さよなら、キミと。

静かな夜 どこからか猫の鳴き声が

どこか甘えるような 人なつっこい

誰かを呼ぶような 猫の鳴き声がする

 

さっきから鳴っていた携帯電話

僕は そっと電源をオフにした

着メロでキミからなのは分かっていたから

 

いつからかな 僕とキミの間に

いつからなのかな 少しずつ距離が出来た

今はキミの電話に出ても 何を話せば良いのか

キミに何を伝えれば良いのか わからない

 

出逢った頃は キミと長い長い時間 話していた

そう ほとんど毎日 キミと話していた

キミ以上に僕と合う奴なんて いやしない

そう思えた あの頃はそう思っていた

 

窓を開けて 夜の風を部屋に入れる

空は曇っていて 湿った風は少し冷たい

いつのまにか 猫の鳴き声は止んでいた

 

ふと キミのことを思い浮かべた

繋がらない携帯を見つめて

キミは どんな気持ちだっただろうか

 

僕とキミの 間にある温度差

きっとそれは 出会った時から存在していた

僕がキミを思う程にはキミは僕を愛していない

気が付かない振りの僕と 隠し続けるキミ

 

でももう 見て見ぬふりはできない

今の僕たちは 心のすれ違いを繰り返すだけ

それは お互いツライだけだから

 

さっきの猫はどこにいるのかな

窓の外では 雨の音がし始めている

どこかで雨宿りでもしていると良いけど

 

僕はもう 傷つきたくないし

キミをこれ以上傷つけたくもない

だから 言うよ

 

さよなら、キミと。

 

あとがき

新年の始まりにはあまり相応しくないですね。

いきなり「別れ」を題材にするとは無粋ですが。

実際、俺はハッピーエンドでない作品は

自分でも好きじゃないんですが。

現実でさえ上手くいかない事が多いのに

せっかくのフィクションでまで不幸な結末なんて。

だから、この作品もラストの下りを書くのに

随分と悩み迷いました。半年以上も書けずに

放っておいたかと記憶しています。

そして、書き上げてからも悩みました。

果たしてこれを作品としてここに載せていいのかと。

しかし、「希望を託して終わったつもりだから」と

そう思う事にして、ここにアップしました。

その意味は、読んでくれた貴方の想像にお任せします。

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Updated 05/Jan./2006

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