前書き
 
 韓国は、地理的にも文化の面でも日本に最も近い国であり、加えて仕事上でも多くの関わりのあった国であり、仕事の関係で過去約20数回の訪問を繰り返した。若いころには工事のトラブル処理で、約10日間くらい南部のヨースやウルサンに数回滞在した経験もあるが、多くは工事や機器調達に関しての契約上のネゴ、打ち合わせが主体で短い時は1泊2日、長くて1週間程度の旅が主であった。訪問した場所は、ソウル、プサン、ウルサン、マサン、ヨース、インチョン等の工場地帯が中心で、首都のソウルの一部を除いて、おおよそ観光らしきことをやったことはない。

 今回は、中近東や東南アジアの大型プラント(発電所や石油化学プラント等)の建設工事で度たび起用した大手工事会社の元社長で現在はLG系の大手企業であるGS Constructionの顧問を務めている20年来の友人であるMr.Choiの度重なるお誘がったゆえ、それに応じて久しぶりに旧交を温めるための訪問であった。


 旅は、右記の日程概要に示したように、ソウルから東へ向かったKangwon−do(江原道)を中心とした、自分にとっては全く初めての韓国を知る貴重なものであった。
 
 また、韓国に入ってからの全ての費用は、Mr.Choiともう一人の現地同行者のMr.Kim(Mr.Choiと同じ会社の元副社長)の二人に負担してもらうことになってしまった。心から感謝したい。

日程の概要

9月23日 11:00 娘夫婦の送迎で家を出発
14:05 JL955で成田空港発
16:40 Inchon空港着  ソウル宿泊
9月24日 08:00 ソウルのホテル発
11:00 Yongpyong Resortのゴルフ場着

12:00 昼食後プレイスタート
17:00 コンドミニアムに到着、宿泊
9月25日 07:00 コンドミニアム発
08:00 ゴルフコースで朝食後プレイスタート
15:30 Kangnung(江陵)の魚市場内で昼食
18:00 Sokchoの山岳ケーブルカー

19:00 同地区のコンドミニアム着、宿泊
9月26日 08:00 コンドミニアム発
10:00 金日成の元別荘訪問後国境地区へ

12:00 車で帰路へ(途中で昼食)
16:20 Kimp空港着
21:35 羽田空港着



9月23日

成田のJALのラウンジから
 ・時間的な制約とJALのマイルを利用した特典航空券を購入したことから、
−行きは成田空港からインチョン空港
−帰りは金浦空港から羽田空港
という変則的なティケットとなって、成田空港近くの駐車場に車を預けて帰国時に回収するということが出来なくなったので、娘夫婦に空港まで車で送ってもらうことにして11時には家を出発。


 ・休日で東関東自動車道が混雑していそうだということで、佐倉インターまでは一般道を走って、佐倉で高速に乗り12時前に成田空港に到着。昼食とお茶で時間を潰し、韓国の友人二人に「羊かん」と「カステラ」のお土産を買ったりしたら、JALのラウンジでゆっくりする暇もなく出発となった。

 ・搭乗するまでは気付かなかったが、JALの機中では、それぞれ違う仕事でソウルに向かっていたTECの現役社員3名<内一人は今もゴルフ付き合いあり、もう一人は家族同士の付き合いがある>と偶然に会う。特に、1名は席も隣でインチョンまでの機中では退屈することはなかった。

Artnouveau City ホテル台所 
 ・インチョン空港にはMr.Choiが運転手つきの車で迎えに来ていてくれて、すぐにソウル市内へ向かう。なお、この車はこれ以降帰国まで我らの足となって韓国の中を走り回ってくれることになった。

 ・ソウルのホテルは1泊のみの予定。Mr.Choiが「Artnouveau City」というホテルを予約していてるれて、支払いも済ませてあった。このホテルは、以前にソウルでの定宿的に利用したカンナムグ(江南区)にある「ルネッサンス ホテル」の道路を挟んで隣という立地で、初めての宿泊となった。ホテルにチェックイン後、焼き肉屋に出かけてMr.Choiと酒を飲みながら二人だけの夕食。

