C型肝炎(その1)


C型肝炎とは、C型肝炎ウイルスの感染によって肝細胞が破壊され、肝臓の働きが悪くなる病気です。通常、臨床の場で問題となるC型肝炎はその殆どが慢性肝炎、肝硬変ですから(急性肝炎は少ない)、ここでは慢性肝炎と肝硬変、そしてそれに引き続いて起こる肝癌についてご紹介します。


症状
 慢性肝炎ではこれといった症状はありません。患者さんの多くは、健康診断で肝臓の数値が高いことを指摘され、医療機関を受診されます。肝硬変ともなりますと、倦怠感、身体のむくみや黄疸といった症状が出てきます。

診断、精査
 1.診断方法
    血液検査で、AST(GOT)、ALT(GPT)の異常が半年以上続き、HCV抗体が陽性、HCVRNAが陽性であれば、C型慢性肝炎と診断されます。また、肝機能が正常でもHCV抗体が陽性、HCVRNAが陽性のときはC型肝炎のキャリアということになり、定期的な検査が必要です。

 2.肝炎と診断されたら
    肝炎がどの程度進んでいるのか(慢性肝炎の初期なのか、肝硬変に近いのか)を調べることは治療法を選択する上でも非常に重要です。
  @血液検査では、AST(GOT)、ALT(GPT)の値、血小板数、アルブミン、コリンエステラーゼ、ヒアルロン酸、4型コラーゲンの値などで慢性肝炎と肝硬変の鑑別をします。

   A腹部超音波検査では肝臓の形態、肝臓内部のきめの細かさの状態、脾臓の大きさなどから肝炎の進行度がある程度わかります。
   BCTやMRIといった画像検査も行われることがありますが、これはどちらかといえば肝癌の発見、腫瘍性病変の良性悪性の鑑別に有用です。
   C肝生検による組織検査で、肝炎の活動性、繊維化(肝硬変かどうか)がわかります。ただ、リスクも伴うため肝炎の人に全例行うことは通常ありません。

     
慢性肝炎の進行度と血小板の関係

肝の繊維化 血小板数 発癌のリスク(年率)
F0 18万以上  
F1 15〜18万 0.5%
F2 13〜15万 1.5%
F3 10〜13万 5%
F4(肝硬変) 10万以下 8%

この結果から、慢性肝炎が進行するにつれ血小板は低下し、発癌のリスクも上昇することがわかります。わが国の肝癌の患者さんのうち約8割がC型肝炎陽性です。

治療
 
治療の目的は大きく分けて2つあります。1つは、ウイルスを排除して肝炎の治癒を目指す治療、もう1つは、肝機能を改善して、肝炎の悪化を防ぐ対症的な治療です。
   
@インターフェロン治療:インターフェロン単独、24週間投与からスタートし、投与期間の延長、ペグインターフェロンの開発、そしてリバビリンとの併用療法により、従来よりインターフェロン治療の効果も上昇してきました。詳しくは後述します。
  
 A対症療法:インターフェロン治療の対象とならない人、残念ながら効かない人、また希望されない人には、AST、ALTを下げる目的で強力ミノファーゲンC(強ミノC)の注射やウルソ、グリチロン、漢方薬などで治療をします。また、瀉血(血液を抜く)という治療法もあります。

日常生活での注意点
 C型肝炎ウイルスは、その感染力が弱いため日常生活での感染は非常にまれです。ただ、感染者の血液を直接触れることは感染のリスクとなりますので、注意が必要です。カミソリや歯ブラシの共用は避けてください。


戻る