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鬼滅の刃(アニメ第一シリーズ)

<ウィキペディア>


レヴィ笑み「アニメ『鬼滅の刃』の感想を書きます。アニメ一期26話です」
ネムコ笑み「色々と前置きがあるみたいですね」
レヴィ汗「まずこのアニメが大ヒット……空前絶後のメガヒットしたアニメであること。それだけの異常な流行を見せたアニメであるということを前提に視聴した、ということです」
ネムコ笑み「すごいヒットでしたねえ」
レヴィ笑み「すごいヒットでしたねえ」
ネムコ笑み「で、それが何か問題が?」
レヴィ汗「私はこのアニメについて必ずしも肯定的な感想を持っていないのですけど、それはメガヒットした作品としてはどうか、社会現象を起こすほどの作品なのか、という視点のせいで否定的になっている面が少なからずある、ということを言っておかなければなりません。そういう余計な意識が無ければ、よくあるジャンプ漫画(アニメ)という感想以上のものは抱いていないと思うからです」
ネムコ困り「<よくある>って、褒めていないと思うんですが」
レヴィ笑み「両方ですね。ジャンプのヒット作として及第点って、これはつまり面白いってことですからね。決してけなしている言葉ではありません。ただ、良くも悪くも目立つほどではない、という意味では、明らかに褒めていないということになります。クリエイティブとは、なによりもユニークであることを必要とするからです」
ネムコ困り「(理屈っぽいんだよなあ……)」
レヴィ笑み「あとは、視聴からだいぶ間があているということも言っておかなければなりません。折角見たんだから感想を書いておきたいと思いつつ、なんとなく伸ばしていたので。視聴中も、20話くらい見てから、しばらく見てなかった間があります。これも、いったん見なくなったらズルズルとっていうパターンです」
ネムコ汗「要するに、あまり覚えていない」
レヴィ笑み「いつも以上に間違いや勘違い、記憶違いが多くあるだろうということは念頭に置いて聞いていただければ。個人の感想なんて、そんなものです」
ネムコ笑み「評論をするのなら、もうちょっとまともでなければなりませんけどね」

ネムコ笑み「長々と前置きでしたが、まずどうしますか」
レヴィ笑み「良かったところ。作画」
ネムコ笑み「これは世間でも評判のいいところですね」
レヴィ笑み「いやぁすごい。細かいことはよくわからないけど、素人目にすごく上手いなあと思う。素人相手の商売なのだから、素人目に上手いなあと思わせるというのは、やっぱりすごく上手いのではないかと。あとヌルヌル動きますね。アニメーションしてる。アニメって、非常に失礼なことを言えば、色を塗って声のついた絵っていうのでも成り立つというか、成り立っていることにできる世界だと思うけど、やっぱりみんなちゃんとアニメーションさせたいと思うんでしょうね。この作品はもうすごく動きます。すごい」
ネムコ笑み「作画はすごい、と」
レヴィ笑み「ただ、ちょっと思ったんですけど、なんか綺麗すぎるんじゃないかなあって」
ネムコ笑み「綺麗すぎですか?」
レヴィ笑み「綺麗すぎて、最初におお、ってなった以上は、特に印象に残らないような。美人は三日で飽きる的な。なんというか、俺はこう表現したいんだだからこうなったんだぐちゃぐちゃだけど文句あっか、みたいな、訳の分からないインパクトはなかったですね」
ネムコ困り「いちゃもんが過ぎる」
レヴィ困り「いちゃもんが過ぎますねえ。ごめんなさい」
ネムコ笑み「いうほど綺麗でしたかねえ?」

レヴィ笑み「あと、作画にも通じるところですけど、ヒノカミカグラは凄かった。あれは見てよかったと思いました。何か知らんけど豪華で凄かった」
ネムコ笑み「なんか知らんけど」
レヴィ笑み「なんか知らんけど。エフェクトのすごさなんてなんか知らんけどとしか言えませんね。芸術って、なんか知らんけどすげぇって言わせるためにやるもので、なんか知らんけど凄いって感想は、最上のものだと思います」
ネムコ笑み「ヒノカミカグラの表現は最上の評価をしていると」
レヴィ笑み「ヒノカミカグラだけは一見の価値があると思いますね」

