戻る

劇場版PSYCHO-PASS

<ウィキペディア>


レヴィ笑み「紆余曲折がありながらも、『劇場版PSYCHO-PASS』見ました」
ネムコ汗「紆余曲折とは」
レヴィ笑み「FODでしか配信してないんだよ。で、どうも月額登録するしか見れないみたいなんで、登録したんだよ。なんだよなあ。こんなもん、適当に解約するしかないよなあ。他のサイトでも配信してほしいよなあ」
ネムコ笑み「アマプラね」
レヴィ笑み「アマプラしか契約してないからね。そんなにドラマとか映画とか見るほうではないので、アマで十分」
ネムコ汗「見たいのがあったとき困るけどね」
レヴィ笑み「誤差の範囲内ですよ。そもそも今回はFODだけしか配信してないんで」

ネムコ笑み「で、どうだった」
レヴィ汗「うーん」
ネムコ笑み「あれ?」
レヴィ笑み「いや、悪くはなかったですよ。全然、悪くはなかったです。十分満足しました」
ネムコ笑み「段階を追って話していこう」
レヴィ汗「そもそもあらすじの段階で、ちょっと嫌な予感はあったんです。海外が舞台になっていたので」
ネムコ汗「映画化! でストーリーの大規模感を出そうとして、海外を舞台にすると、火傷する感がある」
レヴィ汗「具体的にどの作品、とかはないんですけど、なんか、小さな世界の中で完結していた世界観が、崩れてしまうような印象がある。あくまで、印象、ですよ。今回も、最終的に世界観は全く崩れたりはしなかったんだけど、途中までは、紛争地帯の話ですって感じで、何だろう、これはPSYCHO-PASSなのか? って気がしないでもなかった」
ネムコ汗「そういうこと言いだすとPSYCHO-PASSってなんだよって話になっちゃいますが」
レヴィ笑み「一ファンとして勝手に作り上げた像があるんですよ。これは個人が勝手に持ってしまうものなので、それについて文句言われる筋合いはない。もちろん製作者が、ファンが勝手に持っている像から外れたものを作ってはいけないなんてことはないし、ファンのほうも、なんか違うなと思ってはいけないなんてこともない。ああ、だいぶ脱線というか、もうこれで感想になっちゃってるな」
ネムコ笑み「東南アジアが舞台ですけど」
レヴィ汗「東南アジアもなあ……なんとなくステレオタイプから抜け出せていない感じがしました。貧困地域で、紛争地帯でっていう」
ネムコ笑み「貧困地域だったっけ?」
レヴィ笑み「うん、たぶんそれはこっちの勝手な思い込みなんだけどね。どうも格差はあるみたいなんだけど、それはシビュラシステム導入によるサイコパス格差とでもいうものか。だからちゃんとユニークな描写はできているんだろうけど、勝手にこっちは、はいはいあれね、ってなってしまった」
ネムコ笑み「描写に問題があった?」
レヴィ笑み「個人の感想だから、問題かどうかはわからない。ついでにもっと個人的な感想でいうと、どうせなら現実での先進国を紛争地帯にしたほうが、驚きはあったと思う」
ネムコ笑み「ただ海外を舞台にしたことで、世界観の設定がちょっと描写されましたね」
レヴィ笑み「アニメシリーズの段階で、世界に異変が起きたらしいことは語られていたんですけどね。現実の現時点から近い将来にシビュラシステムが導入されたという設定に、現実の現時点に生きる私としては違和感があるのだけど、未来史のどこかの段階で何らかの異変が起きたということであれば、まだ理解できる」
ネムコ笑み「急激な人口減少とか言われてたんでしたか」
レヴィ笑み「で日本は鎖国してるんでしたか。あとなんかあったっけ。とにかく全世界規模で無政府状態になっており、保安体制に問題があることが映画でわかりました。で、その解消のためのシビュラ導入と。だから映画は、シビュラ導入の経緯の描写ともとれるかもしれない」
ネムコ笑み「日本でもかつて似たようなことがあったと」

ネムコ笑み「待望の狡噛さんの登場ですけど」
レヴィ汗「二期にしろ映画にしろ、狡噛さんが見たくて見たわけですからね。二期には出なかったけど。でもなあ」
ネムコ笑み「どうしました」
レヴィ困り「不自然に持ち上げられすぎな気がしないでもない。人を惹きつけ影響を与える存在と語られるけど、なんとなく飲み込めない。そういわれたらそうなんだと思わざるを得ないけど、どの辺が? と思わないでもない」
ネムコ笑み「具体的な描写がない」
レヴィ汗「具体的な描写が必要なものなのかどうかもわからないけど。槇島にカリスマがあったっていうのは、まあなんとなくわかるんだけど、だから槇島と同様の人間で彼に自然と影響を受けたりした狡噛にカリスマがあるっていうのは、そりゃそうだろうなとは思うんだけど、なんとなくピンと来ない。これも個人的な感想でしかないんだけど、ピンとこなかったですね」
ネムコ笑み「映画という時間的制約による描写不足でしょうか」
レヴィ困り「うーん、というかカリスマとしての魅力がないのかもしれない。結局何がしたいのか、どういうことを考えているのかがわからないですね。今回も、ふらふらしてたらゲリラに参加することになっただけで、要するに成り行きですから。世界を変えたいだとか、シビュラをぶっ壊したいだとか、自分なりの正義を貫きたいだとか、ないですよね。善かれ悪しかれ、何かをなそうとしている人間には魅力があるものですから。槙島の魅力はそこにあったわけでしょう。ふらふらしているだけの人間に魅力はないわけです。作中の人たちは彼のどこにカリスマを感じたんだろう」
ネムコ笑み「自然とにじみ出ていたんじゃないでしょうか」
レヴィ汗「そういう魅力もあるのかもしれないですけど、ピンと来なかったですね。あと人間関係でもよくわからないというか、魅力がないですね。朱ちゃんは一期のころから狡噛に影響を受けているし、まあ恋なのか敬意なのかはわからないですけど、とにかく執着しているんで、朱ちゃんを応援したいこっちとしては狡噛と会わせたいと思う。でも狡噛の方は朱ちゃんを特別視している感じがないですね。たぶん特別視していないでしょう。あとは友情にしろ、恋愛感情にしろ、他人に対して執着している感じがあまりない人です」
ネムコ笑み「槙島に対してはかなり執着していましたが」
レヴィ笑み「そこですね。だから一期の主題はそこなんですよ。狡噛から見た槙島にしろ、槙島から狡噛にしろ、相手が執着するに足る唯一の存在なんです。だから二人の関係は物語の主題になり得る。どうも一期で狡噛の物語は終わっているような気がする。槙島のような人間が現れれば別ですが、それだと一期の焼き直しだし」
ネムコ笑み「朱ちゃんは魅力的だと思うんですけどね」
レヴィ笑み「一方通行なんですよね。狡噛は朱ちゃんを見ていない」

