猫の庭で
-フランス猫がやってきた-
猫のアルベルトは やっぱり今日もお昼寝中 |
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港の方から吹いてくる 心地よい潮風を感じながら |
お腹いっぱいなノンビリを しばし満喫♪ |
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夏もそろそろ終わり・・・・ |
でも この街の暑さはもう少し 長居の様子だね |
アルベルトも 上手に日陰を見つけてお昼寝 |
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でも最近 |
この街を熱くさせているのは 他の話題 |
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数日前の日曜日 ピアッツァーレでのこと |
とある劇団のお披露目があったらしい |
*ピアッツァーレ(Piazzale):大きな広場 |
何でも フランスから来た有名な劇団とかで |
賑やかな音楽に合わせ 集まった街の人達に |
華麗な踊りでお芝居の宣伝をしたんだってさ |
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でも ここは猫の庭 |
猫達は 別の話題で盛り上がっているんだ |
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ロッソ通り 246番地 |
車好きで 陽気なエンツォおじいさん |
おじいさんが飼っているのが 赤毛のディノ |
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そのディノが |
どうやら このところ『恋』をしてるって話なのさ |
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気になるお相手は・・・もちろん猫 |
けれど この街の猫じゃないんだってな話 |
ほら 例のお芝居のお披露目さ |
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ディノは見ちゃったんだとさ |
お披露目の輪の中に 見つけたんだってさ |
抱いていたのは とっても綺麗なシニョリーナ |
*シニョリーナ(signorina):お嬢さん。未婚女性の敬称 |
真っ白な 真っ白な フワフワの猫♪ |
ディノは フランス猫に一目惚れ |
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フランス猫の名前は 『ソヴィ』っていうらしい |
手入れの行き届いた フワフワの長い毛は |
綿菓子のように やわらかそうだね |
それに モッツァレラチーズのように真っ白さぁ |
*ソヴィ(Sovie) |
もう ディノはソヴィに夢中 |
それからというもの 楽屋裏の窓際まで |
ソヴィを訪ねる毎日・・・毎日・・・毎日・・・ |
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まず ネズミを獲って持っていった |
・・・・・・残念 お気に召さなかったようだ |
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次に サカナをメルカートで盗って持っていった |
・・・・・・無念 これも気に入らなかったようだ |
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3度目の正直 ディノは |
マリオに貰った ピッツァを持っていった |
・・・・・・不思議なことに |
これは気に入ってもらえたらしい 良かったね |
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赤毛のディノと フランス猫のソヴィ |
猫の庭は 毎日 2匹の話題で持ちきり |
まぁ おしゃまなビアンカだけは |
よそのメス猫に オス猫の注目が集まるので |
面白くないらしいね あはは |
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ところが ある朝 |
噂好きの縞猫・ファビオが ニュースを持って |
猫の庭にやってきたんだ |
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『フランス猫に 大変なことが起きたらしい・・・』 |
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フランス猫の飼い主 女優のカテリナ |
彼女は気分屋なので有名なのだとか・・・・ |
“犬が欲しいわぁ 猫はもう飽きたんだもの” |
たった一言 彼女のその一言で・・・ |
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ソヴィは 一夜にして宿無し猫になってしまった |
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ディノは そんなソヴィを放っておけるはずもなく |
エンツォおじいさんのもとへ連れていったよ |
もちろん おじいさんは快く迎えてくれた訳さ |
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でも ディノはあまり嬉しそうじゃないんだ |
なぜって? それは |
ソヴィが悲しくて泣いてばかりいるからさ |
きっと カテリナの所での暮らしが恋しいんだね |
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とっておきの マリオのピッツァも |
今度ばかりは 効き目無し・・・ |
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それでもディノは 毎日マリオの店へ通っては |
ソヴィのために ピッツァを持って帰った |
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そんな日が 10と3日続いたんだ |
劇団は興行も大成功で とうにお国へと |
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ある日ディノは マリオの店の裏で |
アルベルトが妙なものを食べているの見たんだ |
きっと お店のまかないを貰っていたんだね |
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鍋にオリーブオイルとニンニク 火は弱火でね |
香りが立ってきたら ベーコンを入れてジュジュッ♪ |
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タマネギを入れて 透明になるまで炒めよう |
ニンジン トマト キャベツ はいっ順番にお入りよ♪ |
ケンカしないでね 火は強めだよ |
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野菜達が みんな仲良くなってきたら |
さあ 水をいれて みんなでお風呂だ 火は弱め♪ |
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10分もあれば 話も盛り上がってくるよ |
みんなの表情も ほら やわらかになってきた |
パセリとパン粉を入れて 塩 こしょうもね |
あともう数分だよ 肩までつかってね♪ |
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さあ 器に盛ろう 卵黄を真ん中に落としたら |
バジリコをちぎって散らすのも 忘れずにね♪ |
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なんだろう・・・とっても懐かしい匂いがする |
不思議な料理だと ディノは思った |
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ディノは次の日 むずかるソヴィを連れ出して |
マリオの所へ連れていったんだ |
もちろん あの料理を食べさせたくてね |
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・・・・・・それから どうなったかって? |
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ソヴィは元気になったよ ディノと仲良くやってる |
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自慢だった あのフワフワの白い毛は |
時々 茶色く汚れていたりするけれど |
ソヴィは 今ではすっかり 猫の庭に馴染んでる |
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フランス猫は この街の猫になったんだ |
おしまい
猫の庭で。続きは、次のお話で。
編集後記
はいっ♪やっと、4話目が完成しました☆
なんと、3話目から3ヶ月近くも掛かってしまった(汗。
今回の出演ゲストは、フランス猫のソヴィでした。
今回の料理は、懐かしいマンマの味・アクアコッタです。
この料理は、トスカーナ地方南部の家庭料理の一つで
アックア(水)とコッタ(煮る)、つまり「水煮」という意味です
鍋に入れる野菜は何でもOK。堅いことは言いません(笑)
できれば、さっと火であぶったバゲットを添えて♪
いつもは彩り鮮やかな楽しい料理をご紹介していますが
たまには、こういった素朴なイタリアの味も如何でしょうか?
2002/03/31 Masato HIGA
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