9/6.7 九州ブロック原水禁・被爆者交流集会に参加して
              
                      福岡市原爆被害者の会 中村 国利


 この交流会も38回を数えるに至りました。ここまで労を取っていただいた原水禁に感謝申し上げたいと思います。
 参加者は各県から総勢109人。(内、被爆者31人、二世9人)
 この交流会の主な目的は、当初から一貫して
  ・被爆者援護法の問題点についての意見交換
  ・原爆被害者の各県・各地区の活動と交流
  ・原爆被害者と原水禁との日常活動の連帯
  ・あらゆる平和活動、市民(住民)運動との連帯
 にあります。

 ここでは次の3点について報告いたします。
1、記念講演: 川内原発再稼働を問う
    宮崎県の自然と未来を守る会共同代表 青木 幸雄氏

      この中で多くの問題点、疑問点が指摘されました。
   a,民意無視の再稼働・・・各種世論調査では再稼働反対が約6割
   b,安全の担保なし・・・・規制委員長は「基準の適合性はみていますけれ
     ども、安全だとは私は申し上げません」と述べています。川内原発は日本
     最大の活断層・中央構造線の末端であり、目の前の甑海峡には政府の地質
     調査委員会がⅯ7,5と評価した甑断層等があり、火山活動も活発です。
   c,誰も責任をとろうとしない無責任体制
      規制委・・・再稼働の判断には立ち入らない。
      政府・・・・規制委で安全性が確認されれば地元了解の上で原発の運転を
            順次再開していく。
      経産省・・・事業者が最終判断をして、再稼働に至る法制度だ。
      薩摩川内市長・・国が基準を審査しての結果だから安全。
      新潟県知事・原発事故に対する最終責任が明確でなく、現行制度は無責任
            体制という状況。
   d、実効性ない避難計画
   e,自治体の同意なしで再稼働・・立地自治体の薩摩川内市と鹿児島県のみで可。
   f,行き場のない使用済み核燃料
      まだまだ諸々ありますが、割愛します。

   ※日本政府及び電力会社は、川内原発再稼働に踏み切りました。福島原発事故で
    放射線の恐ろしさを身をもって体験したはずなのに。多くの国民が脱原発を訴
    え不安を抱いているのに。核のゴミを将来に委ねるなど無責任です。

2、報告: 被爆二世をめぐる現状と課題
   全国被爆二世団体連絡協議会 崎山 昇氏

    ※発足は、1988年で教職員組合などに所属する、二世自身が二世の問題として
    取り組んでいる。
    被爆70年を機に、国際社会に対して、被爆二世の人権が侵害されている実態を
    訴え、日本政府に被爆二世の人権を保障する対策(援護対策)を求める新たな
    運動をスタートさせている。

   a,被爆二世問題
     ・二世の健康問題
     ・原爆被爆の放射線による「遺伝的影響」
     ・上記からくる二世への社会的差別の問題
   b、課題
     ・被爆者援護法
       被爆者の主張―原爆被害は、もとはといえば国が開始、遂行した戦争に
      よって生じたものであり、その被害に対して国が責任をとり、被害に対し
      て償うことは当然のこととして、国家補償を求める。
       国の主張―およそ戦争という国の存亡をかけての非常事態においては、
      国民がその生命・身体・財産等について、その戦争によって何らかの犠牲
      を余儀なくされたとしても、それは国をあげての戦争による「一般の犠牲」
      として、すべての国民がひとしく受忍しなければならない。
     ・再び戦争犠牲者、被爆者、二世をつくらないための反核・反戦・平和運動
     ・被爆体験の継承

      ※二世問題を人権問題と捉え、国連人権理事会へ意見書(声明)提出する
      ための運動に取り組んでいる。
      ※このように30年近くに亘って二世問題に取り組んでおり、被団協として
      も知恵を借り、共同して対策を講じるなど模索していけたらと思う。

3、各県の被爆者団体が抱える課題:
    ・高齢化し病を抱える被爆者へは、様々な取り組みへの参加要請が年々難しく
     なっており、参加者も固定化しつつある
    ・急速な会員減少により、会そのものの存続が危うくなってきている。
    ・会員減少は財政的にも厳しい
    ・役員のなりてがいない
    ・政治問題(安保法案)にどこまでかかわっていくか

 最後に、核兵器廃絶・脱原発・安保法案を廃案に、を参加者全員で確認し終了しました。