 ・このホテルの宿泊料はルネッサンスの半値以下ということであったが、自分が宿泊した部屋は小さなキッチンが付いたダブルベッドの部屋で、高級木製家具調の収納箪笥が約4メートル位の壁一面に設置された豪華な部屋<ベッドと収納家具の写真を撮らなかったことが残念!>
で、広さも30平方メートル以上はあった。これでも、ルームチャージは朝食付きで約1万円だという。

 ・もし、また韓国に来ることがあったら、必ずこのホテルを利用しようと思わせる料金と快適さであった。ただ、従業員の中には英語が弱いと思われる人たちが多く、韓国語の出来ない自分にとっては些か不便と思う部分だけが不満ということ。


ルネッサンス ホテル
 ・今回の旅行では何の関係もない「ルネッサンス ホテル」であるが、懐かしさから写真に収めてみた。これは、24日の朝に宿泊したホテルの部屋から撮影したものである。

 ・このホテルのオープン当初からソウルで指折りの高級ホテルに属していたが、会社の韓国現地法人のオフィスがすぐ隣りであることで当社関係者には幾らかの割引もあって、よく利用させてもらった。

 ・個人旅行で来る今の貧乏旅行では、このクラスのホテルはなかなか利用できそうにない。



9月24日

Birch Hillコースにて

食堂から見るコース

クラブハウス

冬ソナ看板


道中にて
 ・Mr.KIMの出迎えを受けて8時にホテルを出発。途中でMr.Choiを拾って高速道路を一路Kangwon-do方面へ向かう。

 ・11時ごろ、Pyongchang地区の「Yongpyong Resort]に到着。このリゾートは海抜700メートル前後の高地にあって、冬はスキー(ワールドカップスキーも実施され、2010年及び2014年の冬季オリンピックにも立候補)、夏はゴルフ(3コースあり)が楽しめる韓国一の大リゾートである。

 ・リゾート内の「Birch Hill Golf Club」内の食堂で昼食後にプレイ開始。コースは、手入れは行き届いているものの、山岳コースのイメージ強く、アップ・ダウンもあるが、特にグリーンのアンジュレーションが大きくパットが難しかった。スコアは、3パットが多かったが何とか84(41・43)に収めた。

 ・プレイ後は、同リゾート内のコンドミニアム(Mr.Choiの所有)に移動し宿泊。コンドミニアムの周囲は、韓国名産の「松の実」が採れる松が生い茂っており、9ホールのゴルフコースも付いている静かな環境。部屋は床暖房が装備されていて快適。Mr.Choiは家族で頻繁にここを訪問しているようである。近くの町で食べた夕食の焼き肉も野菜・漬物が30種程度も出て味も抜群。

 ・このリゾートは、日本の女性陣を虜にし韓流ブームの火付け役(?)にもなった韓国のメロドラマ「冬のソナタ」の冬の一場面として度たび登場した場所であったようで、写真のような主役の二人、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウと木製看板も見かけた。当時は、多くの日本の女性ファンが訪れたのかもしれない。



9月25日(1)

クラブハウス

コース眺望

女性キャディと

松の木立


Yongpyongリゾートを後に
 ・8時スタートのゴルフに間に合わせるべく、Yongpyongリゾートを7時に出発。Mr.Choiの生まれ故郷の東海岸の町である江原道のKangnung(江陵)方向へ向かい、約20分余りで今日のゴルフ・プレイ予定の「SAND PINE Golf Club」 に到着。

 ・このコースは、その名前のように松が多い、海岸に近い場所(江陵の近傍?)の平坦な場所に立地しているようであるが、残念ながら、地図上で正確な場所を確認することは出来なかった<googleでそれらしい場所は探し当てたが不確か>。オープンして数年の新しいコースであるが、会員権はいまでも日本円で1,500万円程度はするという美しいコース。

 ・コースの食堂でスタート前に食べた朝食の塩味の海苔とウニのスープが抜群においしく今 でもその味を思い出すほど。若い女性キャディーは国立大学の経済学部を卒業後も種々の勉強中で学費稼ぎにキャディーのアルバイトをしているということであった。勉強家で、コースについてのアドバイスも的確。


・スコアは、今日も昨日と同じく43、41の84。12時半ごろにプレイを終えて、ゆっくりシャワーの後14時過ぎに江陵方面へ向かう。



9月25日(2)

