安倍首相 真珠湾訪問へ 戦争の語り部の“思い”は 
                       TV取材を受けて

 1941年12月8日に、日本軍がハワイの真珠湾を攻撃してから75年目となる8日午後、TNC(テレビ西日本)の取材を受けました。安倍総理が12月26,27日の両日、アメリカのオバマ大統領と共に真珠湾を訪問することに対し、「戦争の語り部の“思い”は」というのが取材の主旨でした。「被爆の語り部」である私になぜ?の疑問がありましたが、積極的な働きかけでアナウンサー、カメラマンさんなど4人が来訪、雑談を含め約3時間も語りあいました。
 安倍総理は「犠牲者の慰霊のための訪問」と言ってはいますが、ではなぜ今なのか−との違和感を覚えたのは私だけでしょうか。オバマ大統領が広島を訪れたからその「返礼」と言うか、パフォーマンスとまでは言わないまでも、儀礼的なお付き合いに過ぎないのでは、との冷めた感情しか湧いてこないのです。    なぜなら、「犠牲者への慰霊」「二度と惨劇を繰り返さないよう」とのコメン卜はあったとしても、さて、本音は果たしてそうなのか?と思ってしまいます。本当に心の底からの慰霊ならば、ではなぜ第1次安倍内閣発足当時、総理としていち早く馳せ参じなかったのでしょうか。
 オバマ大統領が退任し、故郷で休暇を過ごすというタイミングに合わせて行くところに、単に「慰労」「最後のお付き合い」ともとれかねない部分が見え隠れするのです。行くことそのものは否定しませんが、犠牲者に対する純粋な気持ちからなのか、心の中までは見えないので真意は不明のままです。
 ここまで猜疑心をあらわにするのは、安倍政権が現在進行形で進めている憲法違反の「安保法制=戦争法」に基づき、「戦争のできる国」に舵を切って、着々と速度を速めているからにほかなりません。その具体的事実を書き並べるスペースはここにはなく、日々のニュ―スで多くの方がご理解の通りです。あえて記せば、その典型が南スーダンヘの自衛隊の「駆け付け警護」、加えて、沖縄辺野古新基地建設と東村高江のオスプレイパッド建設の強行は米国の言うがまま、日本は「独立国」とは思えません。
 最後に一つ付け加えれば、31年前の被爆40年に、国際遊説団の一員として20日間、米国南西部の5州13の都市を駆け巡ったとき(核兵器廃絶と被爆の実相を訴えて)、スピ一チの冒頭には決まって日本が犯した罪、「真珠湾攻撃」に関して謝罪の言葉を述べました。しかしながら日本政府は、先の戦争を美化することはあっても反省はなく、アジアの国々ほかどの国に対しても「謝罪」はしていません。
 安倍総理はパールハーバ―に立ち、どんな言葉を発するのか? 結果としてのヒロシマ、ナガサキなのだから、置き去りにされているヒバクシャはまだ数多くいるのだから、しっかりと耳にとどめたいと思います。 自国の侵略戦争さえ認めない、反省もしない政権が、再び過ちを犯そうとしているとき、?見て見ぬふりするのは「同罪」に等しい”のだと。             テレビ放映の一場面

 私は「見る」だけではなく、戦争をさせない強い決意で「安保法制違憲訴訟原告団」の一人として、残された人生を自分らしく、精いっぱい生きていきます。
(12月8日夕方のTVニュース番組中、放映はわずか3分弱。視聴者の方に私の真意が伝わるはずはありません)
             
              2016年12月20日  博多区支部 吉ア幸惠