今回の旅のメインは、会津若松〜小出間を結ぶ只見線を制覇することにある。只見線は中間部の会津川口〜只見間が一日3本しか走っていないという、超ローカル線である。会津若松発の小出行きは、5:57、13:05(只見乗り換え)、16:43の3本。これは時間帯からいって13:05に乗るしかない。そこで、次のようにプランを立ててみた。上越新幹線を使えば日帰りも可能だが、ビジネスホテルに泊まれば新幹線にかかる費用とほぼ同じですむので、1泊2日とした。
1日目
成田線 木下発 5:08 580H 我孫子着 5:30 常磐線 我孫子発 5:41 321M いわき着 8:34 磐越東線 いわき発 8:44 731D 郡山着 10:17 磐越西線 郡山発 10:49 1227M 会津若松着 12:05 只見線 会津若松発 13:05
只見発 16:20429D
431D只見着 15:57
小出着 17:41上越線 小出発 17:57 1747M 長岡着 18:36
木下駅まで車で送ってもらう。さすがに、この時間だと涼しい。始発は本来下り用の1番線から。駅員が出てこないので18きっぷに日付印を押してもらえず、ちょっと焦るが、電車到着直前に出てきたので、急いで押してもらう。始発電車は、別名「行商列車」。隣の車両は行商のおばちゃんたちでいっぱいだ。私の車両にも2人乗っていて、弁当をパクついていた。この暑いのにあんな重い荷を背負って行商に行くなんて、すごいパワーだなと、感心する。
我孫子で常磐線下りの始発に乗車。予想どうり空いていた。401系7両編成。冷房が強烈に効いていて、車内のあちこちでくしゃみが聞こえる。我慢できずにウインドブレーカーを着た。土浦を過ぎると左右に蓮田が現れる。水戸に近づくにつれ、通勤客が乗ってくるが、やがて福島県にはいると車内は空いてきた。定時にいわき着。ホーム端のトイレで用を済ませてから、あわただしく磐越東線のキハ110系の撮影をして乗り込む。私の乗った車両はキハ112−102。シートがピンク色で、左2人右1人のクロスシート車だ。JR東日本の軽快気動車は乗り心地も良く、しかもスピードもなかなかのもので、阿武隈山地を縫って快走する。最初は空いていたのだが、小野新町以降は次々と乗車してきて、最後は満員に近くなる。郡山へ遊びに行くらしい若い人も多い。郡山にも定時着。
郡山では、待ち時間を利用して駅ビルを探検するが特に見るべきものはなく、ホームで「ビバあいづ」とこれから乗る455形電車のツーショットを撮る。
磐越西線は普通、赤く塗られた3両編成の電車なのだが、私の乗った1227Mは、アイボリーに緑のラインの入った塗装で、堂々の6両編成だった。残念ながら磐梯山は雲が懸かっていて中腹までしか見えなかった。会津若松には定時着。駅前をぶらぶらするが、人通りも少なく、ちょっと寂しかった。寿司屋でにぎりを食べて、いざ只見線へ・・・。
只見線429Dはキハ40形2両編成。只見止まりのはずなのに、サボは「会津若松→只見→大白川→小出」となっていた。予想どうりクーラーはついておらず、天井で扇風機が回っていた。
乗客はやはり少なく、お年寄りと地元の高校生だ。それにしてもどんな田舎に行っても高校生はいるものだ。会津〜新潟方面の女子高生の服装は、上が制服のブラウス、下が体育時のハーフパンツというものだ。それにルーズソックス・革靴という子もいる。うちの方ではほとんど見かけない格好だが、こちらではほとんど全員これだ。腿の裏側にトクホンを貼っている子もいる。「すげーな」となぜか感心してしまう。
話がそれたが、キハ40は、エンジンのうなりをあげて会津盆地を快走する。磐越東線のキハ110と比べると「鈍重」と言わざるを得ないが、この重々しさがたまらない。開け放たれた窓から、熱風とともに草の香りが入ってくる。懐かしい昔の汽車の旅を思い出させてくれる。「クーラーなんていらない」と心から思う。空は、次第に曇ってきて、山の方は黒くなっている。いやな予感がしていたら、会津坂下で10分停車し、「先の方が大雨で、安全のため会津川口まで速度を落として走る」と車内放送が入った。会津坂下を過ぎると列車は山に入り、涼しくなる。やがて雨が激しくなり、雷も聞こえてきた。会津宮下に5分遅れで到着。雨は小降りとなったが、基準を越えた大雨だったので、保線係員が線路の点検をするということで、ここでしばらく停車するという車内放送が入った。