156春の海
お正月ばかりではない海アラカルト
- 元ネタについて
- 資料より。宮城道雄(1894-1956) 作曲。
- 生後1年にも満たず眼病を患い弱視となり8歳頃には完全に失明。
- 生田流2代目中島検校に弟子入りし箏を習い11歳で免許皆伝。
- 昭和4年(1929)に「春の海」を発表。以上、資料より。
- 宮城道雄の筝曲は独創性に富み保守的な世界で苦労されたようです。
- 「春の海」といえばお正月のイメージがあまりにも強いですが
- 雅な印象、明るく活気のある展開、何となくおめでたい雰囲気のある曲です。
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- 演奏について
- 今回も結局演奏はしてません(笑)
- 楽譜をスキャンしてmidiにする作業も5曲めの今回は楽器の音色です。
- 使用した楽譜はバイオリンとピアノの為にアレンジされたものですが
- その組合せのアレンジは今回の中にはありません。予選落ちしました(笑)
- クラシック曲を聴くにあたって楽器の響きというのは大事な要素ですが
- midiでは具体的に128音色の中から選択して演奏情報を再生します。
- あとは楽器の話なので下段の楽器についてで語りましょう。
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- 楽器について
- 毎回毎回何のつもりで私が楽器について語っているのか疑問に思う方も多いでしょう。
- しかし今回の9つのアレンジをお聴き比べて下さい。こんなに印象が違うものなのです。
- 曲の印象は楽器の選択で半分以上決まってしまうといっても過言ではありますまい。
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- 主奏:(独奏)尺八/伴奏:(独奏)筝
- オリジナルの組み合わせですね。初春の海とも感じられるしひねもすのたりの海とも。
- 主奏が単音の発音楽器で持続音が息の続く限り伸びます。
- 伴奏が和音の発音楽器で発音したとたん音量が減衰していきます。
- 「春の海」は私の知っている限りでもバイオリン・フルート・ピアノ・ハープ等
- 色々な楽器で演奏されています。
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- 主奏:(独奏)トランペット/伴奏:(合奏)弦楽合奏
- 武蔵?いきなり男らしくなった巌流島の海といった感じでしょうか?
- 主奏がトランペットで西洋風のイメージが強く
- 伴奏が弦楽合奏で筝に比べかなり力強く感じます。
- 持続系の伴奏となった事で筝とは随分違った響きになりました。
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- 主奏:(独奏)グロッケンシュピール/伴奏:(SFX)Space Voice
- 星の海を狙いました。キンキラキンと煌く感じ。
- 主奏がグロッケンシュピールという音の伸びないで音色がキツイ鉄琴を選びました。
- 伴奏がSpace Voiceといういかにもシンセっぽく鉄琴に合いそうな音色を選びました。
- 原曲特有の古っぽさが薄らいで宇宙空間が見えてきそうな気がします。
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- 主奏:(合奏)弦楽合奏/伴奏:(独奏)ハープ
- お上品なエーゲ海?女性的な感じがします。
- 主奏が弦楽合奏です。ちなみに(合奏)となってるのは全て弦楽合奏です。いや好きなもので(笑)
- 伴奏がハープ。西洋の琴だから違和感ないかなと思いましたが随分印象がちがいますな。
- 同じ西洋風でもトランペット・弦楽の組合わせとはドビュッシーとストラビンスキーぐらい違います。
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- 主奏:(合奏)弦楽合奏/伴奏:(合奏)弦楽合奏
- 荒々しい冬の日本海は言い過ぎか?何とも力強い印象になりました。
- 主奏も伴奏も弦楽合奏です。こうして渾然一体とした響きを聴くとまるで別の曲感がかなり強し。
- 海で働く漁師の皆さんの姿が目に浮かんできませんか?
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- 主奏:(合奏)弦楽合奏/伴奏:(SFX)Brightness
- 美人女将熱海温泉殺人事件の海で決まり(笑)いかにも怪しげです。
- 主奏が弦楽合奏です。ハープとの組合せと全然違い過ぎる印象。
- 伴奏がBrightnessというこれまたいかにもシンセな音色。
- ある意味それぞれオーソドックスな音色と言えるが組み合わせ最悪(笑)
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- 主奏:(SFX)Tubular−bell/伴奏:(独奏)パイプオルガン
- 何の海かなぁ。これ。
- 主奏がTubular−bellというキンコンカンの教会の鐘っぽい音色。
- 伴奏がパイプオルガン。そう、教会音楽。バッハみたいのを狙ったんです。
- 季節はずれの海辺の教会風のみやげ物屋で流れる勘違い音楽?ああ、秋の夕日が似合いそうだ。
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- 主奏:(SFX)Brightness/伴奏:(合奏)弦楽合奏
- 美人女将熱海温泉殺人事件と逆の組合せです。そろそろネタが切れてきて(笑)
- 主奏がBrightnessで伴奏が弦楽合奏。
- 伴奏の力強さがやや薄らぎ主奏のヘンさがひきたっています。
- だったらつげ義春のメメクラゲに刺されてしまったのですの海だ!(ヤケ)
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- 主奏:(SFX)Echo Drops/伴奏:(SFX)Ice Rain
- チョウチンアンコウの灯りしか見えない深海みたいなイメージですか?
- 主奏がEcho Dropsという151イルカと少年で白石冬美さんの声に使った音色。
- 伴奏がIce Rainという糸を引くような音色。
- ちなみにこういったシンセ特有の音色はメーカー毎に味付けがかなり異なっていて
- お聴きになっている皆様がどの様な響きを聴いているか
- 私が伺い知る事は出来ないのでした。
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- 毎回毎回何のつもりで私が楽器について語っているのか疑問に思う方も多いでしょう。
- しかし今回の初春の海から日本海溝まで多少無理はあるが同じ演奏でも
- 楽器を変えただけでこんなに違ってくるものなのです。
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最終更新2003/09/16