レヴィ笑み「さて後は否定的なことを言っていきましょう。ヒノカミカグラから連想して言うと、技はいつ覚えたんだってことが多かったですね」
ネムコ笑み「全部ですね」
レヴィ笑み「ピンチになると唐突に新技が出てくる。伏線というか前置きがないんですね。ジャンプっぽいと言えばジャンプっぽいんですが。水の呼吸とか全集中の呼吸とか、いやいつ覚えたんだと。修行自体は、むしろジャンプ漫画に珍しいくらい期間をとってやっていたんですけど、その描写がなかったので、あまりにも唐突に新技が出てくるように感じる。要するに強敵に主人公を勝たせるためのご都合主義的展開なわけですけど、十把一絡げの少年漫画ならよくあることでも、メガヒット漫画ならもう少しなあと思ってしまうわけです」
ネムコ笑み「技の説明も特にありません」
レヴィ笑み「水の呼吸って何でしょう。どういう呼吸なんでしょう。それは特別な人間でないとできなかったり、特別な修行をしないとできない呼吸なんでしょうか。その呼吸をすれば具体的にどういうことになるのでしょう。名称からして、水属性になるんでしょうか(水属性になる、もRPGに親しんでいないと大概意味不明な説明ですが)。水属性になったらどうなんでしょう。炭治郎さんは鬼と戦うわけですけど、水属性は鬼特攻なのですか? それとも、単に必殺技として攻撃力にプラスが乗っているだけでしょうか。鬼殺隊には色々な属性の人がいるみたいですので、多分こっちで、属性が何かは重要ではないのでしょう」
ネムコ笑み「少年漫画の必殺技に、あまり説明を求めるものではないですが」
レヴィ笑み「全集中は、最後の方で、ハンタの“堅”みたいな展開になっていましたね。持続するのはすごく疲れる、持続時間を延ばすための修行をするという。あれですね。ハンタが念頭にあるのが駄目なんですね。ハンタって、少年漫画的な必殺技を体系化しちゃいましたからね。あれを読んじゃうと、他の漫画にもあれレベルの物を求めちゃう。ほんと、すごい漫画ですよねえ」
ネムコ笑み「ハンタの感想を述べるのはやめましょう」

レヴィ笑み「組織もなあ。鬼殺隊って何ですか? どういう構造になっているのかさっぱりわかりません。わからないというより、作者が予め考えて描いていたとは思えません。構造がさっぱりわからないのです。炭ちゃんは本部とまともに連絡が取れているように見えませんでした。育成係が出てきましたが、採用になった後は彼と一緒に行動するわけではありません。炭ちゃんは途中まで本部に行くこともリーダーの顔を見ることもなく、謎の烏に命ぜられるがまま単独で鬼退治に励むことになります。自分が何をやっているのか、どういう集団に所属しているのか疑問に思わないのでしょうか。炭ちゃんの精神構造も疑問ですが、そこは後述します。鬼はとても手ごわい存在であるのに、徒党を組んで戦わそうとはしません。善ちゃんや伊之ちゃんと組んだのって、指令でしたっけ、偶然でしたっけ? 指令だったにせよ、彼らも炭ちゃんも新人です。戦士になったばかりの新兵に凶悪な化け物と単独で、あるいは新兵のみの数名で、しかも碌に顔合わせもさせず連携も取れない状態で戦わせようとしています。およそまともな集団とは思えません。どっかの山でなんか強い鬼と戦った時も、まともなブリーフィングもなく、弱小戦力をてんでんばらばらに投入し、その結果多くの兵が各個撃破に合うという事態になっていました。なんというか、鬼を倒そうと見せかけて兵を徒に殺そうとしてるんじゃないかと思うくらい、愚劣な組織ですね」
ネムコ笑み「なんというか……悪口が止まらないですね」
レヴィ笑み「いやあ、視聴しているときはそんな深く考えることもなかったんですけど、真面目に考えるとやべえ組織だなって思ってきましたよ」
ネムコ笑み「少年漫画ですので、そんなに深く考えることも……」
レヴィ笑み「ついでに言いますけど、大正ですよね。鬼殺隊のことは一般には知られていないみたいな描写がありましたけど、何故ですか。鬼は人類の脅威ですよね。公的機関に知らせて、被害を最小限に抑えれられるよう、統治機構と協力して事態に当たるべきではないのですか。古代ならいざ知らず、近代政府の統治能力は信頼すべきレベルにあったと思うのですが。まあ民衆に鬼のことを知らせても徒に混乱させるだけだったかもしれませんが、それでも公権力の一部には鬼と鬼殺隊のことは知らせておく必要があったと思います。国家権力と協力関係ができていたほうが、鬼殺隊も動きやすいですよね。もうちょっと近代政府のことは信頼してください」

