旅館で朝火事!煙に巻かれて もうだめだ!と観念する
これはある資格の追加講習へ 本来出席するはずだった課長代理が行けなくなり そのまた代理として行った時の話し。
講習は大阪安全教育センター(辺ぴな山の中にある)朝9時からなので
前日から出張して旅館に宿泊した。
旅館は教育センターに紹介してもらった宿屋で 駅からは少し離れた場所にあった なんとも古びた旅館で 後で知ったが建てられたのは大正時代だとか。
三階建てであったが谷の斜面に建てられており 正面入り口は二階にあった 増築を繰り返したようで部分ごとに古さが違う
チェックインを済ませたかーやんはちょっと探検をしてみる事にした
入り口を入ってすぐが八脚程度のテーブルのある食堂兼ラウンジ
右手にはフロントがありその奥は厨房である
左手は座敷の大広間であった
食堂を抜けてまっすぐ奥に進むと小さなホールがあり 突き当たりは従業員用の座敷と居室である
ホールを右に曲がり廊下を進むと右側は厨房の壁 左側には廊下に沿って客室が続いている かーやんの部屋はこの並びの奥から二番目である
さらに進むと廊下の突き当りからは別の建て屋となり 上り階段があった
上がってみると仏間と陰気臭い畳部屋があったのでかーやんは引き返した
小さなホールに戻ると 左側には階段があり 上がると大広間 下ると風呂場があり 二階と同じように客室が続いている
ちょっとした迷路であった
探検を終えたかーやんは風呂に入り 浴衣を着てテレビを見てくつろぐ
日曜洋画劇場では「プレデター」を放送しており シュワちゃんが着ぐるみを相手にブレーンバスターを決めていた
しかし最後まで見ることなく かーやんはいつしか眠りに落ちた
…
ドンドンドンッ ドンドンドンッ
遠くで戸を叩く音が聞こえ かーやんは目を覚ました
時計を見ると朝の三時である かーやんは布団を頭から被り直した
ドンドンドンッ ドンドンドンッ まだ聞こえる
(うるせー) と かーやんは一人ごちった
そのとき 「火事だっ!」 と言う声が壁越しに遠くから聞こえた
ターボ車のアクセルを踏み込んだかのように かーやんの思考回路は少し間をおいてから加速をつけて一気にレッドゾーンに飛び込んだ
眠気のふっ飛んだかーやんは がばっと飛び起きるが早いか 窓に飛びつき一気にカーテンを引き開けた
すると窓の外は一面の煙で覆われ 火の粉がちらちらと舞っていいるではないか
「あっ ここが火事だ!」
ものすごい動揺が駆け抜け さあっと顔から血の気が引いていくのが自分でもわかった
「落ち着けっ 落ち着くんだ!」
かーやんは声に出して自分で自分に言い聞かせた
つづく…
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