ヘリコバクター・ピロリ菌感染症


 

当院ではヘリコバクター・ピロリ菌の診断から除菌治療を行っています。

そこで、診断、検査から除菌治療に至るまでの流れをご説明いたします。
保険診療の規則を踏まえた順序がありますので、これに則って行っています。

<診断>
内視鏡検査やバリウムバリウム検査で
胃潰瘍十二指腸潰瘍と診断されたり、内視鏡検査で萎縮性胃炎と診断されることがスタートです。
この後にピロリ菌感染があるかどうかの検査を行います。
ピロリ菌に感染しているかどうかの検査は、
1.内視鏡を用いる検査
(1)迅速ウレアーゼ試験〜ピロリ菌が有するウレアーゼ活性を利用して、発生した尿素を調べる。
(2)検鏡法〜採取した組織を顕微鏡で観察してピロリ菌がいるかどうかを調べる。
(3)培養法

2.内視鏡を用いない検査
(1)抗体検査〜血液や尿で調べます。ピロリ菌に対する抗体の有無を調べるもの。
(2)便中抗原検査〜便を採取して調べます。
(3)尿素呼気試験〜除菌治療の効果判定に用いることが多い検査。

ピロリ菌の感染が証明されれば次は除菌治療に移ります。

<治療>
(1)一次除菌
プロトンポンプインヒビター + アモキシシリン + クラリスロマイシン の3剤併用を1週間

除菌成功率は80%くらいとされていましたが、最近は70%くらいに低下しています。これはクラリスロマイシンに対して耐性をもつピロリ菌が増えてきたためとされています。

除菌が不成功に終わった患者さんに対しては、
(2)二次除菌
プロトンポンプインヒビター + アモキシシリン + メトロニダゾール の3剤併用を1週間
除菌成功率は90%くらいです。
ここまでが保険適応の治療となります。

二次除菌治療でも不成功に終わった残念な方に対しては保険適応外で三次除菌というのもあります。

除菌治療がうまくいったかどうかの判定検査は、内服終了して4週以上経過してから行います。
当院では
尿素呼気試験法を行っています。

<副作用>
抗生物質を2剤、それも通常より多量に服用しますので副作用が出る可能性があります。
頻度の高いものとしては、消化器症状(下痢、軟便)、味覚異常があります。
程度が軽度であれば治療を継続しますが、頻回の下痢、腹痛、発熱、血便となれば中止の必要性が生じます。
また、皮膚症状(蕁麻疹)、粘膜症状の出現はすぐに中止しなければなりません。

事前に薬剤アレルギーのある患者さんは申し出てください。

<追加事項>
健診や人間ドッグでピロリ菌の検査やABC検診を行うことがあります。
ここでピロリ菌が陽性であったため、外来を受診される場合の取り扱いについてですが、
内視鏡検査を過去半年以内に受けて、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎と診断されていれば、すぐに除菌治療に移れます。
もし、内視鏡検査を受けていなければ、内視鏡検査を受けていただいた上で、その後、除菌治療を行います。

しかし、たまに1年以上前の健診結果を持ってこられて、除菌治療を希望される方もいらっしゃいます。
そのような方はやはり、まず胃の検査を受けてからの除菌治療が望ましいと考えます。


除菌治療はあくまでも胃癌がないということが条件ですから。胃癌があればまずはそれを先に治療すべきです。

<除菌が成功した方へ>
決して胃癌の発生のリスクがゼロになったわけではありませんので、基本的には1年後に内視鏡検査を受けてくださいますようお願いいたします。

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