テーマの小部屋 > 世間知らずの私が読む本

世の中まだまだ知らない事ばかりです。「知らなかった」で済まされない事をちょっとメモしておきたいと思います。

  1. 「わたしは悪い不動産屋」 大倉辰吾
  2. 「『食べ物神話』の落とし穴」 高橋久仁子

『「食べもの神話」の落とし穴〜巷にはびこるフードファディズム』高橋久仁子/講談社

スウ(2003.12.10)
●現代食生活はややこしい

最近はアミノ酸とかカテキンとかポリフェノールとかイソフラボンとか、気が狂いそうになるほど色々な"栄養素"と呼ばれるものが商品としてあふれていて、これで偏りがちな食生活バッチリ!飲んでおくだけで太らない!肌にいい!とか言われるとホント?と思いつつ惹かれてしまいます。
この本はそういう疑問や不安に答えてくれるもので、やっぱりなあと納得することが多いです。
まあ結局は飲むだけでバッチリな物や栄養素なんてない、色々な種類の食品を過不足無くとるのが一番いい、と言っているのだけど、そんなことわかっとんじゃそれが出来んから何かに頼ろうとしてしまうんじゃ。と結局はそこに戻るのでした。

でも、気にしていないと手を変え品を変え溢れかえった情報に惑わされることにもなり、一応頭のスミに置いておくほうがよさそうです。 食べものはあくまでも「食べもの」であり、薬でも毒でもない。食べものが本来果たすべき役割以上の期待や懸念を持ってはいけないという事も。


メモ

・アミノ酸って体にいいの?→様々な種類のアミノ酸があり、人体の生理機能を保つのに必要だが、普通に食べてれば摂りすぎる傾向のあるものなのでわざわざ個別の飲料等で補う必要はない。
・タマネギは高血圧に効く?→たとえ有効成分(血糖値が下がる等の)がその食品に含まれていたとしても、どの位食べれば効くのか、注射でしか効かないものもあるのに経口摂取でいいのか知る必要がある。ちなみにタマネギなら50キロ(体重50キロの人で)。
・アルカリ性だから体にいい、酸性だから体に悪い?→根拠のない風説。食品をそのように分ける事自体意味がない。血液はもともとアルカリ性。
・ポリフェノールはあらゆる食べ物に含まれている
・野菜ジュースは野菜を食べた代わりにならない

宣伝広告は実に巧み
例「・・現代人の食生活を考えた、さわやかでおいしいカラダ・バランス飲料です」 →考えた、結果どうしたのかは何も書いていない。含まれる栄養素の量は微々たるもの。
例「脂肪・塩分・カロリーはさようなら」 →「さようなら、できる」とは書いていないのについそう感じてしまう。
・「バランス栄養食」というものの、脂肪の比率がとても多い。「ビタミンやミネラルが添加されたクッキー」と認識して食べるなら問題ないが、バランスのとれた食事代わりになると考えるとだいぶ違う。

「フードファディズム」とは
@健康効果をうたう食品の爆発的な流行(紅茶きのこ、ココア、アミノ酸 等)
Aいわゆる健康食品(あるいは栄養補助食品):それさえ食べ(飲み)れば他の努力は不要等とうたうもの→薬をきらう・食事療法が面倒な人の治療の機会を奪ったりもする
B食品に対する不安の扇動:食生活全体を見ないで特定の食品を身体によい・悪いと決め付け万能薬視したり排斥したりすること。(天然・自然は良くて、人工・動物性は悪いとする傾向など)

法律悪用の例
「保健機能食品」という表示がついた「大豆イソフラボン」というサプリメントがあったら、大豆イソフラボンが厚生省に認められた保健機能だと思うけれど、保健機能食品〈栄養機能食品〉という表示は、一定の規格基準を満たしていれば許可無く販売できるという事。 基準とは、あるビタミン類やカルシウムなどが一定の量入っている事で、イソフラボンとビタミンを同居させればその表示にすることが可能。 一方、「特定保健用食品」は厚生省にデータや用途を提出し個別に申請許可をとる必要があるもの。しかしなんだかややこしいものだ。



『わたしは悪い不動産屋』 大倉辰吾/三笠書房

スウ(2003.2.08)
●夢見ているひとをいかに騙すか、が腕のみせどころ
不動産取得は大変なものだはと思っていたが、改めて「戦いである」というような事を思った。
今、欠陥住宅の話題がしきりに取り沙汰されるようになったけれど、この本は
「お客の無知も悪いのさ、一生ものの買い物なんだからもっと勉強しろよ」と言っている、現役不動産営業マンの書いた本。適度に消費者の神経をさかなでする毒をはくので読みやすく面白かった。

当たり前のことのようだけど、いざ買う立場になってみると
「新しい住み家、新しい生活」に夢と希望で一杯になって、細かい事に目を配れなくなるものらしい。 だから、
     ・気が弱い ・夢ばかり見ている ・無知である
と思われたら終わり。あっという間に相手のペースに乗せられて、悪い物件をつかまされる事になる。

実際問題、建築や不動産の事は抜け穴がいくらでもあり、プロにかなうわけは無いのだが、シビアに現実的に、ポリシーを持って買おうという人には、不動産屋もそれなりに協力して喜んでもらえる物件を探してあげようという気になるらしい。
もっとも、「わるい不動産屋」のいう事なので素直に受け止めるのはよく考えてからにしたい。