乗客は1両に数名。私と同じ鉄道ファンらしい若者が二人、カメラをもってウロウロしていた。このままだと、只見発の431Dに間に合わないし、その後の小出からの上越線にも影響する。こんな山奥で夜明かしはないだろーなと思っていたら、車掌が通りかかったので、接続のことを聞いてみたら、何とこの列車がそのまま小出まで行くのだという。時刻表では別の列車のように書かれていたが、サボの通りだったわけだ。「大丈夫。もうすぐ発車しますよ」と車掌は笑顔で答える。その笑顔に安心したのだが、列車は一向に動こうとしない。待つこと1時間。会津宮下を65分遅れで発車した。線路の安全が確かめられたせいか、遅れを取り戻すため、列車はめいっぱいとばしているのが、乗っていてわかる。只見川に沿った車窓には、川面にガスがかかり、墨絵のような世界が広がる。鉄橋をいくつも渡り、そのたびに、川は右に左に移動する。私も、カメラを片手に右往左往?・・・。
会津川口で上り列車と交換。ここでは未だにタブレット交換だ。6分取り戻して59分遅れ。本来の終点只見に55分遅れで到着。
すぐに小出行きとなって16:55発車。予定より35分遅れ。只見を出ると長いトンネルが2つ。駅間も長い。窓を閉めていてもなお涼しいので、扇風機を止めた。大白川で予定通り上りと交換。25分遅れで発車。このまま頑張れば、上越線の1747Mに間に合いそうだ・・・。
入広瀬で「田中まき子」という看板を発見。新潟県に入ったことを実感する。小出には20分遅れの18:01到着。上越線の長岡行きは待っていてくれるという車内放送だったが、構内に列車はいなかった。がっかりしていると、「長岡行きは18分遅れ」という放送が入り、一安心。この日は雨の影響から、上信越線もダイヤが乱れており、宮内でも数分停車し、貨物列車と特急の通過を待った。結局、長岡には22分遅れの18:58に着いた。13時間50分の列車の旅は終わった。ハプニングはあったが、それもいい思い出になるだろう。疲れもなく、楽しい1日だった。「ニューグリーンパル」というビジネスホテルに泊まる。
2日目
2日目は、朝から天気が良く、予定通り長岡発8:27の115形電車に乗った。小千谷で停車したときに、駅前に「克雪宣言都市」という大きな看板が見えた。そういえば昨日から只見沿線でもここ上越沿線でも、1階をコンクリートで覆った3階建ての家がよく見られたが、あれは雪対策だったのだ。古い家も、1階は倉庫のようになっている。2階から出入りするほどの雪なのだろう。
上越線 長岡発 8:27
越後湯沢発 11:57
水上発 12:451728M
1732M
738M越後湯沢着 9:44
水上着 12:38
高崎着 13:46高崎線 高崎発 14:10 932M 上野着 15:57 常磐線
成田線上野発 16:06 1651H 木下着 17:07
越後湯沢では、温泉と食事で2時間をとっている。インターネットで、施設充実の本格的健康ランドという「ゆざわ健康ランド」にタクシーで行ってみた。ところが、意外に規模も小さくて「白井の湯の方がまし」なところだった。温泉だからもちろんお湯はいいのだが・・・。これは今回の旅行の唯一の失敗だった。
気を取り直して駅に戻り、湯沢高原ビールでのどを潤す。最近、どこに行っても地ビールがあるが、ここのビールも味わい深くて良かった。昼食をとったら残り時間はわずか。急いで「ぽんしゅ館」へ。ここの利き酒コーナーは、新潟の地酒が106種類もあって、500円で5種類の酒の利き酒ができる。(ぽんしゅ館のホームページの「酒風呂」のページをプリントアウトして持っていくと450円になる。)まず、越の寒梅。そして久保田、八海山を試す。次に、置いてあるパソコンで味から検索して越の初梅を飲む。もう一種類は・・・忘れた。やはり、人気の銘柄は、くせがなく「すーっ」と入っていく。さすがに手が出ないので、越の初梅の純米酒を買って1732Mに飛び乗った。青空に谷川連峰が映えて、今日も楽しい列車の旅だ。でも、高崎からの車窓は住宅地ばかりでつまらない。常磐線で懲りたので弱冷房車に乗ったのが間違いで、車内は蒸し暑く、汗がにじみ出てくる。上野、定時着。やはり東京は暑かった。2日間の18きっぷの旅は無事終わった。青春18きっぷはあと3日分残っている。次はどこに行こうか・・・。
※列車の時刻は、すべて2000年8月時点のものです。