渡辺県議の質問と知事の答弁
(福岡県県議会ホームページより引用)
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◯五番(渡辺 美穂君)登壇 国民民主党・県政クラブ県議団の渡辺美穂です。通告に従い質問いたします。
被爆者の平均年齢は八十二歳になり、既に鬼籍に入られている方も少なくありません。当然ながら被爆二世の方々も高齢化が進んでいます。被爆者数は、平成二十九年度の厚労省の調査では、本県は広島、長崎に続いて全国で三番目に多い五千八百九十二名いらっしゃいます。したがって、本県には被爆二世の方も多いことが予想されます。県内の被爆者団体の推計では二〇〇五年時点で約一万人となっており、その多くの方が我々の想像よりはるかに大きな健康不安を抱えておられます。二〇一四年被爆二世健康影響調査科学・倫理合同委員会が調査した結果では、被爆二世への放射能の影響は認められないとしながらも、調査対象の平均年齢が四十八・六歳と若いことから継続した実態調査が必要であるとしています。今、二世の方々の平均年齢が定年間近となり、がんの発症などに、より敏感になられているにもかかわらず、国は、放射能の影響が科学的に証明されていないため、被爆二世に関しての保障を十分行っているとは言えません。しかし、日本は世界で初めての被爆国であり、将来にわたる放射能の人体への影響については、我が国が調査を進めながら検証していくしかありません。そのためには、親である被爆二世及び三世の実態把握というのは必須ではないでしょうか。しかし、被爆者手帳は被爆一世の方にしか支給されておらず、時間がたてばたつほど二世以降の方の実態把握は困難になります。
本県では被爆二世の方々の実態把握は行っているのか、もし把握されていないのなら、被爆者手帳を持っておられる一世の方々の追跡調査を行うことで、ある程度把握は可能になると考えますが、県の考えをお聞かせください。
国策で始まった戦争により、戦後七十年を過ぎても安心した生活を送ることができない被爆二世の方々の思いは、今から十五年前の二〇〇五年十二月福岡県議会に被爆二世の医療費助成に関する請願として提出され、福岡県議会は二世の皆様の不安を払拭すべく、全会一致で可決いたしました。請願内容は、被爆二世に対しても被爆者同様、健康管理手当支給条件の十一障がいと同じ疾病になったときには、白己負担分の医療費助成を行ってほしいという内容でした。その請願に対して執行部は翌二〇〇六年の二月議会に回答していますが、それは健康診断の受診実施機関の拡大を行うという請願の趣旨からは外れた内容となっています。請願の趣旨である医療費助成について、県の回答は国の対応を待つというもので、県議会が議決した内容については全く応えていないというのが実情ではないでしょうか。知事の考えをお示しください。
当事者にとって国の動きが余りにも遅く、時間だけが無意味に経過し、被爆二世の方々の高齢化が進み、中には甲状腺機能低下症やがんなど重篤な症状を発症し苦しんでおられる方もいらっしゃいます。まずは自治体においてできることからやってほしいと思われるのは当然と思います。
そこで知事にお伺いします。二〇〇五年福岡県議会では、具体的な施策を提案し議決しているわけですが、議会の意思を尊重するためには県としてどのような取り組みが必要とお考えかお聞かせください。
また、請願に対する回答で触れられた健康診断の受診機関の拡大についてはどのように実施され、現状どのようになっているのかお聞かせください。
医療費の補助については、一定の予算がかかることから、余り予算をかけずすぐにできることとして、例えば、今二世だということがはっきりわかっている方々が、がんや甲状腺異常の症状に関して精密検査が必要となった場合、その費用を県が負担できないか、あわせてお伺いいたします。(拍手)
◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
被爆二世の方々の実態把握でございます。県におきましては、全ての被爆二世の方の人数などその実態は把握をしておりませんけれども、国の調査事業として、希望される被爆二世の方の健康診断を実施をしておりまして、その健康状態の把握に努めてきております。平成二十九年度では、四百十七名の方がその受診をされているところであります。より多くの被爆二世の方にこの健康診断を受診していただくため、今年度からは、新聞広告を活用したさらなる周知を行いますとともに、被爆者健康手帳をお持ちの全ての方に対しまして、お子さんなど被爆二世の方の受診を勧めていただけるよう、その依頼を行っているところであります。また、被爆二世の方の受診の利便性を高めるため医療機関に働きかけを行い、健康診断を実施する医療機関の数を、平成十七年、四カ所でございましたけれども、今年度は二十四カ所に増加をさせたところであります。引き続き、医療機関数の拡大を図ってまいります。
次に、被爆二世の方に対する医療費助成についてでございます。原子爆弾により被爆された方々への援護につきましては、被爆者援護法におきまして、国が責任を持って対策を講じることとされております。現在、国におきまして、被爆二世の方にかかわる遺伝子的な影響について調査研究が行われているところでございまして、その結果に基づき、国によって医療費や、がん、甲状腺異常にかかわる精密検査費用への助成等、必要な支援策が講じられるものと考えております。県といたしましては、その国の動向を注視していきたいと、このように考えております。
◯五番(渡辺 美穂君)登壇 三点要望させていただきます。
県として初めて、被爆者手帳をお持ちの方に二世の方への受診勧奨を行う通知が行われたという一歩を踏み出された、このことについては高く評価をしたいと思います。しかし、その通知を拝見いたしましたけれども、余りにも事務的なわずか二行の文章でした。二世の方の健康診断の受診数をふやすことによって、県としてより正確に二世の方の健康状態を把握したい、ひいてはそれが国においての二世、三世への各種保障につながるかもしれないという狙いが伝わらない限り、その動きは広がりにくいと考えます。被爆二世の推計数約一万人に対して四百十七名の受診というのは余りに少ないと言わざるを得ません。今後も受診を勧める施策を実施していただくこと、次回以降、案内文を出されるときや、あるいは新聞広告において、県の思いをきちんと伝える内容にしていただくことを要望しておきたいと思います。
次に、国は都道府県で実施している被爆二世の健康診断の結果を取りまとめていながら、それを公表していません。個人情報との兼ね合いはありますが、個人が特定されず公表できる範囲というのは当然あるはずです。二世の方々の健康状態などの実態把握のためにも、国に対して公表するよう知事会などを通して要望していただくようにお願いをいたします。
最後に、請願の件ですけれども、請願採択後十五年たっても国も、そして本県においてもその対応は何ら変わることがありません。今後、二世の方の高齢化が進めば健康不安や、あるいはそれに伴う経済的不安は増大をいたします。福岡県として、どうしてもそれを取り組むことができないと、今は難しいということであれば、できるだけ速やかに広島県や長崎県を初めとする各県と連携し、二世の方々への支援を実現するよう国に働きかけていただきますこと、また各種施策を実施されるときには、当事者の団体の方々と協議の上実施していただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
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