レヴィ笑み「というか朱ちゃんから見た狡噛の評価はともかく、朱ちゃんはもう狡噛に釣り合う存在じゃないですよ。もう彼女は一捜査官という立場を超えている。朱ちゃんは背中を追う存在として狡噛を見ているんでしょうけど、とっくに朱ちゃんは狡噛の前にいますよ。というかすでに誰も彼女の前にはいないでしょう。だから彼女のパートナーになり得る存在っていうのは、彼女の背中を支える存在なんでしょうけど、それに一番近いところにいるのは宜野座なんだけど、どうなんでしょうね」
ネムコ笑み「朱ちゃんは宜野座を見ていないですね」
レヴィ笑み「狡噛しか見ていませんからね。いや、朱ちゃんが対峙しているのはシビュラシステムですから、狡噛のようなアウトサイダーは、パートナーとして悪くないんだろうけど、うーん、ただこの場合狡噛もシビュラに対峙してほしいところですね」
ネムコ笑み「映画の朱ちゃんはどうでしたか」
レヴィ困り「立場を弁えず誰かの迷惑も顧みない行動は、物語の常道ではあるんだけど、やっぱり気持ちのいいものではないですね。具体的にいうと戦闘中に機体から飛び出して狡噛を追っていったことです。あの段階では憲兵の人はただ職務を行っているだけの、要するに何も悪いことをしていない人間なんだから、彼の迷惑を顧みない行動は、(どうせやるだろうと思っていたけど)なんか嫌だなあと思いますね。あの人が無辜の住民を殺そうとした、とかだと話は違うんですが、狡噛は政府内の人間からしたらただのテロリストですから。というか結局ただのテロリストだったような気がしますが」
ネムコ汗「まあ元々そんなに常識的な人間でもないですから」
レヴィ笑み「ただ、うーん、そうですね。物語の受け手が不快に感じないようにする筋書き、今回でいえばお目付け役を悪人にするとかですけど、そうしておけば確かに受け手の満足度は上がります。でも毎回毎回そんな手法的なことを律義に守る、必ず守らなければならない、とかってなると、それはそれですごく窮屈なことですよね。ポリティカルコレクトネス的なことです。ストーリーコレクトネスとでもいいましょうか」
ネムコ笑み「監視社会というサイコパスのテーマにもつながることですね」
レヴィ笑み「あらまあ、きれい。(まさか製作者はこれを狙っていた?)」
ネムコ笑み「(確定的に明らか)」
レヴィ笑み「最後は良かったですね。やっぱり朱ちゃんはシビュラシステムに物おじせず意見を言わないと。というかこれ、朱ちゃんもうシビュラシステムの一員ですよね。外部にいるだけで、意見を言って意思決定の一翼を担っているですから」
ネムコ笑み「外部にいる意味は」
レヴィ笑み「内部に矛盾を抱えているからこそ多様な考えを生み出せるわけです。だから、ああそうか、外部に違う価値観があって、中枢の意思決定に影響を与えるって、大きく見れば民主主義の構図と一緒なんじゃないでしょうか。だから彼女が外にいることはそれなりに意味がある、のかなあ」
ネムコ汗「そうかなあ」
レヴィ笑み「あと、今回も朱ちゃんは手を汚しませんでしたね」
ネムコ笑み「これはもうそういうものなんでしょうね。霜月さんはやってましたからね」

レヴィ汗「で、筋書きはなあ。結局二時間何だったんだ、と思わないでもない」
ネムコ汗「全部シビュラの手のひらの上ですからね」
レヴィ困り「朱ちゃんも狡噛もいようがいまいが大勢になんの影響もなかったという」
ネムコ困り「せいぜいが選挙があるかどうかだけ」
レヴィ汗「で、狡噛は結局どっか行ったままという。うん、何だったんだろうな」

レヴィ笑み「いや、物語において世界情勢が変わるかどうかなんてどうでもいいんだけどね。やっぱり狡噛が主人公として物語を牽引する力がないのは問題だったような気がするなあ。一期のころからそうなんだろうけど、槙島の存在と、世界観が魅力的なので、面白い、と感じるんだよね。あとは、もうないな。疲れたので終わり」
ネムコ笑み「案外語ることがありましたね」

2020年10月13日作成


戻る