東海岸の一角で

38度線の標識で

岩山へ向かうケーブルカー内

雲間に見えた頂


部屋から望む駐車場方向
 ・江陵の町近くから美しい海岸線にそって北上。夏は素晴らしい海水浴場に変身するであろうと思われる海岸はよく整備され、きれいに清掃されている。この海岸沿いには小さな漁港が点在しており、その一魚市場の中にあるChoi氏が懇意の食堂で「鯛の活き作り」で昼食。鯛は養殖ではなく天然ものとのことで、身のしまりも良く、コリコリとした舌触りが格別。とにかく、毎食美味しい食事に出会わせて幸運そのもの。

 ・さらに北上すると、38度線に到達。韓国では38度線が北朝鮮との国境線という理解でいたが、それは西側のソウル近傍のことで、東海岸地区では朝鮮戦争で韓国軍が国土を大幅に奪回して国境線は38度線よりはるかに北側になっていることを今回知った。

 ・38度線を過ぎてSOKCHO(束草)の景勝地に到着。この辺りは、北朝鮮の山岳景勝地である金剛山に近接する岩山が美しい一大観光地で、その一部にはケーブルカーも装置されていて、外国人を含む多くの観光客が訪れていいる。この日も、ケーブルカーで上った山頂の岩山で、台湾から来たという約10人の20歳前後の若い女性陣にも出会った。

 ・不運にも、雲が垂れこめていて山頂からの眺望は楽しめなかったが、一瞬雲が切れた瞬間に「雲間に見えた頂」の写真が撮れたことは幸運といえよう。

 ・宿泊は、SOKCHOの景勝地域内にある超大型コンドミニアム。Mr.Choiが勤務しているGS Construction の会社が契約しているという。ゴルフコースも併設されており、部屋からはケーブルカーで上った山の方角が一望できる素晴らしい立地。外国人の宿泊者も多く見かけた。

 ・夜はマッカリ(ドブロクの一種)で盛り上がり、韓国の旧友たちに電話したりして、Choi,Kim両氏が私の娘と話したりして、ベッドインは12時過ぎとなった。



9月26日

コンドのベランダから

最北(?)の商店

国境線の展望台

遠く国境線を望む


金日成の元別荘
 ・カップ麺で簡単な朝食を済ませて、8時過ぎのコンドミニアムを出発北の方角のKansong地区へ向かう。先ず、金日成が朝鮮戦争前に別荘としていた海岸沿いの施設を訪問。戦争で韓国が奪回してから記念館となっている。

 ・さらに北上、この辺りの海岸線は北朝鮮の襲来に備えて、海に沿って延々と有刺鉄線の塀が設置されている。国境に近いことを思い起こさせる雰囲気が漂っている。


 ・韓国の東海岸の最北の商店と思われる店で国境展望台へ向かう許可証(途中で韓国軍のチェックがある)を得て、国境線が肉眼で見える場所(実際の国境線から約500メートル位置)にある展望台へ。途中で、当日から北朝鮮側で実施される「南北離散家族の面会」に出席するために北朝鮮へ向かう韓国側の離散家族が乗ったバス(物々しく軍や警察らしき車が護衛)の列に出会う。

 ・この展望台のある場所には、写真を撮り忘れたが、朝鮮戦争の戦争記念館もあり、北朝鮮に国土の大半を侵犯されていた(残されていたのは南部の釜山近辺のみの狭い国土)韓国が、インチョンに敵前上陸したアメリカ軍をはじめとする10数ヶ国の国際軍の援助で、現在の状態までの国土の回復を成し遂げた戦争の記録が収められている。この旅行中には、幾度も朝鮮戦争の話題が出てきたように、この戦争があって現在の韓国があるという印象を強くした。

 ・ここから一気に帰路に向かう。途中の束草地区の山側と思しき場所で「ジャガイモのパンケーキ」風の焼物で昼食をとった後はひたすら高速道路を金浦空港へ向かう。途中、ソウルに入ったころから何時ものように渋滞があったが、16時半前には金浦空港に到着。

 ・17時にJALのチェックインした時点で、Mr.Choi,Kimとわかれたが、今回は到着からここまで全ての面倒を見てもらい、感謝のほかはない。お二人のおかげで、沢山のはじめての韓国を知ることが出来た旅であった。