レヴィ笑み「んでまあ、一番の問題は炭ちゃんのキャラクター造形ですね」
ネムコ汗「まだ悪口続けるんですか……?」
レヴィ汗「最後ですから。私も疲れましたし。一番思うことで、これは言っておかないと……。最初にすればよかった」
ネムコ笑み「で、炭治郎さんがなんですか?」
レヴィ笑み「この人が、なにを考えているかわからない。この人は物語の冒頭で家族を鬼に虐殺されるわけです。案外、ここまで戦いに身を投じる動機を持ったキャラクターも珍しいのかなと思うくらいですけど、それが、鬼に対する強い復讐心があるわけでもないんですよね」
ネムコ笑み「鬼舞辻無惨には強い敵愾心を見せていたと思いますけど」
レヴィ笑み「まあそうですね。元凶である鬼舞辻さんに対する態度は問題ないと思います。ただ、その他の鬼に対しては、どうも敵意だけでないというか、同情して見せたり救済しようとしたりする部分があるように思います」
ネムコ笑み「いい子ですから」
レヴィ笑み「いい子過ぎるんですよ。炭ちゃんは何がしたいんですか。ヒーローになりたいんですか? 違いますよね。かけがえのない家族を殺されたから鬼殺しになったんですよね。それが、元凶がいるからって、そんな、簡単に同情できるものですか。どうしようもなく殺してやりたいと思うものではないですか」
ネムコ笑み「自分と同じような境遇の人間を作らないために戦っているんじゃないですか」
レヴィ笑み「それはヒーローですよね。それでもいいですけど、どうもそれでは、結果的に炭ちゃんの家族に対する思いが小さいように感じるんですよね。そんな割り切れるものですか。家族への思いが強ければ強いほど、それが理不尽に奪われた時に芽生える怒りは大きくなるものではないのですか。芽生えた怒りがコントロール可能な程度であった時点で、なんだ炭ちゃんの家族への思いってその程度だったのかって感じなのです。ハンタで言えば、カイトを殺された復讐心と、目の前の少女を助けようと懇願するのを受け入れなければという良心と、引き裂かれるような思いになる、ああいうのは心動かされます」
ネムコ笑み「ハンタの感想を述べるのはやめましょう」
レヴィ笑み「はい」
ネムコ笑み「炭治郎さんには禰豆子さんを守り、人に戻すという動機もあります」
レヴィ笑み「炭ちゃんの禰豆ちゃんへの想いもなあ……、伊之ちゃんが禰豆ちゃんの箱を蹴ろうとした場面があったんですよ。善ちゃんがかばってたんだったかな。あれ、鬼だと分かって斬ろうとしてたんだっけ? あまり覚えてない。とにかく伊之ちゃんが禰豆ちゃんを蹴るだか斬るだかしようとして、善ちゃんがかばって代わりに蹴られてたんですね。そこに炭ちゃんが戻ってくる。そもそも大事な妹を放置しておくんじゃないという話ですけど」
ネムコ笑み「はい」
レヴィ笑み「謎の猪が大事な妹を切ろうとしている場面を見て、炭ちゃんは棒立ちなんですよね。善ちゃんがかばって、確かこの中にいるのが鬼なのはわかっていたけど炭ちゃんが大事だというから俺も守るんだとかなんとか、伊之ちゃんに蹴られながら言うんです。炭ちゃんはずっと棒立ちなんです。私はあのシーンを見て、なんだこりゃと。ふざけんなと。なにをやっとんだこの主人公はと。ちょっと腹が立ちまして。大事な妹が襲われようとしているのだから、まず何をおいても脅威を排除しようとしろと。具体的には、すぐに飛び掛かって謎の猪をはったおせと。意味が分からない。何故棒立ちなのか。この男はなにを考えているのか。脳みそ入っているんだろうか、と。善ちゃんには悪いですけど、善ちゃんが蹴られようがなにを言おうがこの場面の主人公にとっちゃ知ったこっちゃないんです。まず妹を守ろうとしないと。妹を守って妹を襲おうとした何者かをぶっ飛ばして、それからようやく状況を確認できる状態になるんです。そうでないと、妹への想いというものを疑わざるを得ません」
ネムコ笑み「あの場面は臆病な善逸が身を挺して仲間の大事なものを守ろうとしているところに感動する場面ですから」
レヴィ笑み「だから、脚本ありきでキャラクターが動かされているようにしか見えないんですよねえ」

レヴィ笑み「色々述べてきましたが、もう一度言っておきますけど、私たちの文化を代表するようなレベルのアニメーションとしては、いかがなものかということで言っています。ただの一ジャンプ漫画であれば、こんなに言っていないです。もし私が今もジャンプを購読していれば楽しく読んでいたと思います。アニメは見ていないでしょうが」
ネムコ笑み「週刊少年漫画的な文脈からすれば、そこまでおかしい描写をしているわけではないです」
レヴィ笑み「逆に言えば、少年漫画的な割り切りをしなければ、鼻に突く描写が散見されるということです。少年のころに見るのであればともかく、成人がありがたがってみるほどのものではないと思います。これも逆に言えば、私はもう、スレてしまったんですね」
ネムコ笑み「ハンタのせいですね」
レヴィ笑み「ハンタのせいですね」
ネムコ笑み「いやいや」
レヴィ笑み「ただあと、アニメ一期26話しか見ていないということもあると思います。ジャンプ漫画の、特に新人漫画家の作品にありがちなことですが、序盤はそれほどでも、話が進むにつれてどんどん面白くなっていくということはありますから。だからこの物語もこの後もっと面白くなっていくのかもしれませんね。個性的な幹部キャラも多数出たところですし。実際アニメも最後らへん面白かったと思います」
ネムコ笑み「この後映画、アニメ二期と続きますね」
レヴィ笑み「私は多分見ない思います」
ネムコ笑み「そうですか?」
レヴィ笑み「アニメ見るのは結構時間とられるんですよ。他にも見なきゃなあと思っているものはたくさんあるのに」
ネムコ笑み「同調圧力に負けてみたんですよね」
レヴィ笑み「もしくは流行に取り残される恐怖感か……。映画もメガヒットしたみたいですから、やっぱり同調圧力に負けるか、流行に取り残される恐怖に負けるかしたら、見るかも知れません。一応一期26話は見たわけで、人間、見知ったものには親しみを感じやすいものですし」

2021年9月28日作成

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