『木曜組曲』 恩田 陸/徳間書店

いし(花日和8号より)
●フィクションの楽しみを知っている方へ
作家重松時子の自殺から、四年。時子の影響を受けてきた五人の女性が集まり、当時のことを告発、告白します。その結果、実は四年前に起こったのは「重松時子殺人事件」だったのではないか、となっていきます。いろいろ謎が解かれていくのも面白いのですが、この木曜日を中心とした会合そのものの雰囲気が独特で、味わいがあるのではないかと思います。

 もともと私は、同じ著者の『三月は深き紅の淵を』がよかったので読んでみたのですが、この作者はミステリアスでどこか幻想的な物語を紡ぐこと、書くこと、読むことの愉しさをよく知っている人だと思います。だから、特にフィクションの楽しみを知っている方にお薦めしたい本です。
●H14.10月、映画化
いしさんの紹介を読んで、私も『三月は深き・・・』のほうだけ読んで9号に書きましたね。
それは置いといて、今回の映画化、ラッキーな事に試写会を観れましたので以下感想です。ああ、早く原作を読まなくては。(スウ)



浅丘ルリ子の重松時子役が非常に迫力でインパクトが強かった。
まさかと思うこういう事を、この人ならやりそう、というすごい説得力があった。
原田美枝子の鋭い感じ、富田靖子の思いつめる演技、加藤登紀子の重厚感もよかった。それぞれが役にぴたっとはまっていた感じ。

一冊しか読んだ事がない私がいうのはあつかましいけれど、話はいかにも恩田陸らしい、という感じの展開だった。(もちろん先が分かるという意味ではなく)
読書好きとか、「もの書き」の視点がちょっとでもある人が観ると面白い話だけど、そうじゃない人はどうなんだろうか。
でも、話は「もの書きバトル」だけど映画は「女優魂バトル」って感じでやっぱり怖かった。競争心とか女の妬み心という事で考えると同じかもしれない。

ところで、映画の宣伝チラシでは、見ているだけでお腹がすきそうな料理の数々を女優陣がたいらげるところが見所のひとつと書いてあったし、試写会の前振りでも盛んに言っていたので期待していたけれどそれほどでもなかった。

謎解きの会話を真剣に聞かなくてはならないので、あまり料理のほうを意識してる場合ではなかったのもある。
それより、アップが多いので女優陣の肌のハリツヤ・化粧の具合などのほうが気になってじっと見てしまった。
女ってやつは…。


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