以下は、覚えておこうと思った部分のメモです。この本からだけの抜粋なので内容に関して確証はありませんが、オヒマな方興味のある方はご覧下さい。

メモ

●住宅情報誌は目安くらいにしかならない
・「優良・格安」「高く買う」の広告の99%は集客オトリ広告
・不動産屋はわざわざ住宅情報誌に広告料を払ってまで載せたりはしない。
 そんないい物件があるなら、誰だって自分の会社で買ってくれるお客さんを見つけて仲介する。

●夢見ごこちになってないで、シビアに見つめるべき部分
・眺望より便利さを考えたほうがいい。
・立派な内装、外装より、どれだけしっかりした構造になっているか、
 コンクリートの材質やそこに使われている砂はどこから運んできたのか、
 鉄筋の太さや構造上、それがどれくらい使われているのか、
・ブランド名より実際に建てた業者を確認、仕様書などを入手して、建築士にみてもらう。

・業務に精通していない営業マンは敬遠する。
 (公庫への申し込み、銀行ローン、権利移転にともなう書類の提出など)
 頼りないと感じたら、どこまでやってくれるのか、トラブルがあったら責任をとってくれるのか聞く。
・宅建の資格のない営業マンの物件の話は信用できない。
 物件の説明は資格が無いものはしてはいけない事になっている。

●だまされた例
・「買戻し誓約書」をつけられて良心的と考えるのは愚の骨頂。
・大手の支店ではなく、名前を掲げただけの系列店だった。
・農地などの調整区域に家は建てられないが、宅地の装いをこらして売る。
・「即日完売」の大きなのぼり。実はサクラ。

・売主の都合で売買がキャンセルになった場合は、手付金は戻るもの。
 契約書にその記載がないと戻ってくる可能性は低い。
・手付金を払うと、今度は中間金を払ってくれと言われるケースも。
 →所有権移転の仮登記を条件にすること。
・委任状の確認を怠らないこと。夫婦・兄弟連名契約で夫や長男が委任状というのはあやしい。
・債権者が複数いる物件は、手付金持ち逃げが多い。
 →手付金は不動産屋に一時預かりにしてもらうこと。そういう要求をだしてもいい。

・法律上は権利書がなくても不動産売買は出来る。保証書と登記簿のみでだまされた人もいる。
 →火災で紛失したと言われたら、消防署で名前を確認する。

●悪徳業者の判断材料
・業者の名刺に書かれている免許番号の( )内の数字が大きいほうがいい。
 三年に一度更新されるので、この数字を三倍すれば、 免許の継続年数がわかる。
 創業25年目の会社が(7)となっていたら、一度免許停止になっている。
 役所で創業年度を聞くとよい。

●買い時とは言え、安い物件には何かある
・大雨が降れば冠水する道路、川の近く、傾斜地の近く、得たいの知れない悪臭
 →道路の冠水場所は役所の道路地図帳に載っている
・安い価格帯の新築マンションは、バブル期の建設と比較して問題が多そう。
 いまの建築資材は確実に質を落としている。建て売りには、その両方のマイナスが含まれている。

・安いと思っても生活に必要なものがオプション追加されるため、却って高くつく場合がある
 →業者が示す施工単価とその内容の比較からはじめなければならない
・違法で建てられた家でも売買できる。しかし不動産としての価値は無い。

・現行の国土法では、100平方メートル以上の比較的大きな家でしか
 法の監視下で順当な価格設定がされない。
 (それ以下だと、いかに手抜きをするかが頭の使いどころになる)

●建替えの出来ない価値のない不動産とは
・農地などの調整区域
・住宅地は幅4メートル以上の公道に接していなくてはならない。
 →公道かどうかは役所の道路係に行けば図面を出してくれる。
 →住宅地域かどうか不動産屋に聞いてみる。業者は説明しなくてはならない義務がある。

●住み替えで売る場合
・必ずいまの家が売れてから買うこと。
 不動産屋の査定を信じて資金のあてにすると、新しい家も現在の家も手放すハメになりかねない。

●中古住宅を買うときの注意
・新築は業者から買うが、中古は個人から買う。売主が本当に信用できる人物か注意する事!
・売主が建物の不都合部分を話すわけが無い。
・保証期間は買主が売りに出すと無効になってしまう。
・ビー玉とタコ糸を持って現地へいく。
 →襖の戸がぴったり閉まらない原因、家のたわみ具合がわかる。
 →設計図や確認図面を要求する。

●賃貸では不動産屋は大家の味方
・居住者の権利は、居住者が自分で主張したときに初めて認められるもの。
・敷金は何がなんでも取り返すべき。
 →どうしても返さない場合は役所の不動産窓口へ行くといい。
・契約しなかった場合の申し込み金は、返してもらうのが当然。
 →返してもらえなかったら、宅建業法違反で訴える権利がある。

・大家の都合で立ち退きしなくてはならない場合の立ち退き料は、家賃半年分が最低ライン。
 権利の主張はテキパキと要点だけを言い、いくら必要と毅然と言う。
・家賃の値上げは大家さんと借主の双方が話し合いで決めるという法律がある。
・使っているうちに自然に汚れるものまで原状回復の義務はない。

●予算と目的に添った家を求めること
・新しい家に何を求めているのか、その家で何がしたいのか。今の家を変わりたい理由は何か。
・優先条件は通勤時間か、住環境か、間取りか、外観か、風呂場か、キッチンか。
 さらに大事なのは「自分は何についてはがまんできるのか」を考えておくこと。
 大きな柱がないと、もっといいものがあるのでは、と迷うあまり、結局悪い物件をつかまされる。
・北道路でもいい立地条件の場合がある。実際に行って見てみること。
・年収の40%も返済にあてるのは明らかに無謀。月々20%以下の返済計画をたてる。


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