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劇場版PSYCHO-PASS Sinners of the System

<ウィキペディア>


レヴィ笑み「PSYCHO-PASSの劇場版第二弾『Sinners of the System』の感想です。先に言っておきますと、これを書いている現在は既にアニメシリーズの第三期もその劇場版も見終わった後ということになります」
ネムコ笑み「どういうことでしょう」
レヴィ笑み「視聴自体は製作順に見ているんですけど、感想を書いていなかったんですよね。メモはしていたので、それを元に感想を書いていこうという話です。忙しかったのか、やる気がなかったのか」

ネムコ笑み「『Sinners of the System』は三連作ですが」
レヴィ笑み「まとめての感想ということでいいんじゃないでしょうか。一個ずつ言うのも億劫だし、そういう評価だということで」
ネムコ困り「メモによれば、『case1.罪と罰』には幻滅している感じがありますね」
レヴィ汗「そもそも前作の『劇場版』にちょっと幻滅したところがあって、その流れのままに幻滅したところがありますね。世界の謎のようなものはもうないし、シビュラの世界はそれなりに安定していて壊れる心配がない。物語に緊迫感がない、という評価になってます。シビュラ世界を壊そうとした聖護君は偉大だったなあ、と」
ネムコ汗「可もなく不可もない、という感じですか」
レヴィ汗「私が『PSYCHO-PASS』に求めているものはその程度のものではない、ということでしょうか。霜月さんも宜野座さんも、朱ちゃんや狡噛と比べると魅力に欠ける。二期で散々な目にあった霜月さんですが、普通の事件ではかなり有能な人間だということはわかりました。というかよくあれでサイコパスが濁らないなと」

ネムコ笑み「『case2.first guardian』は悪くなかったとなってます」
レヴィ困り「須郷さんと征陸さんの掘り下げ。正直須郷さんを掘り下げられてもなあ、とは思います。ファンサービス映画なのか。国防省がでてきて、世界観が広がったんじゃないでしょうか。ただこの辺は、バックグラウンドとしてあって表にはにじみ出るくらいのほうが、作品に凄みが生まれるんじゃないかと思いますね。アニメシリーズに凄みがあったのだとしたら、たぶんそのおかげもあったんでしょう。征陸さんの過去話も同じで、本当を言うなら直接描かずににじみ出るくらいのほうがいい」
ネムコ困り「面白かったというのに散々なこと言いますね」
レヴィ笑み「普通に面白かったんだけど、普通に面白いくらいだとあんまり褒めることもないんでしょうね。須郷さんが最後奥さんのことを名前で呼んだのは、邪推できそうなことをサラッと描いた感じで、すごくよかったと思います。こういうセンスは憧れますね。『case2』は正直印象が薄いですね。外務省が出てきたのもこの話だったのでしたか。ファンサしつつ、続編への伏線を張りつつ」

ネムコ笑み「『case3.恩讐の彼方に』はかなり評価がいいですね」
レヴィ笑み「かわいい幼女が出ますからね。幼女が出ればOK」
ネムコ困り「いやいや」
レヴィ笑み「それは半分冗談ですけど、狡噛がメインの回で、なんやかんや狡噛は魅力がある人物なんでしょう。というわけで狡噛が話題の中心になります。この人のことはよくわからない」
ネムコ笑み「よくわからないですか。どうわからないですか」
レヴィ汗「なにを考えているのかというか、行動原理というか、信念のようなものというか、キャラクターの軸というべきようなものが、あんまり見えてこない人物なんですね。彼は復讐を遂げた人なんですよね。でもテンジンが復讐を行うことは否定する。それ自体は何もおかしなこととは思わないです。復讐を果たした人が復讐に虚しさを覚えるなんて、もう使い古されて液状化しているようなよくある話です。だけど自分は殺すんだもんなあ。手が汚れるのは自分だけでいい、という感じでもないですよね」
ネムコ汗「敵役を殺すことですね」
レヴィ困り「あの人、殺されるほどのことをしたんですかね。もちろんかなりあくどいことをしているんだし、狡噛のことを殺そうとしているんだから、やらなきゃやられるんだから仕方のないことなんだけど、でも一応停戦を実現させているんだし、どんな停戦でも停戦は停戦であり功績です。迷いなく殺しに行く狡噛と花城さんと傭兵仲間の人には、ちょっと心理的に置いてけぼりを食らいます」
ネムコ困り「狡噛のキャラ的には、やっぱり殺すんでしょうね」
レヴィ困り「『case.3』という話は何だったのか、ということです。普通に考えれば、復讐を遂げて目的も帰る場所もなくなった男が、復讐を求める少女との交流を通して変わっていくという筋書きです。実際最後に変わったといわれます。ただ、実際に何が変わったのか、と思ってしまいます。結局自分は殺すことを選ぶ人間のままだし、世界に対する思いが変わったようにも思えません。 ずっと過去に囚われていたわけだけど、それが吹っ切れた? そもそもどう世界を否定していたのかも、実はよくわからないんですよね、狡噛」
ネムコ笑み「作中で花城さんに、世界は簡単には変わらないから自分が変わるしかない、とか言われてました」
レヴィ汗「一期の狡噛って、復讐者であっただけで、シビュラ世界についてどう思っていたかもよくわからないんですね。復讐をシビュラに否定された、つまりシビュラが狡噛を否定したのであって、狡噛がシビュラを否定したわけではない。この辺が『PSYCHO-PASS』の主人公として、朱ちゃんと比べて狡噛の弱いところですね。『PSYCHO-PASS』の中心のテーマであるシビュラとの関わりが、そもそもあまり描かれていない」
ネムコ汗「だから主人公なんだけど、どうにもよくわからない」
レヴィ笑み「何考えてるのかよくわからなくて、物事に執着がなくて、他人には優しくて、腕っぷしは強い、そういうあたりすごくかっこいいんだけど、結局よくわからない。魅力的ではあるんだけど、うーん、ドラマになる人ではないですね。ドラマっていうのは、少女と交流して情が沸いて少女が殺されてその復讐をして、とかいうもののことですね」
ネムコ笑み「死ななくてよかったですね」
レヴィ笑み「ほんと良かったですね。まあぼろくそ言ってるようだけど、面白かったですよ。そんなものです。狡噛かっこよかった、幼女かわいかった、(花城さんエロかった、)敵役の傭兵の人もかっこよかった(殺されたのは残念)、アジアの高原の街並みの雰囲気も良かった。満足です」

レヴィ笑み「最後に一つだけ」
ネムコ笑み「なんですか」
レヴィ笑み「色々ボロクソに言ってきたんだけど、三部作通して、ビジュアルはすごかったと思います。技術的なこととか、当然さっぱりわからないんだけど、素人が見てすごいなあと思うことが全てなんじゃないでしょうか。プロの人たちの仕事には、もう嫉妬する気も起きないくらい、すごいですね」
ネムコ笑み「素人は、プロならできて当然、と思ってしまうものですからね。色々いちゃもんつけてるけど、同じことやれって言われたら――」
レヴィ笑み「できるわけないじゃん!」
ネムコ笑み「製作者様たちに、心から敬意を表します」

2020年12月13日作成


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