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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

<ウィキペディア>


レヴィ笑み「庵野秀明総監督『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』視ました」
ネムコ笑み「『序』の続きです」

レヴィ汗「やべぇなこれ」
ネムコ汗「第一声」
レヴィ汗「やべぇはこれ」
ネムコ汗「はい」
レヴィ笑み「いやーやばいっすね。凄すぎますね。凄まじいですね。なんて作品でしょうか。最大級の賛辞でもまだ足りないくらいじゃないんですか。いやーもう、凄い!」
ネムコ笑み「絶賛ですね」
レヴィ笑み「うんもう、凄い。凄いとしか言いようがない。どんな言葉も受けた感覚の前では陳腐なものでしかないですよ。凄まじいものを見た。圧倒された。それだけです。それが全てです」
ネムコ笑み「はい、じゃあもう感想はやめましょう」

レヴィ笑み「もう内容は何も言いません。『序』でも言いましたけど、散々語られてきた作品ですし」
ネムコ笑み「でも何か言いたいことがあるんですか」
レヴィ笑み「うん。やっぱりねえ、言葉では言い表せない、とにかく凄まじいとしか言いようがないものを、視られることは幸せだなって。生きていると、色々な作品に、人が作った創作物に出会います。多くのものが商品として製作され、産業として成立するうち、受け手がどういうものを求めているか、どう作れば購買者は喜んでくれるか、買ってくれるかといったノウハウが洗練されていき、陳列棚に並べられた<商品>はどれをとっても概ね満足できる代わりに想定外の衝撃を受けることもないということになってしまっています」
ネムコ笑み「決してオリジナリティがないという話ではなく」
レヴィ笑み「受ける感じとして、大体同じ感覚、同じような満足が得られるということです」
ネムコ笑み「それはそれで幸せなことですけどね」
レヴィ笑み「悪いことではないです。でも人間の欲望とは際限がないものですね、幸せな状況というのは長く浸れば飽きるものなのです。もっと訳の分からないものが見たい。圧倒的な衝撃を受けたいという欲求を湧き上がります」
ネムコ笑み「そうするとエヴァが作品として破綻した訳の分からないもののように聞こえますけど」
レヴィ笑み「そう聞こえたなら誤解です。エヴァはエンタテインメントとしてむしろとてつもなく洗練されています。楽しいです。しかしエヴァのすごいところは、今までに世の中に公開されてきた作品群の中でエンタテインメントとして洗練されてきた造形を、常に壊そう壊そうとしているところです。だから視聴者はいつものあの感じかな、と思ったところでいつも次の瞬間には裏切られるということになるのです」
ネムコ笑み「常に創作の中で自己破壊が伴っているのですね」
レヴィ笑み「破壊して、しかも破綻させない。破壊しても次の瞬間には常にエンタテインメントとしての輪郭に回帰している。だから破綻しない。これはとてつもなくすごいことをやっているんじゃないかと思うんですけど」
ネムコ笑み「“破”なんですよね」
レヴィ笑み「まさしく“破”ですね、この作品は」

レヴィ笑み「もう一つこれがすごいと思うところは、これが映画であるというところですね」
ネムコ笑み「映画というと?」
レヴィ笑み「小説や漫画じゃないという意味です。小説や漫画は、一人(あるいは少人数)で創作するものです。映画は、エンドロールを見ていていつも嘆息するところですけど、多くの人間が関わっています」
ネムコ笑み「多くの人間が携わるということは、それだけ多くの意見が生まれるということですね」
レヴィ笑み「全員の意見を聞き入れては破綻するだけですから、監督という一つの意見が取りまとめるわけですけど。それでもなかなか、波風が立たないように少しずつ取り入れて妥協して丸くして、ということになってしまうものです」
ネムコ笑み「そしてありふれた作品が生まれる」
レヴィ笑み「エヴァは完全に一つの個性の下に作られた作品だと思います。そうでなければこれだけ尖ったものはできないでしょう。視聴者を振り払ってしまうことを厭わない、圧倒的な切れ味です。多分庵野監督の独裁でやったんだと思いますけど、どうでしょう」
ネムコ笑み「船頭多くして船山に登るということですね。もちろん監督のもとに上手く色々な個性を取り入れた作品もありますけど」
レヴィ笑み「この作品は、全て庵野さんの個性だと思いますね(実際どうだか知りませんけど)。よくここまで一つの個性の下にまとめられたものだと思います。映画という業界が培ってきたノウハウとして全権を監督に委ねなければならないという土壌もあると思いますけど、それでもなかなか、ここまで徹底された作品もそうないんじゃないかと思います」

レヴィ笑み「いやまあ、大げさにいうと生きててよかったという程の衝撃を受けました」
ネムコ笑み「凄まじい才能に触れた時間でした」
レヴィ笑み「人間にはここまで到達できる力があるのかと、圧倒される作品でした。人ってすごいんですね。こういう作品に触れると、感謝したくなりますね。何に感謝するのかわかりませんけど」
ネムコ笑み「大いなるものに触れた感触です」
レヴィ笑み「ありがとうございました」

2021年11月14日記述

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