(+CT)

    

表2

F0 F1 F2 F3 F4
血小板数 18万以上 15〜18万 13〜15万 10〜13万 10万以下
年率発癌率 0.5% 1.5% 5% 8%

表2を説明します。F4(肝硬変になってしまった患者さん)を例にとって見ると、年率発癌率が8%ということは、100人の肝硬変の患者さんの中で、1年間に8人に肝癌が発生するということで、この集団を10年間追っていくと、80人が肝癌になってしまうということです。
現在、肝癌の患者さんの約8割がC型肝炎によるものと言われており、その殆どが肝硬変を持っています。肝硬変は肝癌の前癌状態とも言えるわけで、肝癌の予防はいかにして肝硬変を生み出さないかということにかかっていくわけです。
しかし、不幸にして肝硬変へ進行してしまった患者さんに対しては肝癌の早期発見、早期治療が大事になってきます。
症状がないのに、毎月のように血液検査をやったり、3ヶ月毎に画像検査をやらなくてはならないなんて、検査代もばかになりませんし結構不評です。しかし、少々ケチったばっかりに大きな代償を払うということにならないようにこまめに検査を受けることをお勧めします。

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