Distorted Relation




ちょっと眉を寄せ、顔を顰める仕草さえこんなにも―。
煽られるのは何故だろうか。


厭わしそうに、哀しそうに。
顔を歪めて、それでも振り切れずに居る。



ああ、キミはそうやっていればいい。



そう、思う。




待っていたんだ、アリス。


だから、何?




分かってた。分かってるよ、火村。

何のために渡した合鍵だと思う?
そうやって、電気も点けずただ、蹲る様にソファに埋まって
待っていたのは…俺、なんだろう?



ふふ、その目。

まるで、飢えた獣みたいだ。

「…おいで」


綺麗な瞳。じっと真っ直ぐに私だけを見つめる、狂おしい瞳。


厭わしい、と濡れた掌を拭う仕草も
何でもない、と嘯いて空を見上げた横顔も
アリス、と囁いて笑うその微笑みも


愛おしく、狂おしく、全身で飢える、眼差しも。


全てをとても大切に思うよ。


だけれど…。


薫る石鹸、気が付かない筈も無いだろう?


腰に腕を回して、埋める首筋に散った痕に
…気が付かない筈は無い。


だから―。


いっそ凶悪に誘う。


ああ、火村。


君を、大切に思わない日は無いのに
君を、傷つけたいと思えない日は無い。


愛おしい?ああ、誰よりも愛おしい。

愛おしいのに…厭わしいんだ。キミは―。


私は―必死で掻き抱くほどの人間じゃない。
それなのに、どうして…



欠片さえ掻き集めて抱き止めようとするんだ。


なんて浅はかな…と思わずには居られない。


些細な事、そんな事にさえ魘されてしまう君が
誰よりも哀しくて誰よりもおぞましいよ。



ああ、何?



「…アリス、アリス、アリス」

だから、何。


「っ…、ぅ…っ、あ…ッ!」



ねじ込めばいい、気が済むまで穿てばいい。

そうやって、私を…


繋ぎとめておけばいい。





「…ひむ、ら」

そっと、頬を撫ぜる。

「な、くな、アリス…」


指先が、滴を攫ってしまった。