70年 不戦を継ぐ

                上川  仁  長崎 当時10歳

 本日は、先の世界大戦(太平洋戦争)が終わって、70回目の日を迎えました。
あの日、正午からの玉音放送を聴いて、どれ程の人が、安堵と解放の喜びを味わったことでしょうか。
 戦時中、機銃掃射や焼夷弾の下を逃げ回わり、かけがえのない家族や、生活の全てを失いました。侵略戦争や植民地支配が、人間の尊厳を踏みにじり、「欲シガリマセン、勝ツマデハ」の標語のもとに、普通の幸せ、人生の夢や希望は、抑圧された生活の中で封印されていました。
 第2次世界大戦の死者数5千5百万人のうち、2千万人がアジア、太平洋地域の犠牲者だと言われています。広島市、長崎市と世界で初めての、2発目の原爆投下を、この狭い日本の国土で受けて、次世代の戦争の実態を予告して、太平洋戦争は終局を迎えました。
 「もう戦争はこりごりだ」との思いで焼け野原から再出発した一般市民は、国民主権を謳い2度と戦争をしないと誓う新憲法を、大きな期待と喜びで迎えました。それにもかかわらず、戦争の記憶が薄らぐにつれ、今や政府は再び戦争への道を突進しています。
 昨年7月1日の集団的自衛権行使の憲法解釈の閣議決定、続いて今春の通常国会に於ける、安保法制関連法案の、衆議院に於ける多数決による強行採決、政府の強引さに圧倒され、無力感に襲われる昨今でございます。