C型肝炎(その2)
続いては慢性肝炎の治療、特にインターフェロン治療について、ご紹介します。
インターフェロン治療の歴史
1992年 インターフェロン単独療法(24週)
2001年 コンセンサスインターフェロン
2001年 イントロンA+リバビリン併用療法(24週)
2002年 インターフェロン単独療法での再投与および投与期間制限の撤廃
2003年 ペガシス(48週)
2004年 ペグイントロン+リバビリン併用療法
2006年 ペガシス+コペガス併用療法
C型肝炎ウイルスのタイプとインターフェロン治療の効果について
C型肝炎ウイルスには大きく分けて1型と2型があります。インターフェロンが効きやすいのは2型で効きにくいのは1型です。(残念なことに日本人は圧倒的に1型の人が多い)また、治療効果を規定する因子として、ウイルスの量も関わってきます。当然、ウイルスが少なければ効きやすいし、多ければ効きにくいのです。これまでのインターフェロン治療では、(1)2型の人、(2)1型でもウイルス量の少ない人にはその効果が得られていましたが、問題は「1型でウイルスの多い人(1型高ウイルス量といいます)」には殆ど効かないことでした。生憎、日本の多くのC型肝炎の患者さんはこの1型高ウイルス量でした。大きな期待を持ってはじめられたインターフェロン治療でしたが思ったような効果が得られず、副作用の面ばかりが強調されてしまいました。肝炎の専門家たちはいかにして「1型高ウイルス量」の患者さんたちを治療していくかを研究のテーマとして、投与方法の工夫や薬剤の開発をしてきました。
治療法について
C型慢性肝炎治療のガイドラインというものが出ています。
@初回治療
1型 | 2型 | |
高ウイルス量 | ペグインターフェロン+リバビリン併用療法 (48週間) |
ペグインターフェロン+リバビリン併用療法 (24週間) |
低ウイルス量 | インターフェロン単独療法 ペグインターフェロン単独療法(24〜48週間) |
インターフェロン単独療法 ペグインターフェロン単独療法(24〜48週間) |
A再治療
1型高ウイルスの人はペグインターフェロン+リバビリンの併用療法を48週間行います。それ以外の人は24週間行います。
また、最近ではウイルスの陰性化が遅い人には投与期間を延ばして治療することも行われています。
このほか、従来は治療の必要がないとされてきた肝機能が正常の人においても、肝臓の組織を調べてみると活動性の肝炎であり、インターフェロン治療が必要なケースもあります。これらは担当の先生とよく相談して、治療を行ってください。
治療効果について(ウイルスが陰性化した人の割合)
ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法を行うと、
2型または1型でウイルスの少ない人:85〜90%
1型でウイルスの多い人:55〜58%
と半数以上の人でウイルスの排除が期待できる治療となってきました。
治療できる人、できない人
@基本的にC型慢性肝炎の人であれば一度は検討するに値すると思われます。
A年齢の制限は? 60歳でも合併症(心疾患、糖尿病、腎臓病など)がある人では適応をじっくり検討しますし、70歳でも若々しく、全身状態が良好であれば安全に行えると思います。
B既に肝硬変になってしまった人はインターフェロンの保険適応はありません。肝硬変なのか慢性肝炎なのか血液検査や超音波検査だけでは区別がつかない場合には肝生検を行ったうえで判断します。
昔、インターフェロン治療を受けて再燃した人で、もう諦めかけている人でも、この併用療法に再チャレンジすれば成功する可能性がありますので、担当医に相談してみることをお勧めします。
副作用について
インターフェロン治療の最大の問題は副作用の多さです。ただ、ペグインターフェロンは以前のインターフェロンに比べ、副作用は軽いといわれています。実際、患者さんからもそういう感想が得られています。ただ、副作用の出ない治療はありませんので、治療を受ける前にしっかり説明を受けてください。また、治療中も副作用の発現には十分注意を払ってください。
患者さんは治療に必死ですから、途中でやめることに対し抵抗があります。しかし、頑張っていける副作用と、頑張ってもらってはいけない副作用(治療を中止しなければならない)があります。ウイルスはいなくなったけれど、命まで亡くしてしまう、ということは絶対に避けなければなりませんので、身体の変調はすぐに担当医に相談してください。
インターフェロン以外の治療法
インターフェロンが使えない人、希望しない人には@内服治療(ウルソ、グリチロン、漢方薬など)、A強力ミノファーゲンCの注射、B瀉血が行われます。これらはウイルスを排除するのではなく、肝機能を改善して肝炎の進行を遅らせるものです。