ワンゲルアルバム

春合宿偵察
 奥美濃 金草岳
昭和54年(1979年)3月2日(金) 〜 3月6日(火)

奥美濃の主稜線
金草岳の手前から冠山(左)と能郷白山(正面奥)を望む


3月2日(金) 今庄駅 〜 瀬戸

雪。今庄の駅前タクシーを利用して瀬戸まで入る。瀬戸の積雪は50cmぐらい。2〜3日前から降り始める前までは、積雪がなかったそうだ。17:40、民家のはずれの田んぼの平坦なところにテントを張る。

3月3日(土) 瀬戸 ・・・ 廃村高倉

瀬戸 6:30起床 7:55発
林道 8:35着 8:50発
廃道出合 9:50着 10:15発
廃村高倉 11:20着 12:15発
まだ廃村高倉付近 12:45着 12:55発
廃村高倉サイト 13:00着  

5mmぐらいの雪の結晶が舞い降りてくる。ひざ下からまた下までのラッセルの林道歩き。曇り模様でときどき小雪。気温は低からず高からず。廃村高倉には人のいない民家が2軒ほどある。登り口が不明なので、ここでサイトにする。
コンクリート橋の近くにルンゼ状の小さな谷が登れそうだが、地図の記入位置とは異なる。地図の記入位置の渡渉地点には木が渡してあるのみ。砂防ダムのすぐ上で道らしいものはないが、雪がたくさんついているので、とにかく登ってみる。
急登と深いラッセルとやぶ状の木々に行く手をさえぎられながらも標高600m付近まで登る。傾斜がゆるやかになったところで右手にまいていって、小さな谷を真直ぐ下っていくと、先ほどのルンゼ状の小さな谷になって、サイト地の前に戻り出た。

3月4日(日) 廃村高倉 ・・・ 標高点1047

廃村高倉 5:00起床 6:40発
きのう登りついた所 7:30着 7:42発
735の手前 9:05着 9:27発
標高750mくらい 10:29着 10:54発
高倉峠前 12:14着 12:50発
1047 13:50着  

前日につけたトレースに沿ってルンゼを直登する。傾斜40〜50°、ひざから股下までのラッセル。林の中の急斜面がしばらく続き、傾斜がゆるくなってからは、疎林と藪の間をぬってラッセルに終始する。735付近から右(南)斜面が杉の植樹帯で開放された斜面になっている。ラッセルがさらに酷になってくる。積雪量は1m以上ある。
朝のうち快晴だったのが、11時ごろから曇り始め12時ごろから雪がちらつき始める。やや風も出はじめてきたのでWヤッケとオーバーズボンをつける。高倉峠13:23通過。美濃俣丸方面、笹ヶ峰ピークは層積雲の中に隠れている。福井県側からの林道が高倉峠手前まで伸びている。
1047付近で幕営。風はそれ程強くないが、岐阜県側の緩斜面のかん木の間に凹地と雪のブロックを組んでツェルトを張る。空模様は良くも悪くもない。夜になってから風が少し強くなって小雪もちらつく。吹きさらしでキジうちができないと誰かがぼやく。

3月5日(月) 1047 ・・・ 桧尾峠

1047 5:00起床 7:07発
権現山ピーク 8:08着 8:20発
標高1090くらい 9:24着 9:50発
吊り尾根前 11:01着 11:25発
金草岳西 12:10着 12:35発
金草岳本峰 12:45着 13:00発
金草岳東峰 13:35着 13:50発
桧尾峠 14:50着  

高層雲、天気曇り、風弱く気温は低くない。ラッセルは比較的楽であるが、それでもひざ下ぐらいまである。権現山ピークからも展望がよい。予定のサイト地の1056付近は十分テントが張れそうである。ササが少しのぞいていた。
絹層雲になり、陽がさすようになる。権現山の下りは視界が悪いとき注意。やせた尾根、ゆるやかな尾根、雪庇の少しでた尾根など、変化に富んでおもしろい。Wヤッケを脱ぐ。

金草岳
金草岳

金草岳近くのやせ尾根が眼前で切り立っている。キスリングを担いでは直登できない急傾斜なのでトンキンストックを頼りに一人カラ荷で雪壁を這い登る。傾斜のゆるい広い尾根にでると本峰は間近にあった。
雪壁の上まで引き返すと、下から声がかかる。いま登ったのは大きな岩の上に雪が覆い被さったところで、足場が全くないという。一瞬下りに窮したが気を取り直し、その岩を巻くように慎重に足場を固めながら急斜面を下る。
無事に戻り着き振り返ってみると、踏み固めたトレースが立派な登路になっている。頂上は目前なので前進する。キスリングのサイドの出っ張りに注意し、キスリングの重みに引かれバランスを崩さないよう、横ばいで慎重に登る。仰向けにひっくり返るとそのままやせ尾根を滑落・・・しそうで全く冷や汗ものだった。
金草岳ピークに到着。展望よく、白山や奥美濃の山々がすべて見渡せる。霞んでいるが、乗鞍や穂高も見える。

金草岳の展望(釈迦嶺・笹ヶ峰)
 金草岳の展望 釈迦嶺 笹ヶ峰

金草岳頂上記念撮影
金草岳の頂上にて記念撮影

金草岳東峰へ続く道も雪庇が張り出した急なやせ尾根で、その先の尾根も45度くらいの急な斜面である。大きな雪庇と急傾斜の雪面を前に、来た道を引き返そうかと一瞬迷った。が、メンバーの力量が揃っているのと、好天気に恵まれたのでさらに先を目指すことにする。

金草岳の展望(加賀白山・能郷白山)
 加賀白山 金草岳東峰へ続く雪庇の稜線 能郷白山

雪庇の崩落を警戒しながら下る。急斜面上でワカンの爪を蹴りこむと、足元の雪庇が振動するのがわかる。桧尾峠着。予想以上の難所つづきに精魂尽き疲れはてた。よく無事でここまで来れたものだと嘆息する。春合宿の予定コースの偵察であったが、このコースは難しい。

桧尾峠の展望(冠山)
桧尾峠から冠山

桧尾峠の展望(金草岳)
桧尾峠から金草岳

明日は田代尾根を下って志津原への林道を帰路にとることに決める。天気がややよくなるが、明日は下り坂の模様である。

3月6日(火) 桧尾峠 ・・・ 志津原

桧尾峠 5:00起床 6:40発
1118 8:23着 9:11発
林道田代尾根 10:25着 10:46発
田代 12:15着 12:50発
河内手前の養魚場 13:40着 14:00発
志津原 15:10着 15:15発
志津原駐車場キャンプ場 15:25着  

朝焼け。上空は薄曇り。やせた尾根を1118まで。霞がかかって遠望はきかない。陽がさして明るい。冠山峠から田代尾根の頭までの尾根は雪庇が出ていて、岐阜県側が樹林のない急斜面になっている。冠山峠付近の峰越林道は、谷に落ちている。田代尾根は以前と変わらず藪尾根である。田代には猟師のトレースがいくつかついている。あとは志津原まで退屈なロード。

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